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それは物語を紡ぐため

「いらっしゃ……って何だ、オリガか」


 そのなんともな挨拶を気にせずに、カフェのマスターがいる前のカウンター席に黙って座る。まだ月に到着した頃から世話をし続けた、親の知り合い。

 ことん、とホットココアをテーブルに置いてやる。


「今日、サイボーグを壊した」


「何だ、いつものことじゃないか」


「……子供だった。

 今日壊したのは、多分10歳にもならないぐらいの」


「幼い年齢でサイボーグ化……珍しいことなのか?」


「少なくともオレが会ったのは初めてだった。

 可能性の話だけどよ。オレも地球から出ようと思って、ああなってたかもと思うとさ……そもそも今オレは何の為に生きているのか、そんなことを考えちまってる」


「らしくないな」


 少し間を空け、続ける。


「記憶メモリチップを差し込んだだけのサイボーグは自我崩壊に至るんだろう? 」


「ああ」


「違法サイボーグ。故障パーツはすぐ新品に変更できるし、規格さえ合えば、まったく違うパーツで置き換えても問題がない。

 手も足も体も頭も、記憶さえも。なら、どこまでが自分でどこから先が別の存在なのか? いずれその問いから逃げることは出来ない。それを知ってるお前はそんな哀れな存在を目の前にして何ができる?

 たとえ依頼を受けたハンターでなくてもだ」


「……オレに出来ることはただ破壊することだけだ」


 カウンターのテーブルに右頰を付けながら言う。


「それでいいと、私は思うね……それでも納得いかないならそうだな。人生の目的は『自分の人生の目的』を探すことである、でいいんじゃないか?」


「……なんだそりゃ」


「まあ変な言い方かもしれないがね。

 自分ができる範囲で苦労して自分でそれを見出してこそ、自分という存在はかけがえの無いもの、と思えるようになるんだろう。

 自分だけの人生の目的を作り出す。それは一つの物語を作るということだ。自分で物語をつくり、それを信じて生きていく……ってことでどうだ。」


 マスターの顔はとにかく自信に満ちていた。

 それを目の前にして、反論などどうして出来ようか。

 そう、思うしかなかった。


「オレは、その言葉に納得した!、ってことにしといてやるよ」


「それでこそお前だ。いや、その自分らしさを決めるのはお前だったな」


 彼女の中の迷いは消えた。

 ただ彼女の人生を突き進む。

『流星の破壊神』の称号を手に入れ語り継がれるのは、もう数年先の話である。


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