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妖精さんと国作り!  作者: 久遠 礼
妖精さん編
1/4

ナギサとここどこどこです?その1

「ここここ、ようせいさんたちのむらむらですです」


眼前には、こんな馬鹿丸出しの話し方をする種族ーー妖精族が作り上げたとは考えられないくらいにはきっちりと纏まった村があった。木製の家が20か30並んでいて、顔を右の方にずらすと木々が生い茂っており、反対に向けると少し奥の方に川があるのが確認できた。


前へと視線を戻すと赤ん坊ほどの背丈で、頭に赤いとんがり帽子を被った性別不明の生き物ーー自称妖精さんが褒めてと言わんばかりに足元でこちらを見つめてた。人形みたいな小さく可愛らしい体でぴょこぴょこ飛び跳ねてなんとも可愛い。いやあ癒されるなあ、是非とも家に連れて帰りたい。このちびっこのせいで絶賛ホームレスだけど。


「妖精さん案内ありがと。妖精村への案内と異世界への召喚のお礼にでこぴんをくらえっ」


おデコに一発、ホームレスされた仕返し代かつ村への案内代を支払い、妖精さんをぴやっと鳴かし、もう一度この小さな生き物が住む村を俯瞰する。中心には広場のようなところがあり、そこに集まってきた10人ほどがーー妖精を数える際の単位は人でいいのか知らないがーー僕を見上げて、きょとんとした顔をしていた。


自分よりも大きな生物の前にそんな間抜け面を晒していていいのかい?多分ここは恐れるポイントだぞ?食べちゃうぞ?食べないけど。


そして足元の妖精さん第一号はおデコを僕の膝にすりすりしていた。


「いたいたですです。すりすり。すりすり。きもちいいですです」


僕の寝巻きである灰色のスウェットにすりすりすることに夢中になって額の痛みを忘れたような妖精さんを見下ろし、ふと思い返すのはここに飛ばされる前後のことだった。


ーーーーー***ーーーーー


バイトから帰ってほっと一息吐き、作り置きしていたカレーを鍋から盛り、冷凍ご飯をレンジにかけてカレーライスを作る。普段はもう少しまともな料理を作るのだが、五月病という大病を患ってるせいで最近は作るのが楽なものばかりだ。


食べ終わり食器を適当に水につける。洗い物面倒だし、明日でいいかなと思ってしまうのも病気のせいだから仕方ない。


「一人暮らしも1年したらある程度ダラけるのも自然の摂理だよなあ」


と独り言してしまうのは、ここ数ヶ月で新たに身に付いた癖だ。やはり一人暮らしをしてると、ぶつくさ喋ってしまうみたいだ。


シャワーを浴び、ベットに寝転ぶ。仰向けの姿勢で、ぼーっとしながらベランダ越しに空を見ると、一欠けもしていない月が普段以上に大きく見えた。星の見えないこの準都会の残念な夜空では、ここまで明るく見えたのは初めてだ。


少しスマートフォンを弄り終わり眠気に身を任せた頃だったん?はて、今日の帰り道見た月は欠けていたような気がする。不意にその月に違和感を持ったが、体を支配していく睡魔の前には些細なことだった。

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