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第2羽 唐揚げ事件

異様な雰囲気にたじろぐ俺だったが店の作り自体は同じだったので目をこすって再度確認した。しかしどう見ても何か変だ。すると先ほど奥に行った女将がこちらに戻ってきた。右手には恐らく例のあれが入っているであろう袋を持っていた。

「お待たせしました。こちらが特製唐揚げになります。」

「どうもー。」


はいっ、とばかりに手渡された唐揚げを受け取った瞬間店の中にいる客がこちらを見ている。そうだ寝落ちする前と違うのは客が変わっている上に満席になっていることだ。おぉ人気あったんだなと改めて感心したのだがどうも客の目線が気になる。中には電話しだす客もいる。ちょっと気持ち悪くなってきたのでそそくさと店を出た。すると周りには人混みが出来ており並んでいる客もいる。

「うぉ!人多すぎ!」

とかなり驚いたところでちらちら俺の方を見ている。どちらかというと俺の持っているこの袋の方か?袋にはご丁寧に特製唐揚げと書いてある。

「一体何なんだこれは・・・。」


しばらく歩いていると少し嫌な目線を感じた。そう、常に誰かが俺の方を見ているのだ。「流石にこれは気持ち悪いな・・・。ちょっと近くの公園で食べてから帰社するかな。」そう呟いて俺は近くの公園のベンチに腰掛けた。そして手に持った特製唐揚げの袋を開けようとした時、周りから一斉に人間が押し寄せもみ合っている隙に袋ごと奪い取られた。そして俺自身も頭を殴られたのか鈍い感覚と共に意識を失った。

どのぐらい経ったのだろうか、俺はよく刑事ドラマで見る留置場みたいなところにいた。一人だから独房か。そして周りをよく見ると他にも人が入っている牢があった。

「頭はガンガンするし一体何なんだここは・・・。」そう呟くと遠くから足音が聞こえてくる。誰か来るようだ。すると刑務官?のような人が二人自分の牢の前に来たのだ。

「さぁ出ろ。これから取り調べだ。」


そういうともう一人が扉の鍵を開け中に入ってきて俺の両手に手錠をかけた。

「・・・。何すかこれ。夢ですか?」


「寝ぼけているのか?まぁ頭を強く打ったから仕方無いか。これは現実だ。」


「・・・。いやぁ俺何もしてないっすよ。」


「さっさと行け。」

後ろから押し出されるように無理やり扉の外に出された。


「あの・・」と言いかけた時に尻を棒で殴られた。まじか、まじなのか。これは訴えていいレベルだぞ。もう涙目になりながら誘導された部屋まで歩いていった。部屋の中にはテーブルがあり予想通り刑事ドラマで見たかつ丼が出てくる部屋だ。

「さぁ入れ。」


抵抗すると多分尻が痛いので中に入った。

「そこに座れ。」


とりあえず用意してあった椅子に座る。先ほど殴られた尻が痛い。ここ警察署だよね。暫くすると扉から別の今度は刑事みたいなのが二人入ってきた。一人はスーツの若い女性で、もう一人は老齢な感じのベテラン刑事のようだ。

「あとは宜しくお願いします!」


先ほどの尻を殴った刑務官は去っていった。とりあえずこの人達に訴えたら何とかなるかもしれないという希望を胸に抱いていたが、ベテラン刑事の一言目に身の危険を感じた。

「お前がやったんだろ!」


「えっと何をですか?」


「まぁいい、まずは貴様の身元を確認する。」

こいつ聞いちゃいない・・・。テンプレ尋問なのか。


「本名・・・田中三千男。サンゼンオトコと書いてミチオか。しゃれてるな。」

いやいやどうでもいいし、親が付けた名前だし。


「お前、一昨日の昼間何してた?」


「えっと鳥ノ屋でランチ食べて、それから鳥三昧っていう店で特製唐揚げを受け取って、それを公園で食べべようとしたら襲われて・・・。」


「ほう、でその鳥ノ屋と鳥三昧ってどこにあるんだ?」

このおっさん二つの有名店を知らないのか?もはや刑事さんではなくおっさんでいい。


「えっと、○○区の交差点を・・・。」と説明しかけた時、

「鳥ノ屋」は9年前に倒産し、その鳥三昧なんて店はついては過去の存在すら無かったぞ。いい加減なウソつくな!」

バンっ!とテーブルを叩くおっさん。

えっと俺の脳がもう追いつかない。

「ちゃんと調べたんですか?今年って2016年なんですよね?」

するとおっさんが首をかしげながら、

「今年は2024年だ。まだ寝ぼけてやがるのか。」

え、俺って未来に来ちゃったの?それともあの店で9年眠ってたの?もう頭がどうにかなりそうだ。


不毛なやり取りをおっさんとやり取りしていると横から女性刑事が割ってきた。

「あなたのことは所持品の免許証で確認しました。ただあなたの戸籍等はこの国では見当たりませんでしたが、どうやって入国したのですか?」


「えっとここは日本ですよね?」そう例え9年後でも俺の個人情報はあるはず。


「日本は日本ですが、日本という国は昔敗戦の時に無くなり、ニホン州というアメリカの一部になっていますがそれはご存知ですよね?」

えっとご存じではないです。ないですし、未来でさらに別の国?いや手のこんだドッキリ?あの大晦日の笑わせる番組企画?いや笑えないです。


「えっと、そうだ親、田中光一と洋子夫妻はどうなってますか?」


「うーん、あなたの苗字は多いから繋がりが分からない状態で、名前で調べるのも難しいのよね。」


「えっと、免許証の住所はどうなっていますか?」


「そこは佐藤さんという別の家族が住んでいるわよ。そういう意味ではこの免許証も偽造したのかしら?」

本当に訳が分からない。


「あ、佐藤さんの名前が光一さんと洋子さんになっているわね。でも二人には35歳になる娘さんしかいないはずだけど。」

ほう・・・俺は何も食っていない空腹と衝撃の事実に絶望して気を失った。

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