Scene 5: 封印されていた怪物
レイムは、三年前の溺水のトラウマから意識を引き戻した。
(そうだ……あのとき……あの時きっと落とした……)
あの直後、一行が火山地帯の町を訪れた際、レイムは新しく覚えたはずの**水流斬**を使おうとして、魔法がないことに気づいたのだ。ケルピーとの戦闘で一時的に回復した魔法が、水に落ちた衝撃か何かで、再び失われたに違いない。
そして、レイムは、ケルピーを倒した湖の中の島で起こった、もう一つの出来事を思い出す。
*回想(島)**
ケルピーを倒した後、レイムたちは、島を探索していた。
「情報によれば、島のどこかに祠があるはずなんだけど」アレスが地図を見た。
「多分、ここから北にちょっと行ったところにあるはずです」ラザロがすぐに場所を特定する。
四人は小さな祠を発見し、アレスがそこに納められた一振りの剣を見つけた。
「これか……水の剣」
「この後行く火山を超えるには必要ですね」ラザロが剣の必要性を説く。
「良い剣だ……持つだけで魔力を感じる」ガリウスが手に取って満足そうに頷く。
「魔力のないお前にわかるのか?」アレスは小馬鹿にする。
「……確かにすごい魔力……でも……持って行って大丈夫かな……?」レイムは不安を感じていた。
「終わったら返す。魔王を倒したら返す。借りるだけだ」アレスはそう言って、水の剣を持ち去った。
*回想、終了。*
レイムは、その時の不安が現実になったと直感した。
(思い出した……まだ……返してない……)
「あの……その……もしかして島の……剣……が原因……?」レイムは恐る恐る町長に尋ねた。
町長は、**ドォン!**とテーブルを叩き、激昂した。
「そうじゃよ!!」
「剣がなくなり、封印されていたストーウェオーユーエが復活したんじゃ!」
「ストーウェオーユーエ……」
レイムの頭の中に、その怪物のプロフィールが浮かび上がる。犬の頭とヘビの頭を持つ伝説の怪物、生態不明の最強クラスの魔物だ。
レイムは、ギュッと拳を握りしめた。自分が無力だった時の過ちが、町を滅亡の危機に瀕させている。
「倒すわ!私が倒すわ!」
「ええっ?伝説の怪物だぞ? お前の魔法がちょっとすごかったって……」リムは、その無謀さに引いた。
「そうだよ!死にに行くようなものだよ!」ニールも顔を青くして止める。
町長は、絶望の表情だ。
「無理じゃよ、無理!お前らに倒せるわけがない! お前らのせいで、この町は終わったんじゃよ!」
レイムは、真っ直ぐに町長を見つめた。
「……大丈夫……倒します」
そして、心の中で確信する。
「剣も……返します。(確か……ガリウスがすぐに飽きて、預り所に預けたはず……!)」
彼女は、次の魔法を取り戻すため、そして町を救うために、伝説の怪物討伐を決意したのだった。




