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1.71 レストランを買いました

 ウアカリが夜逃げしました。お客が来なくなってソープ嬢の退店が相次いでいたところに後ろ盾がなくなったのがトドメになったのです。何でもバガッド・ファミリーがこれまで滞納していた賃貸料や返済していなかった借金、払っていなかった賠償金などがここぞとばかりに差し押さえられて、あの夜の妖精亭も借金のカタに取り上げられてしまったそうなのです。どこへ行ったのやら、住居も引き払って、今は町のどこにも姿が見えません。


 で、建物が売りに出されたので中央屋台を出すときに作ったおばちゃんの会社『デリラフードホールディングス』に融資して買い取ってもらいました。例によってボクはお店を所有できませんからね。

 中央広場の屋台の売り上げは右肩上がりで推移していますし屋台メシのデリバリーも順調です。何しろこの会社で作って配っている飲食店マップに名前が載っていないと一見さんはもはや来ない状況になっています。売上を落としたくなかったら宣伝料を兼ねてボクのサービスに加盟するしかないのです。そういうわけでお金は十分ありましたし、足りない分はいつかの金貸しが今度は快く貸してくれました。


 この建物を買ったのは飲食業と宿泊業の株(営業権)がついていたからです。屋台もそうでしたけどこの国ではお店を出したかったら株を買わなければなりません。株に対して税金を掛けているからです(売上税じゃなくて営業税なのですね)。そろそろレストラン業に進出したいと思っていたので渡りに船でした。立地も一等地ですしね。


「まさかこんな立派なお店で働く日が来るとは思わなかったよ」

 ラウンジの真ん中から見回しながらおばちゃんが感慨深げに言いました。

「働くと言うかオーナーシェフですよ」

「本当にあたしの名義にして良かったのかねぇ?」

「もちろんですよ。どうせボクには買う権利がありませんし」


 さっそく買い取ったお店に乗り込んで、今日はこれから今後の方針の相談をする予定です。なお元の屋台はミラが雇われ店長で継続しています。お勘定ができないので串一本ずつのバラ売りしかできませんけど、まあなんとかなるでしょう。

 ともかくちゃんとしたお店で働くのはこれが初めてです。ワクワクしますね!

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