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第三話

おじい様が身罷った。


まあ九十年も生きれば上等すぎると普通は思うだろう。

ただ、忠勤を尽くしてきた主君に裏切られ、子供と孫を殺されて

己が生き残ってしまった時の心中はいかばかりだったろうか。


復讐を果たし、再起して御家を再興したところで寿命が尽きる。

曾孫で跡継ぎの俺はまだ元服前の青二才。

不安であったろうし、悔しかっただろう。

これからだという時だったのだから。


しかし別の視点から見ると、良く持たせてくれた、とも思う。

跡は俺が継ぐから、安らかに眠ってくれ。


その後、俺はおじい様の遺言で元服、家督を継いだ。


そしておじい様が名乗っていた山城守を継ぎ、

龍造寺山城守胤信となった。


胤の字は本家の肥前守胤栄さんから頂いた。

あ、俺は分家だったらしい。

知らなかった…。


おじい様の家は水ヶ江龍造寺家と言い、その名の通り

水ヶ江城を本拠とする一族だ。

本家は佐嘉城を本拠とする村中龍造寺。

分家自体は沢山あるが、勢力をもってるのはうちらしい。


因みに、水ヶ江龍造寺重臣で、一族の娘を嫁にしている

鍋島駿河守は、俺の家督相続に難色を示したらしい。

若すぎるとか、一年前まで僧籍にあったものがとか、

まあ色々理由はあったようだが、詰る所心配されたみたいだ。

おじい様にも信頼されていたみたいだし、頼りにしようと思う。


所で、おじい様は仇敵の馬場を討ち家を再興させたわけだが、

実は他にも仇がいることを忘れてはいけない。

かつての主君・少弐冬尚と、近隣豪族の神代勝利だ。


神代の方はひとまず置いておくとして、旧主・少弐の方だ。

あいつらは今やはっきりと龍造寺を敵視している。

本家も分家も関係なくだ。

だから本家の胤栄さんも苦々しく思っており、協力してこれに

あたることになった。

あ、神代はずっと敵性だったので、正直今更感もあるようだ。


ここら辺はまだ冷酷な仕打ち云々以前の話だろう。

しっかりきっちり落とし前つけてやろうじゃないか。


翌年、少弐を攻め肥前から追い出すことに成功する。

旧主でもあるし、命を取るまでは至らなかった。

どうやら筑後に落ちたらしい。

うちと同じじゃねぇか。

まあちょっとは溜飲が下がったから良かったと言えるだろう。


本家の胤栄さんからも褒められた。

まだ若いが爽やかイケメンで奥さんも可愛かった。

リア充か?そうなのか!?


その翌年、胤栄さんが病死した。


……。

いや、呪詛とか送ってないから!


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