白姫と雪姫
「鏡よ鏡、美しいのはどちら?」
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「まぁ、あれは姫様よ!
お散歩にでもいらしたのかしら!」
街の大通りを歩く、6人ほどの人たち。
ふたりの美しい女性と、その周りにいる鎧を身に纏った人たち。
「ママー! あの綺麗な人、だーれー?」
「ふわふわのウェーブのかかった髪の人が、姉の白姫様、まっすぐな髪の人が妹のゆき姫様よ。」
「いいなぁー! お姫様なりたーい!」
そう、白姫と雪姫は、双子の姉妹。
「ふふ、女の子は誰でもお姫様になれるわよ。」
「ほんとー?! お姫様なるー!」
「し、白姫様...!」
優しい微笑みを見せ、白姫が子どもに話しかける。
そして、綺麗な花かんむりを子どもの頭にのせた。
「ほら、これでお姫様よ!」
「わぁー! ありがとう!」
「白姫様、こんな綺麗なものを...」
「いいのですよ、奥さま。
さっきお城の庭でつくったものですから。」
そんな微笑ましい光景の中、雪姫はさっさと歩き出す。
性格は、正反対。
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そんな双子の娘を、女王は恐れていました。
なぜなら、美しく成長していくからです。
自分が1番美しくなければ、気が済まないのです。
なので、女王は毎日、魔法の鏡に聞きました。
「鏡よ鏡、この世で1番美しいのは誰?」
「それはあなたでございます、女王様。」
ところがある日、いつもと違う答えがでました。
「それはあなたの娘でございます、女王様。」
彼女は怒り、猟師を呼びました。
「あいつを殺し、心臓をわたしに持ってこい。」
しかし猟師は、美しい姫を殺すことができませんでした。
猟師は姫を逃がし、女王にはイノシシの心臓を渡しました。
「鏡よ鏡、この世で1番美しいのは誰?」
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『それは白姫でございます、女王様。』