なにこれ、喧嘩の物語?
第36話 なにこれ、喧嘩の物語?
「俺はホモじゃない!」
マサのおかげでとんだ大迷惑だ。
でも、まだこのクラスにソフィがいなくて助かった。
ソフィは純粋に信じそうだからな。
バレるわけにはいかない。
一限目が終わるといつものようにソフィが教室に入ってきた。
ただ、なにか様子がおかしい。
「ソフィ、なんかあったのか?」
「亮って、ホ、ホモなの?」
バレてた~~~~
噂流れるの速くないか?
さすが高校、恐ろしい。
「誰が言ってたんだよっ!俺はちゃんと女の子が好きだ」
「でも、学年中に広まってるよ?」
な!?
どんな速さだよ、高校生ってすごい…
って、感心してる場合じゃない。
一刻も早くこの噂を消さなければいけない。
だが打開策を思いつけない。
とりあえず地道に否定していくしかない。
7限までたっぷりあった時間を使ってたどりついた答えがこれだ。
放課後、ホームルームが終わってすぐに俺は校門で叫び続けた。
「俺はホモじゃない!ホモなのは堀間勝くんで~す。
俺はホモじゃない!ホモなのは堀間勝くんで~す。
俺はホモじゃない!ホモなのは堀間勝くんで~す」
途中でマサに殴られたが、実際の原因はあいつだ。
罪悪感はない。
そんな時、車のクラクションが辺りに鳴り響いた。
音のした方を見ると、
トラックの運ちゃんが怒鳴っているところだった。
「おい、クソガキ!危ねえだろ。もっと周りを見ろ!」
「でも、信号は青だったの」
怒鳴られていた少女が反論する。
確かに俺も確認した。
振り向いたときに信号は青だった。
だからその少女は悪くないはずだ。
「でもじゃねえ!トラックが通るときは青でも止まれ。
これ常識、わかるか?あぁん?」
うわぁ、出たよ自己中心的な奴。
「返事もできねえのか。最近の子供はダメだな」
さすがにここまでアホな奴がいると腹立たしい。
少女も呆れてなにも言わない。
てか銀髪じゃね?ハーフ?外国人?
顔は良く見えない。
まあそんなことより運ちゃんに生意気言わせてもらうぜ。
「返事する必要ないだろ。最近の大人はダメだな」
おっさんが睨んでくる。
「なんだお前、文句あんのかゴルァ?」
「すまんおっさん、文句しかねえわ。
歩行者の信号は青だっただろ?
つまりおっさんからしたら信号は赤だ。赤の時は停車する。
これ常識、わかるか?」
正論や、言い返せるものなら言い返してどうぞ。
おっさんは拳を作っていた。
ま、殴れないよな。殴ったら警察行きグハッ!
まじかよこいつ殴りやがった、相当のバカみたいだな。
「いいのか?警察行きだぞおっさゴォエッ」
やばい、このおっさんバカ強い。
振りほどこうにも馬鹿力で押さえつけられる。
何度も何度も殴られ、意識が朦朧としてくる。
これ死ぬかもしれないな、抵抗もできないなんて情けない。
周りの生徒たちはただ見ているだけで助けてくれない。
こんなに呆気なくやられるなんて悔しいもんだ。
俺は完全に諦めモードだった。
だが、1人だけ動いた奴がいた。
「その男子、放して。おじさん言葉が通じないの?」
「お前もこうなりたくなかったら黙ってろクソガキ」
銀髪の少女が耳を引っ張りおっさんの注意を引く。
その一瞬だけで俺は充分だった。
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