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プロローグ
大通りから脇道に入り、何本もの入り組んだ細い裏路地を通った先にある少し開けた場所。そこは周囲にある建物に太陽の光を遮られ、昼間でも薄暗く、風もちゃんと流れないからか、澱んだ空気が漂っていた。
そんな人も滅多に通らない路地の片隅、壊れた鍋やよくわからないがらくたの山の中に、隠れるように小さな少女が座っていた。
大きさは手のひらに乗りそうなほど小さく、その服は埃にまみれ、泥がつき、ひどく汚れていたが、膝上くらいまでのスカートに、おとぎ話に出てきそうな葉っぱのような装飾がついた変わった上着。
そのよれよれでみすぼらしくなった様子でなければ、誰もが『妖精』という存在を頭に思い浮かべるだろう。
少女はがらくたの山の中に蹲りじっとしていたが、不意に少女のお腹が可愛らしい音を鳴らすと、消え入りそうな声で呟いた。
『・・・・・・・。お腹空いた・・・。』