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クルス・クライストの四女神とカナル帝国記  作者: 椋鳥
第一章 賢者の石
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  アムネリア・ファラウェイ-3

***



 ノエルだけは、ネメシスの下した判断に表立って不満を露にした。彼女たちは武器を奪われて手足をきつく縛られ、魔法の起動を妨げる結界が張られた部屋に監禁されていた。各人散り散りになっており、視界にない仲間の状況は掴めなかった。


 白騎士団は、サンク・キャストルの政府庁舎を徴発して部隊の控え所として利用していた。ウェリントンを送り出した後、部隊責任者たるアルテ・ミーメはネメシスだけを丁重に扱い、残りの面子は部下に厳重に監視させていた。


 殺風景な空き部屋に転がされているノエルは、隣で黙しているアムネリアへと毒づいた。


「私が攻撃に参加していれば、状況は五分だったわ。気前よく賢者の石をくれてやって、おまけに雁首並べて捕まってれば世話ないじゃない」


「そうむくれるでない。犠牲者を出さぬようにとの決断であろう。あのまま戦闘を続けたとして、確かに負けなかったかもしれない。だが双方棺桶の準備が不要になったことこそ、僥倖と呼ぶべきだな」


 アムネリアは、子どもをあやす親のように穏やかな調子で諭した。部屋の外には騎士が控えており、おいそれと激発に同調するわけにはいかなかった。


 その実、あの時継戦に及んだと仮定して、一番に自分が脱落したに違いないとも考えていた。


(麻酔術の切れるが先か、この身体の壊れるが先か。それだけの差であったな。<白虎>のウェリントン……あれほどの豪傑とは)


 テーブルや椅子など、縄に作用しかねない調度品は何一つ無く、アムネリアははめ殺しの窓から覗く晴れやかな青空をぼうっと眺めていた。ノエルも既に脱出の糸口を探すことは諦めていたのだが、それでも味気ない灰色の床や壁の染みを数えることには辟易し、アムネリアに食って掛かるのを止めなかった。


「彼女は帝国貴族で、私たちみたいにこんな目には遭わされていないのでしょう?」


「であろうな」


「それってつまり、味方を売って自己保身を図ったとも取れる話だわ」


「本当に売られたなら、尋問なり拷問なりされるのではないか?自由こそないが、今のところ問答無用で処刑されるというような素振りもない」


「……アムネリア。どうしてそんなに冷静でいられるの?帝都の悪魔の下に賢者の石が戻れば破滅が訪れると、長老から聞いてきたのはあなたたちでしょ!」


 ノエルは気色ばみ、このエルフの娘に意外な一面を見たアムネリアは黒瞳に興味の光を湛えた。


「そなたは人間と遜色ないように見えるな。ここまで喜怒哀楽の感情表現に富んだエルフになど、これまで出会ったことはないぞ」


「馬鹿にしてるの?」


「まさか。誉めているのだ。私はよく、美しいが氷の彫像が如き淡泊な性格だと揶揄されるでな」


 得意気に言うアムネリアの顔をノエルは見ておらず、状況を打開する為に外部から擁護がないものかと考えを回らせていた。


「……何かきっかけが訪れれば。そこのドアから誰かが入ってくるとか、窓硝子が割られて破片がそこら中に散らばるとか」


「ない」


「クルスが逃げ出して、助けに来てくれるとか……」


 アムネリアは形の良い顎に指を這わせ、クルスに関して思いを馳せた。そして、小声で応じた。


「<戦乙女>を用いられれば或いは、な。だが、果たして妨害結界の内部で召喚や使役が許されるものなのか。クルスのアレは正体の一切が謎故、何とも言えん」


「私は直接見てないから分からないのだけれど、戦神に仕えるとはいえ<戦乙女>だって従神に位置付けられる身よね?マジックマスターでもないクルスに使役されるなんて、余程の理由があるはず」


 ノエルの疑問はもっともで、彼女はエルフにして有能なマジックマスターでもあり、主に風や樹木といった信奉対象たる天然自然の力を借りて魔法を行使していた。精霊のように目に見えずとも自然界に息づく存在や、妖精や幻獣といったアケナスに存在しない異界の住人たちを召喚することはあれど、神を降ろすことなどノエルにも不可能と言えた。


「信仰心の強い神官であれば、それなりの代償を払いさえすれば崇める神の奇蹟を一部だけ体現させることはできる。しかし、だ。あの者はまるで普通の友人かのように<戦乙女>と接し振る舞っていた。ラクシ、と親しげに名を呼んでな」


