第6羽 真実への一歩
――翌朝
目覚ましの音がなる。男はつらそうに起き上がった。
「今週はまだ仕事だった。オークションは週末だからそれまでここで飼ってやるよ。」
そういって食料を適当に入れて男は去っていった。
この雑さをみるとゆいが懐かしい。
――数時間後
男が帰ってきた。雑に食材を入れていく。するとマンションのインターフォンが鳴った。
「なんだぁ客か珍しい・・・、それともボスのところの連絡屋か?」と覗くと男は合点がいかない様子で扉を開けた。すると聞いたことがある声が聞こえた。
「あの、ここにメメっていうこれぐらいの鳥が連れていかれるところを見たっていう人から聞いたんです。」
ゆいだ。何がどうなってこうなったのかわからないがここまで来てくれた。でもここはかなり危ない奴の家だ。心配だ。
「んー、お嬢ちゃん今は一人?」
仲間がいないか探っているのか。
「はい。」
素直すぎる。誰かが守らないと。
「ふーん、まぁその鳥とやらはここにはいないよ。」
今すぐ鳴き声を上げたい。しかしゆいにも危害が加えられるのは御免だ。
「ちょっと、ゆいちゃん一人は危ないって、はぁはぁ。」
奥の方から大人が走ってきた。
「なんだ仲間がいたんじゃん。あんた誰?」
「私はこの子の親戚にあたります、前川動物クリニックの医者です。」
もしかして私の命を救ってくれた医者か。よく来てくれた。
「この子がいうメメという鳥に私が埋め込んでいたGPSがお宅の中を指しているもので、」
「はっ?GPS・・・ね。まぁちょっと家に上がりなよ。」
そういうと男は不敵な笑みを浮かべ二人を家に上がらせた。
そういう私は閉じられた下駄箱みたいなところにいるようだ。二人の声が遠ざかっている。
私は先生にかけて思い切り鳴いてみた。
するとゆいはこちらに気が付いたのか扉を開けて私を見つけてくれた。
「ちょっとやっぱりここにいたよ。」
先生も追撃する。
「一体どういうことですか?」
すると男は、
「申し訳ない、俺は一人暮らしが寂しくて寂しくてつらい時にこの鳥が目の前に現れたんだ。ウソをついてしまったことには謝る。警察には言わないでくれ。」
意外と下手だった。
私はゆいに彼の話を聞きたいと伝えた。ゆいは私の言いたいことを理解したらしく、
「この子があなたの話を聞いてみたいといっているけど場所はここじゃない方がいいよね。」
すると先生が、
「そうだな、私の診療所に二人ともきてくれないか。GPSの件もあるしね。」
私たちは先生の診療所に移動した。