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イノセント田中 第9話

作者: 千彩仙人

    『第9話 海辺の街のパトロール』


 イノセント田中が夕刻に海岸沿いの道を歩いてパトロールをしていると、道の真ん中でフナムシとゴキブリが取っ組み合いの喧嘩をしていた。夏の海の美しい夕焼けを眺めて心が穏やかだったイノセント田中は徐に両者に歩み寄り、テレパシーで両者に語り掛け、両者をなだめて和解をさせた。フナムシがテレパシーでイノセント田中に言った。

 「世話になったな。お礼に一杯おごらせてくれ。俺は最高にクールなジャズバーを知っているんだ」

 イノセント田中がテレパシーでフナムシに言った。

 「お前にジャズの良さが分かるのか?」

 フナムシがテレパシーで返答した。

 「分かるも何も、俺こそがジャズ」

 イノセント田中が激怒して叫んで言った。

 「お前がジャズなわけがねえだろ! ジャズを冒涜するんじゃねえ!」

 イノセント田中はそう叫び、右足で思い切りフナムシを踏み潰してフナムシに向かって怒鳴って言った。

 「お前にジャズの要素など微塵もねえだろ!」

 ぺしゃんこになったフナムシを見たゴキブリがテレパシーでイノセント田中に言った。

 「俺のニセ者を殺してくれて嬉しいぜ。お礼に一杯おごらせてくれ。俺は本当に最高のジャズクラブを知っているんだ」

 イノセント田中がテレパシーでゴキブリに言った。

 「お前にジャズの良さが分かるのか?」

 ゴキブリがテレパシーで返答した。

 「分かるも何も、俺こそが真のジャズ」

 イノセント田中が激怒して叫んで言った。

 「お前のどこがジャズなんだよ! お前はジャズとは真逆の存在だろ!」

 イノセント田中はそう叫び、右足で思い切りゴキブリにストンピングを放ったが、ゴキブリは高速で走ってイノセント田中の足を回避した。イノセント田中の攻撃をかわしたゴキブリは高速で道路の彼方へと走って行った。ゴキブリの走り行く先はT字路になっており、イノセント田中は高速で走り行くゴキブリはその角を曲りきれずに正面の塀に激突するだろうと予測した。そして塀に激突したゴキブリを踏み殺そうと考えた。しかしゴキブリは見事なドリフトでその角を曲がりきり、直線でギアを上げたかのような加速をし、前方の電動アシスト自転車を追い抜いた。その先は断崖絶壁の崖になっており、その崖の手前の道が急カーブになっている。ゴキブリは減速することなくその急カーブに突入し、見事なドリフトでその急カーブを曲がりきって姿を消した。そのF1のような走行を見たイノセント田中は心の底からこう思った。

 『やはりゴキブリは虫じゃねえ! エイリアンだ! 虫があんな高速で走れるわけがねえ! ゴキブリは地球を侵略しに来たエイリアンだ! 俺が必ずエイリアンのゴキブリたちを殲滅させてやるぜ!』(♪テーテーテーテテー、テーテーテテテテー、フナムシはー人間にー不快を与える意志がありー試行錯誤を繰り返しー今の姿に進化をー遂げた害虫なんだぜーそのあまりの気色の悪さにーさすがの神も激怒してーフナムシは陸を自由にー歩けないようにしたのさーしかしー昔はー街に暮らす人々にー不快を与える為だけにーフナムシたちは執念でー陸を這って街に来るー胸クソ害虫だったぜーしかしー近年ーフナムシたちは滅多にー街には来なくなったぜーそれはーそうさーイノセントー田中がー街に入ったフナムシをー神に代わって踏み殺しーこの世からその存在をー消し去っているからなのさー神の仕事もこなすヒーロー、イ、ノ、セ、ン、トーーー田中!)


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