「ラクシ……」


「……いや、つまらんことを言った。あの者にも他人に知られたくない秘密の一つや二つあろう。忘れてくれ」


 アムネリアはそれきり口を閉ざし、事態が動くのをじっと待つことに徹した。



***



 ノエルの予想とは異なり、ネメシスは椅子にこそ座らされているものの、手足を戒められている点は他の仲間たちと等しかった。別室で白騎士団のアルテ・ミーメより審問を受ける間も仲間の釈放と帝宮への警鐘を訴え続けたが、相手はウェリントンが右腕と頼む武人であり、貴人を前にしても表向きは動じることがなかった。


(完全に、私の判断ミス……。白騎士団がこうも頑なな意思を持って行動していたとは。ウェリントン卿の武勲は聞き及べど、見当違いも甚だしい。クルス……アムネリアさん、ノエルさん。本当に申し訳ありません……)


 膠着状態に動きが見られたのは、誰もが想像だにしない角度からのアプローチに因った。


 爆発音が轟き、白騎士団の詰める庁舎全体が激しく揺れた。アルテ・ミーメは執務卓の椅子から腰を浮かし、何事かと反射的に窓外を窺った。


 そこから見える風景に特段変化はなく、それでも続けて二度三度と衝撃が建物を揺らした。


「誰かいますか?」


 アルテ・ミーメの声掛けに、廊下に控えていた騎士が一人、しっかりした足取りで入室して敬礼を見せた。ネメシスの目から見ても堂々たる態度で、一騎士からして不足の事態にこれであり、チャーチドベルンの抱える白騎士団の精強なる様をまざまざと見せつけられた。


(トラブルにも慌てた様子がない。よく訓練されているのだわ)


「各階の人員を、拘束者の部屋へと集結させなさい。個別バラバラに動くことを禁じます」


「はっ!」


 騎士は速やかに扉から出て、アルテ・ミーメの命を布告するべく駆け出した。ネメシスは起こっている何事をも見聞き逃すまいと集中した。


 アルテ・ミーメが凄味を窺わせる顔付きでネメシスへと向き直った。


「閣下。よもや何れかの者の手引きなどしていらっしゃらないでしょうね?その場合、あの者たちの命は保証致しかねますが」


「知りません」


 ネメシスは本心から答えた。緊張を押し隠し、アルテ・ミーメの視線を真っ向から跳ね返した。アルテ・ミーメは静かに息をつくと、剣を抜いてネメシスへと近付いた。


「何を……?」


 アルテ・ミーメによって、ネメシスの手足を縛る枷が外された。ネメシスは驚きつつも、解放された手足の感触を確めた。


「閣下。御身を害するつもりは毛頭ございません。この爆発が御身と無関係というのであれば、巻き添えを食わぬよう御用心下さい」


 それは唐突に起きた。侵入者は、天井を豪快に破壊して部屋の中央へと降り立った。


 白の仮面に黒装束、煙る黒翼を大きく広げたゲヘナが、片手は騎士の頭を鷲掴みにし、もう片手を刃状に尖らせた格好で直立していた。


「……貴様、悪魔か?その者を離せ!」


 アルテ・ミーメの怒声が響き渡った。先程の騎士の指示が行き届いてか、十人に近い騎士が室内に飛び込んできた。


 ゲヘナは恐るべき膂力で握っていた騎士を放り投げ、駆け付けた一団へと叩き付けた。そして騎士たちが怯んだ隙に、黒翼を広範囲に展開して縦横無尽に暴れさせた。室内はさながら暗闇の台風が吹き荒れたかのような地獄の様相を呈した。


 アルテ・ミーメをはじめとした騎士たちは抵抗らしい抵抗も出来ずに制圧され、後にはネメシスただ一人が残された。ネメシスは倒れ伏したアルテ・ミーメの容態を気にかけたが、目の前の悪魔は放っておいてはくれなかった。


「……賢者の石から手を引けと、忠告はした」


 ゲヘナは仮面を通してネメシスと向き合い、くぐもった声で語りかけた。


「無限の魔法力を供給するという賢者の石。それを悪魔の手に渡すなど、カナルだけの問題にとどまりません。アケナス全域にとっての大事を見て見ぬ振りなど、この私には出来ない道理です!」


「知ったことではない。悪魔の王アスタロテを知らんとは言わせんぞ。その名を聞いてなお、お前の正義感は不動のもの足り得るか?」


 ゲヘナの出した敵の名に、ネメシスは金槌で頭を殴られたような衝撃を受けた。魔境大戦でアケナス諸国を震撼させた、最凶の悪魔アスタロテ。悪魔の王と謳われし恐怖の象徴であり、対魔防衛ラインを突破してニナ・ヴィーキナを亡ぼした、四海でも圧倒的な戦力の持ち主。


