Scene 4: 湖での惨事
「ガリウス兄さんは悪くないです! 悪いのは、他の人達です!」
ニールは、町の大人たちの言葉に強く反発し、キリッとした眼差しで町長を睨みつけた。
「……え?に、ニール?」レイムは、ニールの剣幕に驚いた。
「で、こいつらが何をしたっていうんだよ! 魔物倒して町救ったんだろ?」リムは、イライラしながら尋ねた。
町長は、ニールを無視してレイムたちに詰め寄る。
「そうじゃ。確かにあの時は町を救ってくれたし、そのおかげで漁業も再開したし、町は活気づいたさ。でもな!その後だ!」
町長は、険しい顔でレイムを指差した。
「お前ら、あの島で何をした?」
「……何を……」レイムは、言葉に詰まった。
レイムの意識は、三年前の記憶へと引き戻される。
*回想(三年前)**
湖畔の町。レイムたちは、ケルピーの巣があると言われる島へ、船で向かおうとしていた。
町長は、不安そうにガリウスに何度も尋ねた。
「大丈夫なんじゃろうな?本当に大丈夫なんじゃろうな?」
「当たり前だ!大船だ、大船!」ガリウスは自信満々だった。
「不安じゃ。お前みたいなやつが一番不安じゃ!」
「なんだと!」ガリウスは怒る。
「まあまあ」ラザロが二人をなだめる。
レイムは、不安でいっぱいの気持ちを押し殺していた。
「……不安……泳げないし……」
結局、一行は、ガリウスが手配した小さめの船で出発する。
湖面が不自然に揺れる。
*「おまえら!!しっかりつかまれ!!」*船長が叫ぶ。
レイムは震える。
「……おっ、おおおっ……泳げないだけど……」
湖の中から、水の魔物ケルピーが、何匹も出現した。
アレスは、すぐに船から飛び出し、剣でケルピーを切り裂く。
レイムは、船にしっかりつかまった状態で何もできない。自分が無力であることが、ひどく悔しかった。
アレス、ガリウスが数匹ケルピーを倒した段階で――レイムのレベルがあがる。
レイムのステータスウィンドウに変化が起きた。
「……まっ、魔法……魔法……ゼロになっていたけど、一個……使えるように……なった」
レイムは、慌てて魔導書を開き、新しく使えるようになった魔法を唱えた。
「水流斬!」
水流の刃が、ケルピーたちを切り裂く。瞬く間に、全てのケルピーが倒された。
「よし、全部倒したぞ!レイム!!助かったよ!」アレスが声をかける。
レイムがアレスの声に答えようとした瞬間――残骸となったケルピーが船を揺らし、船が大きく傾き、レイムは湖に落ちる。
「……っ!」
レイムは、必死にもがくが、溺れていく。
ラザロが、慌てて湖に飛び込み、レイムを助け上げた。
船に引き上げられたレイムは、激しく咳き込み、息を吹き返すのだった。
*回想、終了。*
レイムがこの湖で経験したのは、「魔法の復活」という希望と、「溺れる」という強烈なトラウマだった。




