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白い丸テーブルに白い椅子が2つ。
少し開けられているガラス戸を、レナがぎりぎり通れるように開く。
「少し位置が変わってる」
つぶやくレナに
「掃除してくれたんだよ 後で直そう」
蓮華は言う。
「そうだね」
2人は椅子に腰かけ、ランチバッグからお弁当や水筒を取り出しテーブルに置く。
それぞれお弁当箱のふたをとり手を合わせる。
「「いただきます」」
しばらく黙々と食べることに集中する2人。
「あのね」
話し始める蓮華に、箸を置き彼女を見るレナ。
「今朝、電車でね」
「私が乗っていた車両に閉まる直前で滑り込んできた人がいたの」
「その人がとってもとっても綺麗な人だったの」
蓮華が言葉を区切る度に頷いて聞いていたレナが口をはさんだ。
「蓮華が言うなら相当なんでしょうね」
興奮気味に大きく頷いた蓮華が続ける。
「最初は顔が見えなかったんだけどね、急に私の方見て謝ってきたの」
不思議そうな顔をするレナ 「どういうこと? 」と顔に書いてある。
「多分、私が扉の前に立ってたからかな」
「それでね」
「綺麗な顔が自分の方を向いてて」
「興奮しちゃったのかパニックになったのか」
「その人のこと見たままで、気づいたら駅に着いて…」
だんだん声が小さくなる蓮華。
「恥ずかしかったの すごく」
「思うんだけど、蓮華が見惚れるくらいの超美人なんだから そういう経験、すでにしてるんじゃないかな」
話し出すレナを見る蓮華。
「きっと同性のファンを微笑ましく思う女優さんみたいな人だよ。性格よさげだったんでしょ? 」
優しく言うレナに、蓮華は何だか晴れやかな気持ちになったのだった。
「そうだよね ありがとう、レナ」
2人とも昼食を再開し、夏休みの話などに花を咲かせたのだった。
電車を降りた後にホームでこけかけたりしたことも、すっかりどうでもよくなった蓮華だった。
昼休み後、明るい表情でレナと教室に戻ってきた蓮華にクラスメイト達も安心したのだった。