窓辺
パキ、パキ
僕は窓辺に座っている
窓辺の一番後ろ、高校生最後の座席がここに決まったときは本当にうれしかった。三年生になってから一度も席替えをしなかった担任が、熱心に頼んだ一部の生徒に負けて、一度限りの席替えをした時には、一瞬だけよい子になったのを覚えている
「おはよう・・・・」
パキ、パキ
担任が肩を落としながら入ってきた
「みんなおはよう・・・・・・・」
僕らはみんな、担任が元気が無いのを知っている、生徒が四人、行方不明だからだ
「あいつらが無事に帰ってくることを願うしかない・・・・みんなも願ってくれ・・・・・・・」
担任は僕をチラッと見た後、また頭を下げて教室を出ていった
パキ、パキ
窓から見える景色は絶景で、高い山に雲が掛かり、映画のワンシーンのようだ
「・・・・・・・」
消えた四人は男子が二人で女子が二人、別段仲が良かったわけではないけれど、クラスメイトが消えたのはいい気分がしないし・・
なにより四人は僕の前の席だからだ
パキ、パキ
窓辺の四人が前から消えている、後は僕一人だけだ、僕も消されるのだろうか
パキ、パキ
僕は窓辺の席から景色を見ている
パキ、パキ
僕を消す人間はきっとあいつ、僕がこの席に来る前にここに座っていたあいつ
パキ、パキ
あいつは美術部で、あいつは写生が好きで
パキ、パキ
あいつは僕を睨み付けている
あいつはまた、鉛筆を削っている
パキ、パキ
僕は残りの時間、もう少しこの窓辺を楽しもうと思う
END
初めまして(__;)時間を割いてくれた方、ありがとう