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僕の婚約者は『冷血令嬢』と呼ばれているが、実は可愛い恥ずかしがり屋である  作者: 星雷はやと@書籍化作業中


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第三話 抗議



「皆さん、本日は御卒業をおめでとうございます」


一晩明け、今日は先輩方の卒業パーティー当日である。学園の大広間には、着飾った紳士淑女が集う。卒業生へ在校生代表として僕は挨拶を口にした。僕の後ろには、ステラワースがそっと控えている。

今日のステラワースは、一段と表情が厳しい。少し顔が強張っているようだ。ステラワースが周囲を警戒するように目を動かす。もしかすると、この場に彼女を脅している人物が監視している可能性が高い。何時でも彼女を守る為に動ける準備はできている。


「……それでは、卒業パーティーをお楽しみ下さい」


 僕の挨拶が終わると拍手が響いた。そしてステラワースと共に、広間の中央を後にしようとする。


「レオンハルト王太子殿下。申し上げたいことが……」


立ち去ろうとする僕とステラワースの正面に、卒業生の数名の男女が歩み寄る。


「……何かな?」


卒業パーティーは無礼講が慣例だ。しかし羽目を外す者たちは居ない。学園は貴族の子息子女が通い品行方正であることが求められる。この学園で学んだ彼らが、僕たちの進行方向を塞ぐことが何を意味するのか理解していないとは考え難い。

加えて、此処には国を代表する貴族たちや、僕の両親である国王陛下と王妃。ステラワースのハイネ公爵ご夫妻も卒業生を祝うべく集まっている。つまり王太子である僕への直訴は、国の重鎮たちに知られ彼らの将来を揺るがすことになるのだ。

決意に満ちた彼らの顔を見て、僕は彼らの話しを聞くことにした。


「ステラワース・ハイネ様についてです。彼女は王太子殿下の婚約者に相応しくありません!」

「そうです! 同じ学園で過ごす我々との協調性が欠けています。先程の殿下の挨拶中も我々を睨んでいらっしゃいました! これでは将来、この国を担う王妃としてお支えるのは難しいです!」

「それから殿下がお慕いしているのに、愛想笑い一つしないではありませんか! 冷血な王妃など国民からの信頼や、他国との関係にも影響を与えかねません!」


二人の男性に続き、一人の女性がステラワースへの文句を口にした。その声はよく響き先程までの祝いの空気が四散し、大広間には痛いほど静まり返る。


「……っ」


 彼らの指摘を受け、困惑した様子でステラワースは両手を握りしめた。可哀想に、心無い言葉に繊細な彼女の心が傷付いてしまったようだ。


「……ふむ。それで? 言いたいことはそれで全てかな?」


 僕が確認の言葉を口にすると、周囲の人々が床に膝を着いた。僕の魔力が大広間に重くのしかかり、魔力の低い者は耐えることが出来ず。呼吸をするのも苦しそうである。

魔力は感情と大きく作用する。つまり僕は現在、大切で愛するステラワースを否定され大変不愉快だ。理性を働かせ魔力をコントロールすることは可能である。

だが、愛しい婚約者に対して暴言を吐かれて冷静でいられるほど、僕は人間ができていない。


「他にも同じ様に、私の婚約者であるステラに不満を持つ者が多いようだね?」

「……っ、そ、それは……」


 周囲を見回す僕に対して、先程の男性が何とか言葉を口にする。顔色は悪く、全身が小刻みに震えている。如何やら僕が怒り心頭であることに気が付いたようだ。

昨日、ステラワースが何者かに脅されていることについて調査を開始した。その結果は直接的に彼女を脅した人物の発見には至っていない。だが、学園内においてステラワースに対して不満を持つ人物たちには目星が付いた。それが正に、僕たちの前に出てきた彼らである。

 僕が命じれば、彼らの口を塞ぐことは簡単である。しかしそれでは、後々禍根を残すことになるだろう。ステラワースと僕の幸せな未来にそのようなものは不要である。

横に居るステラワースも、僕と気持ちは同じようだ。彼女は僕を止めようとしているのだろう。深呼吸をすると、僕の横顔を見上げた。


「ステラが本当に僕をどう思っているか、聞いてもらおう」


 論より証拠である。僕は左耳のイヤリングを外すと、宝石に触れた。するとコバルトブルーの魔法陣が輝く。


『はああああぁぁ!!! レオン様が今日も可愛いかったぁぁぁ!!』


 その魔法陣からステラワースの本音が再生され、大広間に響き渡った。





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