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わたし、メリーさん。

作者: 鷹村紅士

SNSにメリーさんが出没したら、とネタを思い付いたけれど……。

地名は敢えて変えています。

 ○月○日

【わたし、メリーさん。今、子田藁(こたわら)城にいるの】


 観光名所巡りいぇーい!

 お城でっかーい!


 ※春物の清楚なお嬢様スタイルでお面を被った女の子が城を背景にダブルピースしている画像※


 ※お城の外観の画像※



 ×月×日

【わたし、メリーさん。今、富羅乃(ぷらの)にいるの】


 紫の縦断じゃなくて絨毯!

 雲一つない青空! 涼しい風!

 ラベンダーのいい香りが最高!


 ※白いワンピースに麦わら帽子姿の女の子(お面装備)が青と紫の世界で両手を上げて喜んでいる画像※


 ※風景画※



 #月#日

【わたし、メリーさん。今、時縄(ときなわ)にいるの】


 夏の時縄!

 白い砂浜! 透明な海! 一夏のあばんちゅ~る!

 期待したけど台風でホテルで~す。

 外に出れない~


 ※ホテルの部屋でorzしているお面の女の子の画像※


 ※大荒れの外の画像※



 △月△日

【わたし、メリーさん。今、高伊保峰(たかいほみね)にいるの】


 山登りいえーい。

 疲れた~。とりあえず神話のなんかすごい道具見てきた~。

 これから降りる。

 もうむりぽ。


 ※登山装備のお面を被った女の子が杖にしがみついてプルプルしている画像※


 ※山の上から撮影した風景画※



 □月□

【わたし、メリーさん。今、玖路山(くじさん)にいるの】


 ま~た~や~ま~の~ぼ~り~。

 お山に登って初日の出~。

 綺麗。

 それだけしか言葉が出ない。

 来てよかった。


 ※初日の出に照らされる防寒装備の女の子(お面装備)の画像※


 ※初日の出の画像※



 ◇月◇日

【わたし、メリーさん。今、達幌(たっぽろ)にいるの】


 雪まつりー!

 色んな雪の像をチェキラ!

 寒い。


 ※もこもこに着膨れたお面被った女の子が雪像の前で震えている画像※


 ※雪像の画像※



<月<日

【わたし、メリーさん。今、綺羅形(きらかた)にいるの】


 桜の名所キタコレ!

 風に舞う桜の花びらがとっても素敵。

 晴れの日を狙ってきた甲斐があった。

 お弁当もおいしー。


 ※桜の花びらが舞う中に佇むお面姿の少女の画像※


 ※お弁当の画像※


 ※花びらがわちゃっと載ったお弁当の画像※



 /月/日


【わたし、メリーさん。今、時縄(ときなわ)にいるの】


 時縄、りたーん、いず、リベンジ!

 晴れたー! 遊ぶぞー!


