番外編 反省会~メタ発言あります~
【あらすじ】
同人ゲームを作ろうとした壱人の前に、黒天使マイナマイナが現れ、ゲーム制作を後悔している10年後の壱人(イッQ)を連れてきた。
※現在、休載中。
【登場人物】
壱人 :同人ゲームを作ろうと思っている大学生。
イッQ :ゲーム制作を挫折し続けて後悔している10年後の壱人。
マイナマイナ:イッQを10年前に連れてきた黒天使。
「では反省会を始めるのデスデス」
黒天使のマイナマイナが仁王立ちになって口火を切った。
「どうしたんですか、いきなり?」
ローテーブルの側に座るように言われた壱人は突然の展開に戸惑った。すると横から美少女バーチャルアイドル・ミッQのフィギュアに憑依しているイッQが補足する。
「ネット小説大賞運営チームのスタッフ様に感想を書いてもらったので、何か反応しようと思ったが、本編の更新は無理そうなんで、とりあえずメタ発言だらけの番外編で取り繕う事にしたんだ」
※コンテスト応募時に「感想サービス」を希望すると、抽選で感想を書いてもらえるサービスです。
「それ7月の話じゃないか!今、11月だぞ?」
「色々やる事があったんだよ!」
壱人のツッコミにイッQがひるむと、マイナマイナがすぐに本題へ戻した。
「そんなのは些細な事なのデスデス!最後の更新から2年以上も経っているのデスデス。この機会に書けない原因を見つけ出し、解決策を考えるのデスデス!」
「そうだ、そして更新の再開を目指すんだ!」
勢いに押され、壱人の口調は弱まる。
「でも今は、別の作品を完結させるのに集中してるんだろ?」
「だからと言って何もしないのは勿体無いだろ!出来る時にやっておいて損は無い!」
イッQはゲーム制作を挫折し続けて後悔している10年後の壱人である。その自分の言葉に心を動かされた壱人は協力することにした。
「それで何が問題なんだ?」
前向きに原因に向き合おうとする壱人に、マイナマイナはあっさりと言った。
「明白デスデス。それは壱人君、あなたデスデス!」
「え?俺????」
「そうだ、お前だ!」
二人に断言されたものの、何の事か分からずに首を傾げる壱人に、マイナマイナはある事例を持ち出した。
「プニさんを見なさい。単独で主役の話が出来たばかりか、ツイッター小説として2年連続更新して、小説家になろうでも、もうすぐ100回目の更新デスデスよ!」
※別の小説の話です。よろしければ「プニプニ勇者」もご一読下さい。
それを聞いてイッQは悔しがった。
「プニの奴、本来ならこっち側のくせに、あんなに活躍するなんて!」
「仕方が無いのデスデス。今が第一部なら、プニさんの出番は第二部。更新の気配の無い一部が終わるのを待っていたら、いつまで経っても出番はやって来ないのデスデス!」
「自ら出番を勝ち取ったって訳か!」
マイナマイナは更に衝撃の事実を告げる。
「しかもまだ先の話デスデスが、プニさんは探偵の方にも出るつもりのようなのデスデス!」
「本気か!」
「あの世界観にどうやって溶け込むつもだ!?」
「それが出来るのデスデス。それがキャラが立っているという事なのデスデス!」
「俺はプニには勝てない。あいつは自由過ぎる!」
「プニに勝つ必要はないんだぞ。」
弱音を吐く壱人を、イッQがすぐにフォローする。そして励ますように言った。
「それに俺たちだってプニの話に出てるじゃないか?」
「そうだった!」
イッQの言葉に壱人は顔を上げるが、マイナマイナの声は厳しい。
「二人で一キャラのくせに、何を喜んでいるのデスデスか!キャラが弱いのを自ら公言しているようなものデスデス!」
しかし二人にはプニの話に出ているという余裕があった。
「出てるだけ良いですよ」
「マイナマイナさんは、癖が強すぎて出れなかったんでしたっけ?」
そして逆にマイナマイナの心配をする。
「失礼な!ちゃんと出てるのデスデス」
「そのままだと上手くいかなかったから、俺たちとは逆に要素を分けて二人のキャラになってましたよね。」
