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君の奏でる音色  作者: たかぽん
3/5

パート練

3 パート練


音楽室に戻ると殆どのパートが帰ってきて雑談やら楽器の調整をしていた。

俺たちも自分達の席に戻り譜面台や道具を元の位置に戻す。


?「そしたら突然浜砂が突然入ってきてトイレットペーパー床に叩きつけてきたかいね。」

「まじばかやろw」

「うけるw」


後ろが騒がしいと思い振り向くと1人の男を中心に周りがガヤガヤ騒いでいた。

中心にいるのは俺の双子の弟で那智相馬。1年3組。トロンボーンを担当している。

一卵性ということもあり顔や体格はとても似ていると言われるが中身が全く違う。

あいつは俺より頭がよく運動も俺よりできて何より俺とは違いコミュニケーション能力が凄く高い。

弟を知る人は皆『相馬とつるむ方が楽しい。』『弟の方が優秀。』『なんで相馬が兄貴じゃないの?』など人の気を知ってか知らずかそんなことばかり言ってくる。

この事が俺にとって凄くコンプレックスでストレスの原因にもなっている。


清瀧「相馬は今日も騒がしいな。家でもあんな感じなの?」

「全然。家では物置のように口を閉ざしてる。」

清瀧「なんだそりゃ。お前らって仲悪いの?」

「よくはないかな。あいつからも最近見下されてる感じがするし。」

清瀧「双子って大変だな。」

「全くだよ。」

智花「ゆーくんは周りから何言われようが気にしなくていいんだよ!ゆーくんはゆーくん。相馬くんとはちがうんだから。それに私はゆーくんのいい所沢山知ってるんだからね。」

「俺のいい所?」

智花「そうだよ。自分の事だって大変なのにわたしの悩みを聞いてくれてその度励ましてくれて。そのお陰で色んなこと乗り越えられて今の私がここにいるんだから。」

「そ、そっか‥。そ、それは良かった‥。」

智花「うん良かったよ。ありがとねゆーくん。」

「やめてめっちゃ恥ずかしい‥。」


ほんと恥ずかしい。こんな真面目に感謝されたの初めてかも。


清瀧「ジーーッ。」

「ジロジロ見んな清瀧。あと効果音漏れてるぞ。」

清瀧「あのさー。前から思ってたけどお前らってできてる?」

「は?なんのことだよ!」

智花「ふぇ?な、なにが?」

清瀧「いやそんな明らかな動揺見せといて知らないふりはやめろよ‥まあ、いいや。先生来たぞ。」


我が部の顧問の寺山先生がちょうど良いタイミングで入ってきた。

コンコンと指揮棒で譜面台を叩く音に皆雑談を止め先生の方を振り返る。


「よーし始めますよ。コンクールまで日数も余りないので気合いいれてください。とりあえず一回通しますよ。」



といって先生の構えた指揮棒に反応して皆楽器を構える。

先生が指揮棒を振り上げる瞬間思いっきりブレスをする。

そして振り下ろされた瞬間に音楽室に溢れんばかりの音が鳴り出だした。

‥‥‥。


「あなたたち本当に練習してきました?」


演奏が終わった後先生はそう切り出した。

正直演奏はお世辞にも上手いとは言えない悲惨なものだった。


「強弱はない伴奏はメロディのことを思ってない中盤の大事な所は緊張が全く感じられない、大体演奏にやる気がぜんぜん感じられません。

各パートパー練はどのような練習をしてきたのか言ってください。まずクラリネットから順番に。」


それぞれのパートのリーダーが練習内容を言っていく。ここでウソなどついてもすぐばれてしまう。なぜならさっき通したときに出来てなかったところをたとえ練習してきたとしてもそれは練習とは呼べないし先生も認めない。パー練はつまり出来てないところを出来るようにするための時間でもあるのだ。


「本当にここ練習したの?さっきは全く合わなかったじゃない。」


ほら早速フルートパートがウソを見破られた。

リーダーは言葉を言いあぐねてるし他のメンバーも俯いたまんま黙っている。


「黙ってるってことは練習してきてないのね。わかったわ。はい次。」


先生はリーダーのことばを待たずにどんどん進めていく。因みにサックスパートは後半きっちり練習した甲斐もあり通した時もとくに目立ったミスもなかったので話もスムーズに通った。


「暫くはパー練の時間を減らそうと思います。中身のない練習には意味がありませんから。」


結局真面目に練習してなかったのはフルートパートだけだったが(サックスも前半はしてなかったけど)他のパートもあまり内容のある練習ではなかった。まあこうなるのも仕方がない。

そのまま練習をは続いたが皆気持ちはどこか上の外だったのか先生に怒られっぱなしで今日の練習は終わった。

‥‥。

清瀧「パー練が短くなるのは嫌だなー。」

「そうだな。その分全体合奏の時間が増して練習がもっとハードになるな。」

智花「もうゆっくり話しもできなくなるね。」

「だなー。それよりこれから夏休みの計画どっか寄り道して立てね?」

智花「あーごめん。今日はお母さんに早く帰るっていってるの。晩ご飯の支度しないといけなくて。」

「あーそれなら仕方ないね。」

清瀧「晩ご飯作るとか女子力高いなー。」

「あ、今度弁当作ってよ。」

清瀧「あ、いわゆる愛妻弁当?」

「あーそれそれ。それだよ!智花お願いします。」

智花「つ、作らないわよ。バカじゃないの!」

「ごめんごめん。そんな怒んないでよ。」


断られちゃったか。まあいーや。

清瀧「俺は今日この後なんもねーし寄り道できるぞ。」

「ヤロー2人だけでいっても悲しいだけだろ。今日はやめとくか。」

清瀧「それもそうだな。お前と2人っきりでガチホモとか思われるのも嫌だし。」

「おい俺はホモじゃねーよ。いい加減ホモ扱いやめろよ。何度目だよこれ。」

清瀧「わかった。わかったから袖をひっぱるなって。」

智花「二人ともごめんね。明日は空けとくね。」


今日はこれで解散となった。明日は先輩復活かぁ〜。

今日は早めに寝て英気を養おう。


次回〜暴れん坊の細田先輩現る。

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