序章
プロローグ
なぜ産まれた時から人々は人間に優劣を付けるのか。なぜ僕は生まれてきたたのだろうか。みんなが当然のように出来ることをなぜ僕は出来ないのだろうか。そしてなぜ出来ないだけで迫害されなければいけないのだろうか。なぜ、なぜ、なぜ、、、生きているのだろうか、、、。
僕はこの世界が嫌いだ。魔法なんて嫌いだ。僕を可哀想な目で見てくる人が嫌いだ。同情してくる人が嫌いだ。その人たちは僕のなにが分かるのだろうか。分かろうとしたってきっと分からない。だから、、、だから、僕は世界なんて嫌いだ。
序章 始まり
この世界は魔法が世間の隅々にまで広まって久しい。料理するのにも掃除するのにも徒歩以外の移動手段でさえも魔法が使えなければ出来ない。そう僕は魔法が使えないのだ。世界は魔法の発現により急速の発展を遂げた。馬で車を動かしてたのは今では魔法によって動かされていたり、学校でさえ魔力がある前提での授業が行われる。そんな中、魔力を持たない人々は旧人類と呼ばれるようになった。新人類の中には旧人類の撲滅を掲げる人々もいるほどに旧人類は人権を無くしかけている。だから、僕はひっそりと目立たずに生きてきた。魔力も友達もなく生きる気力すらも失いかけていた。
僕、ハルジオン・クロッカスはいつも通り通う意味もないアカデミーで授業を受け、その帰り道にいた。もちろん友達はいないので1人で帰っているところだった。
僕がさっきまで歩いていたところが爆発した。
僕は走り始めた。恐らく先程の爆発は僕を狙った爆裂術式だろう。こんなことは日常茶飯事だ。旧人類、つまり魔力がない人々を狙う過激派の攻撃によるものだ。
「バリンッ」
振り返ると後ろに拳2つほどの氷柱が道に刺さっていた。僕は回避行動を織り交ぜながら家へと向かった。幸い僕の一族は魔力は使えないがこの国スフィア帝国の貴族で裕福だったので過激派と遭遇した時の対処は学んでいた。だけど、学んでいたとしても魔法を使えるものと使えないものとでは勝負にならない。だから逃げるしかないのだ。
周りの群衆からざわめきが聞こえた。
振り返ってみると僕のすぐ後ろに氷柱が迫っていた。このままでは僕は頭を氷柱に刺されて死んでしまう。魔力がなくても使える魔道具を使うにしてももう遅い。僕は生きるのを諦め瞼を閉じた。
そして覚悟をした。しかし、そこには一人の少女がいた。髪はひどく痛んでおり、元の色が分からないほどに汚れている。服装はボロ布一枚だけでフードを深くまで被っている。右手には豪華な装飾が施されてありながらも実用的で立派な剣を持っている。どうやらその少女が剣で防いだらしい。
「あ、、ありがとう」
僕はその少女に礼を言った。
「走って!!早く安全なところまで行って!」
僕はその少女に言われるがまま自分の家まで走った。あの少女は誰だろう。僕はその日その少女のことが頭から離れなかった。あの少女は誰だろう。どこから来たのだろう。そんなことがずっと頭の中を埋めつくしていた。