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なつやすみ  作者: 書常時雨
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2019.8.13

「このまま逃げよう」

 持ってきたのは財布といつも担いでいるリュックサックと少しのお菓子だけ。

「免許持ってる?」

「一応ね」

「それなら借りれるね」

「名前はバレちゃうけれど」

「いいさ、そこまで追ってこないさ」

 そう。今から2人でやろうとしていることは、駆け落ち。まさか19歳でやるなんて考えたこともなかった。

「住むとしたらどこがいいと思う?」

「そうだな〜。23区から少し離れた場所じゃない?」

「それがいいね」

 胸が踊った。今乗っている普通列車の中で叫びたいくらいに。

 今乗っている普通列車は新幹線に乗れる駅まで直通で走る電車。だからさっさとこの場所から旅立てるんだ。

「今持っているお金は?」

「2万円」

「最高じゃん」

「マジ?どんくらい持ってきたの?」

「14万。お年玉をずっと使わずに貯めさせられてたから」

「じゃあ生活できるね」

「よくそれで来たな」

「少しの罪滅ぼしでね。大学辞めちゃったから」

「そこは小学生の頃と変わらないね」

「汚くてせこい大人には大きく前進したけど」

「そうじゃなきゃ駆け落ちなんて出来ないさ」

 今日はお盆。お互いに親戚の家へ行く用事はあったものの、「具合悪い」という言い訳を使って家に誰もいなくなってから2人で駅へ向かった。

「もし何年後かに見つかったらどうする?」

「今日じゃなくて?」

「今日はなんか、いける気がする」

「同感。少し意地悪で言ってみたかっただけ」

「なんだよ。で、どうする?」

「いいじゃないの。見つかっても。今度は関西の方に逃げればいいんだから」

「そうだね。見つかったらまた2人で逃げよう」

 電車はいよいよ新幹線の停まっている駅に着くアナウンスが流れた。いよいよだ。

「どこで降りる?」

「東京まで行くと高いし無駄だから、一旦大宮で降りよう。条件は合ってるし」

「そうだね」

 もう夏の終盤だった。でも9月だって暑いはず。

「どんな生活になるんだろうね」

「楽しみでしょ?」

「意外とね」

「とんでもない親不孝者だけどね」

「それでもいいさ」

 電車はスピードを落として停った。ドアを押しボタンで開ける。暑く、蒸し蒸しとした空気が2人を包む。

「始まるね」

「うん」

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