 ※白い砂浜と透明な海の画像※


 ※巨大水族館ではしゃぐお面姿の女の子の画像※


 ※水平線の画像※



 ◇◇◇◇◇


「つかれたー」

「お疲れー」

「あついー」

「クーラーいれるからちょっと待ってなー」


 某県にあるマンションの一室。

 旅行から帰って来た男女は茹だるような暑さの自宅へと入っていった。

 長い髪の毛をツインテールにし、白いワンピースを纏った少女は荷物を放り出すとソファーへとダイブした。

 一方、男の方は汗を拭いつつ締め切っていたカーテンを開け、クーラーのリモコンを手に取った。


「たろー、むぎちゃー」

「はいはい、ちょっと待ってなー」


 少女のお願いに、たろーと呼ばれた男──単俵太郎(たんだわらたろう)は流れるように冷蔵庫に向かって行った。


「メリー、氷は入れる?」

「ましましでー」

「ほどほどにしとく」

「えー」


 氷とキンキンに冷えた麦茶を注いだジョッキを、クーラーの風が当たる場所へと移動していた少女、椎乃宮芽里衣(しいのみやめりい)へと手渡す。


「んぐ……んぐ……ぷはー。あー、おいしー」

「ほい、タオル」

「あんがと」


 太郎に手渡されたタオルで汗と口元を拭うと、メリーは再びタレた。


「いやー、疲れたねー」

「毎度のことだろ? 季節毎に二人で思い出を作ろうって約束したし」

「んふ~、それを律儀に守ってくれるからたろー好きー」

「よせやい」


 太郎は照れ臭そうに笑った。

 そして思い出す。

 かつて、まだ幼かった日にメリーと出会った日の事を。

 あの日からずっと、メリーは太郎に取って大事な、半身とも呼べる大切な存在だ。

 今も、そしてこれからも。


「でもメリー、帰ってくる時にちょっと気分悪そうだったけど大丈夫か?」

「ん~、暑かったからバテたっぽい~」


 そう言いつつ、メリーはパタパタと足を振っている。

 太郎はそれを見ていぶかしむ。

 メリーは人外の体力を誇る。

 それはもう、太郎がバテていてもメリーは元気に全力疾走してはしゃいでいるくらいには元気が有り余っている。

 しかし、何度も二人で旅行に行ったが、ここまでメリーが疲れている姿を太郎は見たことがない。

 旅先ではしゃいでいたのは事実だ。

 それで体力を消耗するのは当たり前だ。

 夏バテもするだろう。

 けれど、去年やその前の夏と比べるとあからさまに疲れているように見える。


「メリー、夕飯は精がつくようなもの食べようか?」

「ん~? 今夜もハッスルハッする?」

「いや、それとは別にして。メリー、疲れてるだろ?」

「いや~、だいじょ~ぶ? かな?」


 太郎はメリーの側にしゃがみこむ。


「今日はゆっくり休もう? はしゃぎすぎたんだろ?」


 頭を撫でつつ、太郎はメリーの身を案じる。

 心配性だと思う。

 一時的なものだとも思う。

 しかし太郎はどうにも嫌な感じがした。


「…………」

「メリー?」

「……ちょ、気持ち、わる……」

「メリー!?」

「……うぷ、け、っけふ、けはっ」


「メリー!? メリー!!」


 体調を急変させたメリー。

 焦る太郎。


 この日、二人の旅行三昧の騒がしくも楽しい日々は終わりを告げた。





 そして、三年の月日が流れ。





 ∥月∥日

【わたし、メリーさん。今、愛しのダーリンとミニメリーの三人で遊園地にいるの】


 ※仲睦まじく寄り添うお面を被った三人の親子の画像※


登場人物(無駄な裏設定つき)


・椎乃宮芽里衣

メリーさん。被っているお面はメリーさん繋がりで羊。

ツインテールが似合う女の子。

基本的に能天気で太郎が大好き。

二人のらぶらぶだいありーを増やすために旅行に行ってハッスルハッする。

SNSに投稿しているのは面白そうだからというだけ。


かつて日本で起こった呪術災害【怪異具現乃法】によって受肉した怪異の一体。

出現したのはいいものの、ぽんこつ具合が激しく空腹で倒れた所を太郎に餌付けされたことで彼になつくことに。

標的を決めるとそこに迷いなく行ける天然ナビ機能を使って旅先でも安心!

元気がないと思ったら実は新たな命を授かっていたという事実が!

怪異と人の間に子供ってできるの?

愛だよ、愛。

後に慌てて単俵姓に。


・単俵太郎

たろー。主にカメラマン。

メリーが大好きで、彼女のためならわずかな連休でも旅行に行くぜ!


ただの凡人。子供の頃に行き倒れたメリーさんを見つけてご飯を食べさせたらなつかれた。

なんやかんやあってメリーさんとは恋人に。

愛しのメリーさんの体調が急変して焦ったけれど、子供が出来ていたと聞いて歓喜。

あれやこれや忙しくしていたけれど、幸せ一杯のリア充。ハッスルハッする。

海でメリーさんの水着写真がない?

全部自分用ですが何か?

出来ちゃった結婚で大慌て。


・ミニメリーさん

二人の愛の結晶。

可愛い女の子。

ぶっちゃけ母親より存在が安定していて高性能。

やがて五人の弟妹を可愛がることに。



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