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1.31 明眸罪あり

 次の日は四人目と五人目を一緒に相手してあげました。決闘を申し込んできた二人がどっちか先かで言い争いを始めたので「二人一緒でいいですよ」と寛大なところを見せてあげたのです。


「ニ対一でやろうってのか?」

「ええ。決闘はもちろん、夜もですよ」

 二人はシンクロしてゴクリと唾を飲みました。

 するとたまたま隣にいたミラが「もしあなたたちがリンスに勝てたら……わ、私も一緒に相手してあげる」とたいして大きくもない胸を強調しました。慣れないことすんなです。

「クソ……やったらぁ!」

「見てろよ見てろよー!」


「まとめて吹っ飛ぶですぅーっ!」

「なにぃーっ!」「ばかなーっ!」

 即落ち二コマで試合終了です。


 もちろんこの日も大宴会でした。酒場のフロアは酔いつぶれた女どもで死屍累々、後のことは店に任せてボクは一人で帰りました。



 さらにまた翌朝のことです。ボクはまたまた冒険者ギルドを訪れています。

「さーて、今日の対戦者は?」

 だ・れ・に・し・よ・う・か・な。ギルドのロビーの真ん中に陣取って、入って来る冒険者を次々指差し確認します。


 でも、もうボクに絡もうとする冒険者はいなかったのです……。会話はおろか目を合わせようともしません。さささ……とボクを避けて受付やクランの溜まり場へと向かいます。

 あの、無視されると結構寂しいのですけど……。


「リンス、ちょっと」

 階段の上の方から声がしました。見るとクランリーダーがおいでおいでと手招きしています。

「お、今日はリーダーが相手ですか?」

「いいからちょっと。こっち来い」

「なんですか、もう。今忙しいのですけど?」

 せっかく次の獲物の品定めをしてますのに。


 仕方ないのでついていくとギルドマスターの部屋に通されました。

 部屋に入るなりギルドマスターは開口一番言い放ちました。


「お前もう決闘禁止な」

「は……?」

 突然の業務停止宣告です。


「何を言うのですか。人の貴重な収入源を取らないでください」

「『何言ってるんだ』はこっちのセリフだ。お前と決闘したせいで5人が治療院送り、うち一人は復帰できるかわからん」

 ああ、あの……名前が思い出せません。えーっと何とかいう、三日目にやったやつのことですね。あの手(足?)ごたえだと金玉は二つとも完全に潰れてるでしょうから、少なくとも男性として復帰するのは無理でしょう。

「大体決闘は白黒つけるための手段であって金儲けの手段じゃない」

「賭けたのはあいつらです。制度の問題じゃありません」

「あいつらだけの問題じゃないぞ。こっちも実害こうむってるんだ。ただでさえ人手が足りないところへ持ってきて怪我人続出……おまけにお前、毎晩女共を引き連れて豪遊してるだろ」

「富める者の義務として社会に還元してますよ」

「働かなくても酒が飲めるおかげであいつらも仕事しないんだよ!」

「させようと思ったら『二日酔いで動けません』とかぬかすしな……」

「あれで宴会になると起きて来るのですから元気というか現金ですよねぇ」

「他人事みたいに言うな! 大体お前もまるで仕事してないだろうが!」

「えー、しましたよ? 使えない冒険者の選別を」

「あいつらは冒険者の仕事はちゃんとしてたんだよ! お前が来るまでは!」

「ボクが可愛すぎるせいで惑わされてしまったのですね……美しさは罪……」

「~~~~ッ!」

 バン! バン! バン!

 ギルドマスターが怪音を発しながら机を叩いています。うるさいですね……。癇癪起こして、子供ですか。


「怪我人が五人! 女どもとお前で二十人! 併せて二十五人! このギルドに所属してる冒険者の一割が稼働してない! その上受付のアホ共はおろかサブマスまで二日酔いで欠勤と来た! おかげでこの四日間で業務が滞りまくってるんだ! とにかくお前が絡んだ決闘はもう引き受けないからな!」


 ちっ、ケチくせーギルドです。

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