 頭が真っ白になりかけたネメシスへと、ゲヘナが言葉による追撃を仕掛けた。


「もうカナルは終わりだ。悪魔の王の計画は最終段階に移行している。お前たちの如き蛆虫が今更這いずり回ったところで、王の計画に毛ほどの傷を付けることも叶うまい。憐れ賢者の石はカナルの藩屏たる白騎士団によって王へと献上され、これをもってチャーチドベルンよりカナルの大崩壊が始まることだろう。カナルの騎士団が聖神カナンに唾し、カナルを無へと還す。実に滑稽なことだ」


 ネメシスは事の重大性と己が力量を比べて巨大な絶望感に襲われた。ともすると重圧に負けて意識までも失いそうになったが、一つだけ感じられた不整合性が、彼女を何とか崖の淵で踏み止まらせた。


 それはゲヘナが一向に彼女を害して来ず、ましてや不用意に情報を発信している点にあった。


「貴方は……このような事情を私に明かす貴方は、一体何者なのです?何の目的があって私に執着するのか!」



***



 クルスの立ち回りは妙技であった。アルテ・ミーメの意を汲んでクルスの下に集結したジル・ベルトら多数の騎士を前に、彼は平然とした態度で賭けに出た。


 それは爆発騒ぎの主犯が自分とアムネリアを殺しに来た悪魔であるとの囁きで、これはクルスの出任せに過ぎず、実際にゲヘナが現れたこととは関係のない話であった。何にせよ、はじめジル・ベルトはクルスの言い分を与太と断定して取り合わなかったのだが、爆発が止まらないと知るやこれはただ事ではないと疑念を持った。


 クルスは何度も念を押し、「このままでは、他の部屋に監禁されている仲間がやられてしまう。ネメシス様も危険だ!」と白騎士団の疑心を煽った。


「……貴様も来るんだ!」


 痺れを切らしたジル・ベルトは、手足を縛られ身動きの取れぬクルスを肩に担ぎ上げると、周囲の騎士たちにアルテ・ミーメとの合流を命じ、一目散に部屋を後にした。結果、クルスは巨漢に捕まったままではあったが、ラクシュミの召喚を妨げる結界からの脱出を果たした。


 そこからがクルスの真骨頂であった。ジル・ベルトの肩にある身で<戦乙女>を実体化させるや、銀の戦槍・グングニルを四方八方へと投擲させた。ジル・ベルトに率いられた騎士たちは、不意打ちを受けて為す術なく昏倒させられた。<戦乙女>によって手足の戒めを解かれたクルスは、肩上からジル・ベルトに拳打を浴びせかけ、すり抜けるようにして床へと降り立った。


 ジル・ベルトは驚きこそすれダメージはなく、むしろ周囲の惨状を目の当たりにして憤激した。


「何だと!お前ら、無事かッ?……貴様がァッ!」


 ジル・ベルトの突進を横っ跳びで避け、クルスは倒れている騎士から剣を拝借して身構えた。ラクシュミはジル・ベルト以外の騎士を瞬く間に圧倒し、クルスへと確認を入れた。


「私はどうする?」


「ラクシはアムかノエルを探し出してくれ」


「分かった。そいつはいいのだな?」


「牛を退治するようなものさ。時間がない……行け!」


 クルスが言い終えるのを待たずに、怒りに顔を真っ赤にしたジル・ベルトが大剣を振りかぶって接近した。クルスは正面から振り下ろされたジル・ベルトの剣に自身の剣を合わせ、絶妙な調子でその剛力を殺して横に振り抜いた。


 剣が、ジル・ベルトの岩肌のようなごつい手から離れて宙を舞った。


「有り得ん!」


 クルスの反撃の二段斬りは面白いように決まり、ジル・ベルトの胸甲を綺麗に破砕した。斬られた衝撃で廊下の壁へと叩き付けられたジル・ベルトは意識を失い、その場に倒れ込んだ。


「修行が足りんな」


 クルスはもう二振りの剣を拾い上げ、見当で走り出した。すぐに階段に行き当たり、昇降を迷っていたところでアムネリアとノエルが駆け上がって来た。


 二人の解放は<戦乙女>の手柄であり、ノエルの手にはクルスの荷物袋が握られていた。


「クルス、これ!」


「有り難い!」


 魔法結晶の詰められた荷を受け取り、クルスは安堵の息を漏らした。先程までは靴底とピアスに隠された微量の結晶の力で<戦乙女>を具現化していたため、維持に必要な魔法力が足りるものかとやきもきしていたのだ。


 クルスは素手のアムネリアへと剣を放った。


「二人が下から来たということは、ネメシス様はきっと上だろう」


「震動は上から伝わってきた。何か良からぬことが起きている可能性は高い。……悪魔の襲来とか、な」


 アムネリアは受け取った剣を腰に差すと、上り階段の先をきつく睨んだ。それはクルスも予想するところで、ノエルへと索敵を依頼した。


 ノエルは風の精霊と交信し、屋内の空気の流れからネメシスの位置を特定した。そしてそこに、同様に邪悪な魂の存在をも感じ取った。三人は素早く上層階へと達し、扉の開かれたその部屋へと駆け込んだ。


