Scene 3: 町長の怒り
レイムたちは、町の奥にある町長の家を訪れた。
中に入ると、初老の老人が、三年前の記憶にある穏やかな姿とはかけ離れた、困り果てた顔で座っていた。
「魚が……暴れとるんじゃ」
町長は、呻くように言った。
「でも……湖を荒らしていた魔物は、倒した……はず……です」
レイムは、当時の記憶を呼び起こしながら言った。
*回想(三年前)**
レイムたちが、湖の異変を解決するために、島へ渡ろうとしていた時のこと。
「湖の中にあるあの島に行きたいんだけど」アレスは町長に相談していた。
「無理じゃ!船は出せん!」町長は猛反対した。
「なんで?どうしてもあの島に行って、水の村の人に会いたいんだけど」
「だから無理なんじゃって!湖の中は魔物でいっぱい!今船を出したら、死にに行くようなものじゃ!」
「そこは俺たちが守るから、何とか行ってよ」
「お前らみたいな冒険者崩れに何ができる! 水の上での戦いをなめすぎじゃ!」
「なあ、もうこいつらと話しても無駄じゃね?」ガリウスが呆れた。「泳いでいこうぜ!」
「……無理……泳げない……」レイムは、おどおどと拒否した。
「そうですね、結構距離がありますし、現実的じゃありませんね」ラザロがガリウスを諭した。
*回想、終了。*
(そう……あのとき、猛反対の町長をコンコンと数時間かけて説得して、ようやく船を出してもらった。そして、湖の主を倒して、無事に島に着いた)
レイムは、確信を持って町長に尋ねた。
「あの……倒しましたよね……主……これで湖が安全になって、町に再び活気が……言ってましたよね?」
町長は、レイムの顔を見た瞬間、目を見開いた。
「おっ、お前!!お前はあの時の!!! あの時一緒にいた魔法使い!!」
町長の顔が、瞬く間に怒りで真っ赤になった。
「お前らのせいで!お前らのせいで、町が!!」
町長は、レイムたちを指差し、激しい口調で叫んだ。
レイムは、混乱した。自分たちは町を救ったはずだったのに。
「……私たち……の……せい?」
レイムの脳裏に、湖底に眠る次の落とし物と、町の荒廃という、不気味な因果関係がよぎるのだった。




