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種と不死者と少女の物語  作者: 狸森
1章 神種の運び手
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4話「春と空腹と映画村」

前話までの春ちゃん視点です。

「んっ・・・・」


うう・・・なんか頭がズキズキする・・・でもなんかいい匂いがするなぁ・・・

きっとお母さんが美味しいご飯を作っているに違いない。

きっとそうだ。


目を瞑ったまますこしもぞもぞしていると、


「起きたみたいだねぇ。」

「ああ。」


誰かの声がした。なんとなくゆっくり目を開けると。


知らない部屋と知らない人が2人。

外人さんみたいだ。

一人はとても優しそうでほんわかしている茶髪のおばさん。

もう一人は黒い服に黒いマントを羽織った銀髪のダンディなおじさん。

あれ?でもどこかで見たような・・・


「大丈夫?気分はどう?」

「ここは?・・・」


あとで考えると、問いに問いかけちゃってる・・・。

でも寝起きでぼーっとしてたしね・・・。

なんとなくおばさんとおじさんを交互に見ていると、おばさんが答えてくれた。


「ここは城塞都市リムリオにある虹色の松明亭って宿よ。」

「じょうさいとし?・・・にじいろ?・・・」


え?どこそれ?

すると頭がズキッと痛んで、ちょっと思い出してきた。


美香子とカズキ君。

ジョイフルの新メニュー。

夕焼けの神社。黒い髪の少女。

走ってくるトラック。

ブレーキの音。


そこまで思い出して、


「ふぇ?・・・・・あーーーーー!!!!」


飛び起きた。

わたし死んだの?ここはあの世?あれ?あれ?

身体をペタペタ触ると感触がある。

なかなか実感ができないわたしは、怖々とおじさんの方を見て、


「・・・生きてる?」


思わず聞いてしまった。


「生きてるな。」

「生きてるねぇ。」


おばさんたちが頷いてくれた。


「はぁ~・・・生きてたんだ・・・よかった・・・。」


なんかすごく安心しちゃって、ため息がでちゃった。

よかった・・・これでジョイフルの新メニュー『餡かけかき揚げうどん』が食べれる!

生きててよかったぁ~!


おばさんとおじさんにお礼とわたしの名前を告げると、おじさんとおばさんも名前を教えてくれた。


おばさんの名前はサンディ・トーチスさん。

サンディさんは茶髪、というかハニーブラウンの髪をポニーテールにしててなんかキュートな人だ。

背は170cmぐらいかな。

モデルとかも出来ちゃいそうなナイスバデーだ。なんかうらやましい・・・

でもとってもにこやかで優しそうで話してるとほんわかしてくる。そんな人。

聞くと、わたしが寝ていたこの部屋は『虹色の松明亭』という宿屋兼酒場で、ご主人と二人で切り盛りしているんだそうだ。

いいなあ二人三脚って感じで。

うちのお父さんとお母さんもそんな感じだから、ちょっと憧れる。


そして黒い服のおじさんはシェル・トレス・オラーヴァさん。

なんか長い名前だ・・・。

髪は銀色で凄く綺麗。

目つきは鋭くて無精ひげを生やしている。ワイルドだぁ。

背は190cmぐらい。細身だけどがっしりしてる感じ。細マッチョって言うのはこれかな?

声も渋くて聞いてるとなんていうか、安心できる。

というか凄く格好いい!ハリウッドの俳優さんみたいだ!

でもよく見たらオラーヴァさん、右腕の肘から先がなかった。

苦労してるんですね・・・


オラーヴァさんから、わたしがここに担ぎ込まれたときの状況を聞いてると、あれ?って思った。

森で倒れてた?真夜中?

というかさっき聞いた地名も聞いたことがないし、まるでここが日本じゃないみたいだ。


と、ドアの向こうからすごくいい匂いが漂ってきた。サンディさんのご主人が作っているのかなぁ?

う・・・お腹が空いてきた・・・


「・・・とまあそんな感じで森に置いておくわけにもいかなかったんで、ここに連れてきた。」

「そうだったんですかー・・・ありがとうございま『ぐうぅぅ!きゅるるる~!』ふぁあっ!!!」


うわあ~~!!

もう一度お礼を言おうと思ったらお腹が盛大に鳴ってしまった。

やばい!恥ずかしい!!

音よ止まれ~~!!とお腹をペタペタしていると、


「あらあら~。お腹空いたのね~。今旦那に言って何か作ってこさせるわね~」

「はっはひっ・・・ありがとうございます・・・」


サンディさんがほほ笑みながら部屋から出て行った。ぐうぅぅ~~。


「でもなんか、持ってきてもらうのも悪いかなぁ・・・。」

「動けるか?大丈夫そうなら下に行って食べるといい。」


オラーヴァさんにそう言われたので、ベッドから起き上がって立ってみる。

うん大丈夫そうだ。

お腹が空いてちょっとフラフラする感じだけど、いつもより体が軽い気がする。


「大丈夫そうです。」

「なら下に行くか。」

「はいっ!」


階段を下りて酒場に入ると、そこには色んな人がいた。


背が低くて茶色い髭を生やしたおじさん。

黒いフードを目深に被ったヒョロっとした人。

金髪のお姉さん。

わっすごい!トカゲの着ぐるみを着た人もいるっ!

特殊メイクって言うのかな?すっごいリアル。

オラーヴァさんも俳優さんみたいにすっごい格好いいし、ここはきっと映画を撮ってる場所なんだ。

〇〇映画村とかそんな感じ。


うんきっとそうだ。


「座らないのか?」

「あっはいっ。ありがとうございますっ。」


オラーヴァさんに勧められて私は厨房横の丸いテーブルの席に座った。


「あら~ハルちゃんここで食べるの?」

「はいっ動けるのに持ってきてもらうのも悪いので。」

「サンディ。この娘の分は俺が払うから適当に持ってきてくれ。」

「えっそんな悪いですよ~。」

「金持ってるのか?」

「あっ・・・・。」


慌てて制服のポケットを探ったけど、何もなかった・・・。

うわー・・・どこに落としたんだろう・・・

森で倒れてたって言うからそこかなあ?・・・


「まあ気にするな。好きなだけ食べるといい。」

「うぅ・・・ありがとうございます・・・。」


かなり落ち込んでいたわたしのテーブルへサンディさんが料理を運んできた。


・・・・

・・・

・・

えっなにこれ!すごい美味しそう!


「あ、あのサンディさん?この料理ってなんて言うんですか?」

「これは~ミーフとチーの焦がしショー焼きよっ。口に合うかどうか分からないけど食べてみて~。」

「すっごい美味しそうです!」

「ふふっありがとっ。ゆっくり食べてねぇ~。」


名前はよく分からないけど、ごくりと喉を鳴らして出てきた料理を見つめて、ちらっとオラーヴァさんを見ると軽く頷いてくれた。

どうぞ、と言ってるようだ。

たまらなくなったわたしは、手を合わせるとさっそく食べ始めた。


「いただきますっ!はぐっ・・・おっおいひぃ~~!」


凄く美味しかった。

見た目はドリアっぽいけど中身が別物だ。

食べたことがない種類の挽肉が、ぎっしりと何かの野菜と一緒に詰まっている。

口の中でチーズとお肉がじゅわぁっと混じり合って・・・もうだめ美味しいとしか言えない・・・


〇岡さんすみません・・・

わたしは料理番組のレポーターは無理です。


それからはもう無我夢中で食べた。


生きててよかったぁ~!


こんなに幸せな時間をありがとう・・・神様。

 



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