 クルスらの目に飛び込んできたのは、獲物に飛び掛からんとする大鷲の如く目一杯に黒翼を拡げたゲヘナと、それと対峙しているネメシスのか細い後ろ姿であった。


「ネメシス様!」


 クルスが悲鳴にも似た声を張り上げた。アムネリアは放たれた矢のような瞬発力でゲヘナへと斬り掛かった。ノエルも負けじと部屋中の空気を捻り上げ、小型の竜巻を生成してゲヘナにぶつけた。


 アムネリアの下段からの斬り上げは、刃と化していたゲヘナの片腕にがっちりと止められた。だがアムネリアはそこから全身を回転させて側面に回り込み、流れるような撃ち込みを見舞った。その連撃はゲヘナの黒装束を幾重にも斬り裂いた。


 ノエルの魔法攻撃は黒翼に散らされ、続けざまの反撃が広範囲にわたってなされた。


 クルスは剣の一本をネメシスの腕に押し付けるや、迷わず<戦乙女>を召喚してゲヘナの黒翼より撃ち出された無数の羽根の迎撃を命じた。


「アム、下がれ!おれとラクシで攻める!」


「……頼む」


 アムネリアは素直に応じ、剣で払い切れなかった羽根に貫かれた身体を庇いながら後ろへ下がった。入れ替わるようにして、クルスと<戦乙女>が前衛に飛び出した。


「クルス……」


 ゲヘナは仮面の奥からくぐもった声でクルスの名を発し、黒翼を羽ばたかせて威嚇した。クルスの剣が閃き、目前に迫った翼による殴打を斬り払った。<戦乙女>は十以上ものグングニルを具象化し、ゲヘナへと一気呵成に叩き込んだ。ノエルの援護もそれに続いた。


 クルスに、<戦乙女>に、ノエルにと猛攻は止まず、防戦に追われるゲヘナの手数が目に見えて減少した。そこに好機を見出だし、ネメシスが走った。


 ゲヘナは目に見えてネメシスの動きに反応を示し、彼女に気をとられて守りの甘くなったそこをクルスや<戦乙女>に攻め立てられた。ゲヘナのダメージの蓄積は明らかで、負傷退場を余儀無くされていたアムネリアまでが戦列に復帰した。


「……ちょろちょろと、目障りだ!」


 ゲヘナの腕から刃が延伸し、真っ直ぐにアムネリアを狙った。クルスが力一杯剣を撃ち下ろしたことで刃の進路は僅かに逸れ、アムネリアの頬を浅く切るに止まった。ノエルの放出した風の弾丸にゲヘナは激しく撃たれ、頼みの黒翼はと言うと<戦乙女>の刺突で風穴を空けられる始末であった。


「この蛆虫共……?」


「終わりです!」


 力強い宣言と共に、銀光が綺麗な弧を描いた。仲間たちの陽動の陰で、足早にゲヘナの背後へと滑り込んだネメシスが渾身の剣を振るったのであった。ゲヘナの首筋は深く抉られ、傷口からどす黒い体液が霧のように噴出した。


 誰よりも速く、アムネリアが駆けた。


「闇へと還れッ!悪魔!」


 踏み込んだ床が沈降するほどの威力をもって放たれた剣は、クルスの瞳には正真正銘神業としか映らなかった。胴を横薙ぎにされたゲヘナは断末魔の叫びを上げ、余力を失ったのか四肢の先から粉微塵と化していった。


 乾いた音を立て、ゲヘナの白い仮面が床に転がり落ちた。


 不意に、ネメシスが悲哀の声を上げた。ゲヘナの仮面の下には、苦悶の表情を浮かべた青年の顔が覗き、それはネメシスのよく知る人間であった。


「そんな……ああ……!嘘だと言って、エドワード・カナル……!」


「……ネメシス。私は……私には、父を……どうすることも、出来な、かった……。……赦して、くれ……」


 ネメシスは全身の崩れ行くゲヘナを抱き止めようとしたが、それより早く全てが風化して消え去った。後には黒い影のような靄が残ったが、程なくしてそれも霧散した。


「いま、ネメシスがエドワードって言ったけど?」


 ノエルは訊ねたが、クルスは黙って首を横に振った。そうして立ち尽くすアムネリアへと近付き、彼女の手から無理矢理に剣を引き剥がすと、彼女の頬に出来た切り傷を改めた。ネメシスは床にひざまずいたまま、何ものをも掴み取れなかった己の両手を凝視し続けていた。


 エドワード・カナル。


 ネメシスが必殺の一撃を与え、アムネリアが止めを刺した仮面の悪魔の素顔は、カナル帝国の皇太子にしてネメシス・バレンダウンの許嫁であった。



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