レッツ・メイク・ベントー
第6話レッツ・メイク・ベントー
«陽美視点»
料理なら負ける気がしない。
小学校の頃からずっとやってきた。
和食・洋食どちらも作れる。
それに月雲さんになんか負けたくない。
私は朝早く起きて作り始めた。
りょーくん喜んでくれるといいな♪
«ソフィ視点»
自分からふっかけた対決だけど
「どうしよう!」
料理なんてしたことない。
なんであんなこと言っちゃったんだろう。
でも、言ったからには全力でやるしかない。
その一心で、私は徹夜でお弁当を作った。
亮、ちゃんと食べてくれるかなぁ…
«貴田亮視点»
なんで料理対決なんかするのか知らないけど、女の子の手料理を昼休みに食べられるなんて、そんな嬉しいことはない!
俺は疑問に思いつつも、
2人の弁当を楽しみにしていた。
そして昼休み。
ハルとソフィが俺の席に来た。
「りょーくん!お弁当どうぞ」
「亮、私のも食べて」
あぁ、幸せだなあ
俺はそう思いながら2人の弁当を開けた。
まずはハルからだ。
「おお〜、弁当っぽい弁当だな」
白米に整った卵焼き、唐揚げ、微塵切りにしたキャベツが綺麗に並んでいる。
そしてなによりも目を惹くのが、鰤の煮付けだ。
俺は鰤の煮付けが大好きだ。
「鰤の煮付けじゃないか!
ありがとう、俺の大好物を入れてくれて」
「喜んでもらえて嬉しいよ、食べて食べて」
鰤の煮付けを口に運ぶ。
口の中に入れた瞬間、とろけて崩れる。
甘過ぎず辛過ぎず、最高の味加減だ。
まさに俺好みの味。
「美味い、最高に美味いよ」
「やった、早起きして作った甲斐があった」
「これだけ料理上手いと良いお嫁さんになるだろうな〜」
何気なく言った一言でハルは赤面し、
「お嫁さんだなんて…恥ずかしい」
と訳の分からないことを言っている。
次はソフィの弁当だ。
「めちゃくちゃ見栄えいいじゃん」
料理はオムライスとシンプルだが、
どこぞのレストランのような見栄えをしていて、とても美味しそうだ。
アムッ
「こ、これは…」
「どう?」
………
「不味い」
「え?そっか…
ごめんね、変な物食べさせて。」
不味い、でも食べる手は止めない。
「不味いのになんでまだ食べてるの?」
半泣きでソフィが聞いてきた。
そんなの理由はひとつしかない。
ソフィの目の下の隈を見れば分かる。
「徹夜して、作ってくれたんだろ?
そんなに頑張ってくれたものを食べないわけにはいかないだろ」
美味しいものは美味しいと、
不味いものは不味いと素直に言うのが
俺の流儀だ。
でも頑張ってくれたものを無下にするほど野暮でもない。
そして黙々と2人の弁当を食べ続けた。
やっと食い終わった〜
もうお腹がパンパンだ。
「2人ともありがとな」
感謝を伝える。
「で、どっちが美味しかった?」
とハルが言うと
「そんなの桐野さんに決まってるじゃない」
俺は素直な気持ちを2人に告げた。
「ああ、ハルの方が美味しかったから
味はハルの勝ちだ。」
「やったー、私の勝ち〜」
「でもな、こんな俺のために徹夜してまで弁当を作ってくれたソフィは努力が勝ってる」
うん、勝ち負けなんかつけられない。
だって2人ともこんなに頑張ってくれたんだ。
「だから同立1位だな」
「優柔不断だな〜」
「気を遣われちゃった。」
2人に再度礼を言う。
「今日はほんとにありがとな
ハル、まじで鰤の煮付け美味しかった。
ソフィ、見栄えは良いんだから後は味付けだ。今度一緒に練習しようぜ」
「褒めてくれて嬉しい、えへへ」
「うん!一緒に」
その時、そんな俺たちの姿をずっと見ていた
少女に気付いたのは放課後のことだった。
ここまで読んでくださりありがとうございます
ついに500PVv(。`・∀・。)vィェィ♪
本当に感謝です。
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次回はついに新キャラか!?