ナギサとここどこどこです?その3
「もうさよならの時間のようだ!次会うのは私の故郷……」
輝きは強くなっていき、最も強くなったときには霧散してしまった。そこには松崎はいなくて、松崎の最後の言葉も半ばで消えてしまった。聞きたいことの一切が解消しなかった。あの偉人感はなんだったのか。松崎は無能の神なのだろうか。僕は松崎を信仰しないことを決めた。
それにしても松崎は本当に神なのか、僕の頭の中の住人なのか。どちらにしよ嫌だ。しかし、どちらかと言えば神であって欲しい。あいつが僕の夢の国の住人と考えるのは流石にキツいものがある。
松崎が消え静かになったのも束の間。松崎とは別の何か声が聞こえてきた。
「…………」
少し距離があるのか声が聞きにくい。加えて音が反響して余計に分かりにくい。そもそもこの夢の中で聞こえてるわけではなく、現実世界で聞こえている声のようだ。
というより起きればいいんじゃないか。なんて思って起きようとしたが、結果的には遅かったのだった。
「……おしおししたらおきおき?」
馬鹿みたいな話し方だなと思いながら、自らの身が押されたその感覚を僕は味わっていた。今の言葉は押したら起きるかってことを言いたかったのか。それなら無論イエスに決まっている。刹那ほどもない時間の中で無駄に思考だけが働いた。
どん、と僕が落ちた音。グエッ、と僕が落下したときに不甲斐なく出した声。痛たた。思ったよりも落ちた痛みが強かった。なんだこのゴツゴツとして硬い肌触りーーまるで岩のような感触…というより岩だ。触り心地や、見た感じ的にも完全に岩だった。
「おきおきしたです?」
声のする方をーー僕の寝ていたベッドの方を見てみるとそこには小さい、赤ん坊ほどの大きさの人が立っていた。頭には赤いとんがり帽子、僕は真っ赤と赤づくめであった。見た目は幼児、頭脳も幼児そうだなあこいつは。
「……だれだれです?」
自分を落とした犯人を見つめ、その間抜けな話し方を真似て尋ねる。向こうの質問を完全に無視する形になっているが、言葉を発してる時点で起きていることは分かるだろ。
「ようせいさんです?ようせいさんはようせいさんですです」
ようせい、ヨウセイ、yo,say、妖精。妖精かこいつ。神の次は妖精に出会うなんて、なんという運命か。僕は一切求めてはいないのでこうした運命は間違いだと信じ、クーリングオフしたい。
妖精さんはため息を盛大に吐く僕を不思議そうに見て小首を傾げていた。




