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第02.5章 ヒヨコのような何かの名前
壱人の記憶の卵から生まれたヒヨコのような何かは、壱人、イッＱ、マイナマイナの前でピヤピヤ鳴きながら歩き回っていた。
「何ですか、これ？」
あれから充分に睡眠をとった壱人が不審げにマイナマイナに質問する。
「分からないデスデス」
マイナマイナも前例が無い為、その正体は不明であった。そして、卵のままなら元に戻す方法もあったのだが、今の状態では上手くいくかどうか分からない為、しばらくはこのまま観察する事を伝える。
更に、このヒヨコのような何かの身に何かあった場合、壱人にも影響が多大にあるので、安全には気を付けるようにとマイナマイナは注意した。何せこれは、壱人のゲーム作りの想いそのものだからだ。
最後に、一緒に暮らす以上、名前が無いと不便なので、この生物の名前を決める事にした。
「漢字の格好良いやつにしよう」
「『號』って付けたいな」
壱人とイッＱが色々と意見を出し合って考えていると、突然マイナマイナがヒヨコのような何かを手に持って宣言した。
「この子の名前は、ピヤピヤ鳴くので『ピヤちゃん』デスデス」
全くの反対方向の名前を付けられて、壱人とイッＱは固まってしまったが、だからといって覆せそうにはない。仕方がないので正式名称は『ピヤちゃん』に譲ったものの、最後の抵抗で壱人とイッＱはヒヨコのような何かを『ピヤ號』と呼ぶ事を密かに決めた。
ヒヨコのような何かは、そんな事はお構いなしにピヤピヤ鳴いていた。
