表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

62/195

1.62 お前の名前が知りたくて──

 さて、一通りアピールしましたしもういいでしょう。

「ちょっとこいつらと『お話』してきます」

 屋台をミラたちに任せて、ボクは二人のヤクザを引きずり路地裏へと向かいました。


 アイテムボックスから取り出したロープを操って二人の両手両足を拘束して、魔法で空中に水の塊を呼び出して顔にぶつけてやります。


 バシャッ!


「うわっぷ!」

 跳ね起きたチンピラは頭をブルブル振って水を飛ばし「何しやがる!」とガン付けしてきました。反抗的ですね、負けたくせに。


 まずは兄貴分っぽい方に話を聞いてみましょう。

「お前たちどこの誰ですか?」

「ハァ? お前なんかに答える名前はねぇよ! 俺たちを誰だと思ってやがるんだ!」

「だからそれを聞いてるのでしょうに頭悪いですね……」


 反抗期の子供みたいな反応です。子供相手ですが、残念ながら今回のボクは以前チンピラたちをおもちゃにしたときのように穏便に済ませてあげるつもりは毛頭ないのです。


「ヤクザって指がないのが自慢なのですよね?」

 言いながらアイテムボックスから取り出したのはこれ、オリハルコンニッパー! (ピカピカピカーン!)

「はーい痛かったら右手挙げてくださいねー」

 後ろ手に縛り上げられた右手の指を親指から順番に切り落してゆきます。チョッキンチョッキンチョッキンです。

「ぎゃあああああ! いでえええええ!」

 鉄筋だってスパスパいっちゃいますからねこれ。人間の指なんてサクサクです。ジタバタ暴れてますけど軽く押さえつけるだけでビクともしません。非力すぎます。


「指がなければ非行もできまいです」

 五本とも切っちゃいました☆ 落とした指は魔法で炭化させてすり潰して下水に流しておきます。変な病気とか持ってるといけませんからね。あとついでに医薬の神エーリーンの【止血】の魔法をかけていますので出血もほとんどありません。ご覧くださいこの優しさ……タンジロウもかくやというものです。


「痛ぇよ、痛ぇよぉ……」

 涙を流してうめくチンピラ……フン、生殺与奪の権を他人に握らせたお前が悪いのです。奪うか奪われるかの時に主導権を握れない弱者が何を言ったところで笑止千万、言語道断横断歩道です。

「お前たちはどこの誰ですか? キリキリ吐くといいです。それとも左手も行きますか?」

 尋ねながら左指の親指にニッパーの刃を当ててゆっくり力を込めるとチンピラは大げさに悲鳴を上げました。すると横から弟分が慌てた様子で「ア、アイーダさんが──」などと口を挟んで来ましたのでボクはその横っ面にパンチを食らわせました。

「グハッ!」

 さらに押し倒してマウントを取ってパンチ! パンチ! 顔面をパンチングボール代わりに連打します。まったく、殴りながらでないと質問にも答えられないとは動物並みですね!

「ボクはお前たちの名前を聞いたのですよ。女の名前なんて聞いてません。理解できますか? それとも耳が聞こえませんか? いらない耳なら切り落としてあげましょうか? そもそもアイーダが誰だかわからないでしょうが。ええ? 『説明は相手に伝わるようにしないと意味がありません』って学校で習わなかったのですか?」

「学校、ブエッ! なんて、ヘブッ! 行って、グアッ! ません! ヒギッ!」

「ふーん、じゃあ教えなかった親の責任ですね。まあ子供をチンピラにしちゃうような親ですからどうせクズでしょう。ついでにブッ殺してやりますから住所を教えるがいいです」

「やめてくれよ……そんな勢いで殴られたら死んじまうよ……」

 今度は兄貴分が横から口を挟んできました。誰がお前にしゃべっていいと言いましたか? 殺しますよ?

「は? この程度で死んだりしませんよ。生かさぬように殺さぬように旬の鰹のように優しく丁寧に叩いてますからね。殺すつもりならこうです!」

 言うやいなやボクは神速の貫手を弟分の顔の横の地面に突き立てました。ズダン! 石板を突き破って肘まで地面にめり込みます。ボクは土を引っこ抜いてガクガク震える弟分の口に詰めてやりました。

「次はお前の顔面を貫通して四次元殺法コンビの黒い方みたいにしてやります。何か言い残すことはありますか? 答えなし? ないようですね。では死ぬがいいです」

 と手を振りかざすとやはり震えた兄貴分はおでこを地面にこすりつけるように拝んで懇願してきました。

「すいません、すいません、何でもしますからもう許してください……」

「ん? 今何でもするって言いましたよね?」

 ボクは弟分の懐を探ってナイフを取り出して兄貴分の口にくわえさせました。

「よし、こいつを刺すがいいです」

「え……」

 だらしなく開いた口からポロリとナイフが落ちました。

「あれ? しないのですか? さっそく嘘ですか? お前嘘しかつけない村の住民ですか? 何ならお前が代わりに死にますか?」

「すいません、本当に何でもしますから……いえ何でもしゃべりますから、もう許してください……」

 フン、とボクは鼻を鳴らしました。

「ボクが優しいエルフで良かったですね」

 リーシアみたいに優しくないエルフだったら初手から脳みそぶっ壊して情報を引きずり出してますよ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