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僕の婚約者は『冷血令嬢』と呼ばれているが、実は可愛い恥ずかしがり屋である  作者: 星雷はやと@書籍化作業中


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第四話 イヤリング




「……っ、な! なんですか!? 殿下、それは!?」


 秘密の独り言を再生され、ステラワースは僕へと詰め寄る。必死な顔も可愛いらしい。

 

「ん? これが、ステラの本音だろう?」

「……ち、ちが……」


僕は自信満々にステラワースに問いかける。しかし彼女は否定しようと口を開いた。


『レオン様は格好のではなく、可愛いのよ!? 皆、全く何も分かっていない! 解釈違いですううぅぅ!!!』

「はうう!! そうです! 私はレオンハルト王太子殿下のことを可愛いと思っております!! 皆さんが格好良いと口にするのが不満で、可愛いと認識して欲しいと念を込めて視線を送っておりました!! 認めますから、それを止めてください!!」


 再びイヤリングの魔法を操作すると、ステラワースの独り言が再生された。すると彼女は発言を全肯定する。頬を真っ赤にし、僕への気持ちを口にするステラワースは大変可愛らしい。彼女自身から直接本音を聞けるのは嬉しく、僕の気持ちが晴れていくのを感じる。


「これで分かっただろう? ステラは一人の時でないと本音を言えない、恥ずかしがり屋だ」

「はううぅぅ……」


 僕の言葉が大広間に響き、周囲のざわめきが大きくなる。ステラワースは両手で顔を隠すと、可愛らしい言葉を呟く。ステラワースの美しい声を大衆に聞かせるのは、気が引けるが仕方がない。彼女に向けられた疑念を払うにはこの方法が早いのだ。ステラワースは恥ずかしがり屋で、周囲が思うような人物ではないということを証明するのが一番である。


「……っ、ず、ずるいです! 私の部屋には防音魔法を施しておりましたのに!!」


 恥ずかしさが最高潮になったようだ。顔を真っ赤にしたステラワースは、普段とは違い大きな声で訴える。いつもは冷静沈着な彼女だが、突然の事態に大きく動揺しているようだ。通常の状態であれば、彼女も自力で気が付いたことだろう。


「ふふっ、ステラ忘れたのかい? このイヤリングの役割を」


僕は微笑むと、シルバーのイヤリングを掲げた。


「え、えっと……婚約者の証だったと思いますが?」

「そうだね。でも、それだけじゃない。魔力を流せば、お互いに居場所が分かるし通信が出来る仕組みだよ」


 イヤリングの役割を確認すると、ステラワースは不思議そうに首を傾げた。そんな彼女に僕はイヤリングの役割を説明する。


「え? ええ!?」

「普段はプライバシーに配慮して、相手の同意がなければ通信は出来ない。だけど、一つだけ例外がある……」


ステラワースは大きく目を見開く。如何やら完全にイヤリングに役割を忘れていたようだ。確かイヤリングを受け取った際に僕と一緒に説明を受けた気がするが、その時彼女は極度に緊張していた。王太子である僕の婚約者という立場がそうさせていたのだろう。そうでなければ、常に冷静で自身にも厳しいステラワースが説明を聞き逃すことない。

 僕は一度言葉を区切ると、左耳にイヤリングを装着した。その間も、ステラワースから話しの続きを促すように視線がおくられる。


「れ、例外ですか?」

「感情が高ぶった際の、魔力過多による通信だよ。本来は、お互いの危機を知らせる為の緊急通信用だけどね」


 僕の説明を聞くと、不思議そうステラワースは再び首を傾げた。本当に知らずに緊急通信を使用していたのを知らなかったようだ。普段の冷静沈着な彼女も好きだが、隙を見せてくれる姿も新鮮である。


「も、申し訳ございません! 知らずとはいえ、王太子殿下にはご迷惑をお掛けしまして……」


 ステラワースは慌てて頭を下げ謝罪を口にする。如何や緊急通信が、僕の迷惑になったと勘違いをしているようだ。


「ステラ、顔を上げてくれないか?」

「……殿下」


 彼女に気持ちを込めて言葉をかける。するとステラワースは渋々顔を上げた。


「初めて通信が繋がった時は君に何かあったのかと慌てたよ。でも、ステラの本音を聞くことが出来て、僕はとても嬉しかった」

「えっと……その……」


 僕は彼女の両手を握ると、笑顔を向ける。ステラワースが本音を告げたのだ。僕も彼女に本音を伝える。しかし彼女は戸惑い、言葉を探しているようだ。


「魔力過多により通信を繋げるほど、僕のことを想ってくれているのだろう?」

「……い、言ってくだされば……」


 彼女は自身の本音を認めたくないようだ。そこで、僕はステラワースが緊急通信を繋げてしまった理由を口にした。その指摘が的を射ていたようだ。ステラワースは耳まで真っ赤にする。そして小さな声で、緊急通信を使用していることを伝えて欲しかったと告げた。


「そうしたら、二度と本音を口に出さないだろう? そんなの嫌だ」

「え……?」


 僕は腕を引き、ステラワースを抱きしめた。彼女は突然の僕の行動に驚いたのか、僕に気を許しているからか大人しく僕の腕の中に収まる。顔を上げるステラワースのコバルトブルーの瞳と視線が交わった。そして彼女の右耳に掛かる髪の毛を退かすと、顔を寄せる。


「愛しているよ ステラ」


 僕は愛の言葉を囁いた。



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