聖女の称号オークションで売ろうかと思ってるんですけど
「あのね」
「いかがしましたか聖女様」
「聖女の称号をオークションに出すことに決めました」
「なんでですか?」
「ギャンブルでだいぶスっちゃいまして」
「最近礼拝にいないと思ったらなんてことを」
「途中まで勝ってたしいけると思ったんですよね」
「みんなそう言って地獄に堕ちるんですよ」
「しょうがないのでどれ一つわたしのネームバリューを売り払ってみようかと」
「聖女の称号を売り払ってしまったらあなたはただのギャンブル中毒者になるのでは?」
「確かにそうですね。わたしは聖女じゃなくなっちゃうけどしょうがないので終身で面倒みてください」
「クソバカが いいわけないでしょ」
「あっいま罵りましたね」
「今まで罵りに発展していなかったことに感謝してくださいよ」
「聖職者ともあろうものが」
「よくこの状況で説教する側になろうとしますね」
「わたしは見習いの子を沢山育ててきたのでね」
「見習いの子も今頃泣いてますよ なんちゅう師匠を持ってしまったんや」
「みんな元気してるかなあ」
「あなたよりは数倍も健康優良でしょうよ」
「だといいんですけどね」
「まあそこらへんは神にでも頼むとして」
「神に対する態度が些かフランクすぎませんか」
「聖職者なのでね」
「聖職者ってそう言う意味じゃないと思いますよ」
「オークションで自分の肩書き売り飛ばそうとしてる人よりずっとマシですよ」
「言い返せませんね トホホ」
「ほんとに売り飛ばすんですか?」
「金貨100枚くらいからで行こうかと」
「挑戦的ですね」
「エヘヘそうですかね」
「軽蔑の意味で言ってるんですが」
「自分の知名度には自信があるので」
「悪名の間違いではないんですか?」
「悪事は貴方の名義を使ってやってるので大丈夫です」
「おい」
「インターネット形式か競の形式かどっちでいきましょうか」
「今なんつった」
「インターネットだとまとめて販売もできちゃうみたいですね。ついでに貴方の悪名も売り払ってしまいましょう 悪霊退散!」
「お前んちのベッド粉々にするぞ」
「もう差し押さえられちゃってるんですよね」
「だからそんな大荷物だったんですか」
「しばらく教会で寝泊りします」
「神よ そろそろこいつの鎖骨折っても良い頃なのではないでしょうか」
「鎖骨は一昨日折っちゃいましたね」
「タイムリーな脅し文句だったのですね」
「まあ左側の鎖骨は無事なんですが」
「じゃあ片側は無事なんですねオラッッッッ」
「オギャア“ア”ア“ア”ア“ーーーーーー!!!!!!」
「回復魔術」
「ありがとうございます。回復しました」
「そうですか。」
「じゃあわたし オークションで聖女の称号出しますね」
「私の名前は売らないでくださいよ」
「あっ」
「えっ」
「言うのが5秒遅かったですね」
「嘘でしょ」
「おおっ すごいですね もう6件入札が入っていますよ」
「助けて」
「話題の商品にランクインしてます デジタル社会は凄いですね」
「神よ」
「皆さん値下げ交渉の構えを取っているようです」
「値下げなんかしないでください 私の名前だぞ」
「わたしの名前でもありますよ」
「高額の構えを取り迎え撃ってください」
「5500金貨で売れました」
「5500?100金貨が?」
「そうですね」
「メチャクチャすごいじゃないですか…」
「才能あるのかもしれませんね 交渉のお仕事やってみようかな」
「元聖女ですしいいんじゃないですかね」
「貴方も元聖職者になっちゃいましたね」
「お前のせいだぞボケナスが」
「思い出したように怒りますね 情緒不安定なのかな?」
「お前のせいだぞ」
「ところで我々は二人とも肩書きに元、が付いたわけですが」
「お前のせいだぞ」
「ここの教会から退去しないといけませんね」
「せっかく自分色に改装したばっかりだったのに」
「壁を金色に塗ったの貴方の希望だったんですか? なんて女だ」
「なんて女だって言いたいのはこっちの方だよ」
「おあいこですね ヴァハハハハ」
「仮にも聖女だった奴がしていい笑い方じゃないだろ」
「では今日は野宿で過ごしましょうか テント持ってきました」
「用意が周到すぎる」
「これもオークションに出せますね」
「ん?」
「インターネットもあるからまだまだたくさん売り払えちゃいます」
「ま、まさか…」
「次はこの手持ちの杖でも売っちゃいましょうか ンヴァハハハハハ」
「こいつギャンブル中毒どころかオークション中毒まで患ってたのか……」