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地霊殿初日

「へックシュン!」


 どうやら私の話を誰かがしているらしい。体が重く感じないこともないが、風邪ではない。断じて。


「ギーッ」


 と若干の軋み音を伴いながら部屋のドアが開く。そしてお盆と皿を持って従者(メイド)である


『十六夜 咲夜』


 が入ってくる。


「失礼します。ご夕食を……って。お嬢様! ダメじゃないですか! またベッドを抜け出して! ほらこんなに熱がなさいますのに……。」


 と言って、おでこに手を当ててくる。……冷たくて気持ちいい。


「だって、(敵地の)ベッドでリーダーであるこの私


『レミリア・スカーレット』


 が堂々と休ませて貰うわけにはいかないでしょ?」


 そう。ここは地獄。かつ、敵の本拠地、地霊殿なのだから。



ー数時間前ー


 ……やけに熱い地獄に着き、地霊殿を見つけた私たち。


 戦線布告の代わりに


 スペルカード


 神槍『スピア・ザ・グングニル』


 を真上からぶっ放した。


 のだが。それと同時に力が入らなくなり、私は地霊殿の敷地に落下してしまった。(正確に言えば咲夜がキャッチしてくれて大きな怪我には至らなかった)


 不思議なことがあった。


 ほんの一瞬だったが、()()が現れ、グングニル、及びそれに付随する弾幕はその何かに吸い込まれるようにして消えていったのだ。


 敷地内に落下した私を追うようにして他の皆も地霊殿の庭に着地する。そこで待ち構えていたのは、手荒い歓迎ではなく、むしろ逆の手厚い歓迎だった。


 そこで、少しだが会話をしたのち、地獄の熱さで気付かなかったが私が熱を出している事が判明。看護され、今に至るというわけだ。


ー現在ー


「それでも、お嬢様は病人です。しっかりお休みになさって下さい。それに、ほら、後ろの彼女も首を縦に振って下さってますし。」


 ……後ろ? 少し鈍った頭を働かせていたのでとっさに反応できない。それに人がいる気配なんてどこにも……。訝しみながらも私はゆっくりと振り返る。


「……ワーッ! ……けほっ、けほっ。」


 驚きのあまり咳き込むほど、肉薄した距離に彼女は立っていた。


「どう? 元気になった? あの薬の効果がもうそろそろ出てくるはずだよ?」


 あまりにも無邪気な笑顔でこちらをみる彼女は


『古明地 こいし』。


 地霊殿の主である


『古明地 さとり』


 の妹だということだ。


 館の主の妹。というところとかとは別に、雰囲気がどこかフランに似ているような気がする。多分、この子はフランと仲良くなれると思う。


 話を戻すが、彼女は薬の効果が出てくる。と言った。しかし、私には薬を飲んだ記憶は無い。彼女への返答に困った私は咲夜を見る。すると咲夜は、


「お気付きになりませんでしたか? 昼の食事にバレないレベルに混ぜ込んでおきました。お気付きにならなかったのであれば、食事を作ったメイドとしても嬉しい限りです。」


(普通、そういうのって薬単体で飲む物じゃないの? 色々、あれとそれが反応して薬が効果をなさなくなるとかあるんじゃないの!? 確かに、食事に入ってるとも思わなかったし、美味しかったけども!)


 という心の内を見透かしたかのように咲夜は続けて言う。


「そういうことなら問題ありません。パチュリー様が直々に薬を調合なさってくださいましたので。」


「そう、パチェが。」


 私は得心した。


 私がパチェと愛称をつけている彼女の名前は


『パチュリー・ノーレッジ』


 パチェとは古くからの付き合いで今は紅魔館の図書館の番人。また、魔法使いだ。普段なら体が弱く、外出など滅多にしないのだが、「地獄に行く。」と言った途端、目を燦々を輝かせて、「私も行く!」と言った。珍しいこともあるもんだ。と思ったが、パチェが一緒に来てくれて本当に良かったと思っている。


「…………。」


 ジトーッとした目、無言でこちらを見つめるこいし。


「ごめんごめん! 忘れてたわけじゃないの! でも、確かに良くなって来たかも。」


 実際、症状が改善してきたように感じる。


「……ってなんでこいしがその事を知ってんの?」


「交換条件だったんだー! 地霊殿の本がたくさん置いてある場所を教えるかわりに、パチュリーが今、何してるのか教えて?って」


 いかにも自信ありげに彼女は言う。何に自信が有るのかは判らないが、とにかく元気だ。

 そして、パチェが俄然乗り気だった理由が判明した。彼女は地獄にある本が読みたかったのだ。


「そうなのね。少し調子も良くなってきたことだし……」


「ダメです!」


 咲夜に言葉を遮られる。


「まだ何も言ってないじゃない……。」


「お嬢様のことです。どうせ、強がって無理をなさるに違いありません。どうか、煩わしいでしょうが、もう暫しの間、ご休憩なさってください。」


 ぐうの音も出ない。まさに、そのような行動をしようと思っていたところだったからだ。かといって、反論するとそれはそれでめんどくさいので従っておく。


「分かったわ……。」


「では、お食事を済まされたら、お呼び下さい。」


 と言って、咲夜はテーブルに食事を置き去っていく。


 さて。食事を食べようとしたものの、目の前には、こいしがいる。しかも目をキラキラさせているから余計に食べづらい。私は諦めてこいしに話しかける。


「……そこまでお腹空いてないし、半分ずつにしようか。」


「うん!」


 キラキラした笑顔がとっても可愛らしい。勿論、フランの方が()()()()()が。


 とはいえ、スプーンとフォークは1セットしかない。さて、どうするか。というところで、ドアがノックされ開く。


「スプーンとフォーク、小皿をお持ちしました。」


「盗み聞きとは感心しないわよ。でもありがとう。」


 咲夜はそれらをこいしの前に置くと去っていった。


 こいしとの食事は楽しいものだった。こいしのお姉さんのさとりの話を聞いたり、逆に妹のフランの話をしたり。


 そして、食事が終わるとこいしは満足したように帰っていった。


「楽しかったよ! また話そうね!」


 と言って。


「ええ。機会があればまたお話ししましょう。今度はさとりさんとフランを誘って。」


 この時点で、地霊殿を攻めようとしていた事など、とうに忘れていた。


 話疲れからか急に眠気に襲われ、私はベッドに入るとすぐに眠りに落ちた。

いかがだったでしょうか?戦闘シーンを書きたいけど難しそうなのでまだ書きません私です。もうそろそろ異変要素入れていきたいなと思います。ではまた次回お会いしましょう。

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