壱人の追加情報は置いておき、マイナマイナは話を進める。
「私が言いたいのは、キャラが立っていれば、キャラが勝手に話を生み出してくれるという事なのデスデス!」
マイナマイナは一呼吸置くと言い切った。
「逆に、設定とストーリーラインだけ出来ていても、キャラが弱ければ話の中で動かずに途中で止まってしまうのデスデス!」
それを聞いてイッQは何かを悟る。
「つまり、このままでは書く時間ができても更新はされない…って事か」
そして焦燥感に駆られて壱人に発言する。
「更新はお前のキャラの強さにかかってるという事だ!」
しかし今まで聞いていただけの壱人は冷静な口調で遮り、イッQを見た。
「それなんだけど、言わせてもらっていい?」
「何だ?」
「俺だけキャラが弱いみたいな話になってるけど、それは違うんじゃないか?」
「どういう事だ?」
不審気なイッQに、今度は壱人が断言する。
「イッQさん、あんたはバーチャル美少女のフィギュアに憑依している自覚が無さすぎる!」
「え?」
「今回だけみてもイッQさんがフィギュアに憑依している意味が全く無い!」
「うっ…」
「喋り方も俺とイッQさんはほぼ同じだから、地の文で説明する必要があって、地味に面倒なんだよ!」
壱人は更に強気で迫った。
「10年も経ってるんだから、もう少し変わっていても良いはずだろう!」
「10年くらいじゃ、人は変わらないんだよ!」
イッQは心の底から反論した。しかし壱人は畳み掛ける。
「そういう所がキャラの弱さなんだよ!語尾を変えるとか工夫しないと!」
「語尾変えは私とキャラが被るのでNGなのデスデス。」
マイナマイナから静かに釘を刺され、壱人はひるんだ。
「と、とにかく台詞だけでも工夫して、どっちが喋ってるか判別できるようにして欲しい」
「…分かった。」
イッQは壱人の言葉に素直に応じた。すると壱人はマイナマイナの方を向く。
「マイナマイナさんも設定を生かしきれてないと思います」
マイナマイナにもダメ出しである。
「黒天使、美少女、辛辣、ゲーム好きって設定なら、普通はもっと活躍してますよ!」
「自分が主役の話なら、もっと好き放題やるのデスデス。遠慮しているだけなのデスデス。」
しかしマイナマイナは動じない。
「遠慮しなくて良いです。マイナマイナさんが率先して話を動かしても問題ありません!」
「少し考えてみるのデスデス」
マイナマイナの説得も終わり、次は謎の生物、ピヤ號の番ある。
「ピヤ號はそのままで良いからな。」
<ピヤ!>
ピヤ號には甘かった。
「最後に俺はどうしたらいいだろう?」
壱人は自分のことも忘れてはいなかった。相談すると二人から意見が出る。
「もっと我を通した方がいいんじゃないか?今は芯が無くて話に流されてるからな。」
「本当なら、様々な問題に我武者羅に立ち向かって挫折する感じだったのデスデス。」
「でも、それだと書くのが大変なんですよ。文字だけとはいえ、気持ちを高めないと書けないと言うか…」
「確かに無理して勢いを出している感じがあったのデスデス。」
「そのせいで書くのが億劫になっていったのか?」
イッQはうーんと考えると口を開いた。
「だったら日常系のように、のんびりしつつ挫折とかどうだ?」
「のんびり挫折!?」
「プニはそれで続いているからな。」
「話が無理なく進むスタイルを見つけるのは大切なのデスデス。」
「そうだな。少しスタイルを変えるのも良いかもしれない。」
意見が出揃った所で壱人は纏める。
「良し!皆んなでキャラを強くして、自分達に合うスタイルを見つけて、再開を目指そう!!」
まだ全くキャラは立っていないが、それでも最後は主人公らしく締める壱人だった。
楽しみにしてくださっている皆様も、初めての方も、ご一読頂き、ありがとうございます!
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