Scene 6: 最強の足
レイム、リム、ニールの三人は、急いで湖畔の町の預かり所へと移動した。
「いらっしゃい」
受付には、人の良さそうなおじさんが座っていた。
レイムは、アレスパーティーが共同で使用していたカードを提示した。
「あの……道具……引き出したいんですけど……」
受付のおじさんは、カードを水晶にかざす。
「はいはい、勇者アレス御一行ね。何を持っていきたいんだい?」
「……水の剣」
「はいはい……あれ?」
おじさんは、水晶の表示を見て首を傾げた。
「水の剣はちょっと前に引き出されてますね。ガリウスさんが引き出してるみたいですよ」
「えっ!? なんで?なんで?」
レイムは、思わず声を上げた。
「早々に飽きて、すぐに預かり所に預けて、ずっと使ってなかったのに……」
レイムは、ガリウスが剣を必要とした理由を考える間もなく、決断した。
「ちょっと、ガリウスから借りてくる」
「えっ?今から?」リムは慌てた。「俺はまだ移動魔法とか使えないぞ!まして魔王城の辺りとか行ったことないし!」
「ガリウス兄さんに会いに行けるの!?」ニールは目を輝かせた。「すぐに行こう!」
「リム……大丈夫、私一人で行けばすぐだから……」
レイムは、リムとニールをまっすぐ見た。
「はあ?魔法無いよな?」リムが問う。
「魔法……無くても大丈夫……」
レイムは、ニールに向き直った。
「ニール……ごめん……一人で行く……その方が……圧倒的に早いから……」
レイムは、新しい魔導書の地図で、ガリウスが剣を引き出したと思われる場所、すなわち魔王城近辺を瞬時に確認した。
そして――走り出した。
ヒュッ!
三年間、偽りの冒険で魔物と戦うフリをしながらも、レイムは移動や回避のために脚力だけは徹底的に鍛え抜いてきた。彼女のレベル90のステータス、そして力(STR)530の全てが注ぎ込まれた一歩は、常人の想像を絶する。
レイムは、リムやニールの視界から、瞬殺で消えていった。彼女は、世界最速の怪力魔法使いとして、水の剣を取り戻すため、誰も追いつけない速さで魔王城を目指したのだった。




