第5話:湖畔の町と、水中の魔法 Scene 1: 脳筋ではない!
迷いの森から移動し、レイムたち三人は、次の目的地である巨大な湖にたどり着いた。
「でかっ!! 海じゃん、もう!」
リムは、目の前に広がる水平線のような湖を見て、思わず叫んだ。湖というより、内海と呼ぶべき広さだ。
ニールは、その途方もない水量を前に、愕然とする。
「いや……この中から魔法探すって……無理があるんじゃ…… 僕、泳げないし」
レイムは、ニールの言葉に、少し自信なさげに応じた。
「……だっ、大丈夫よ……大丈夫だから……」
レイムは、湖を指差した。
「ここから東に湖沿いに行ったところに、町があるはずだから……そこに行けば……」
レイムは、この湖畔の町を訪れた三年前の記憶をたどっていた。
*回想(三年前)**
湖畔。アレスたちは、次の進路に悩んでいた。
「このもらった地図、よくわかんないな。次はどこへ行くべきなんだ」
「アレス、落ち着いて地図を見てください。湖沿いに町がありますから、そこで情報を収集しましょう」ラザロが冷静に指摘する。
「お前、よくわかんな。地図なんか見ても、なんかよくわかんねぇな」ガリウスも、地図の読解に難航している。
ラザロは、両者に呆れた表情を向ける。
「二人とも脳が筋肉すぎますよ。ちょっとずつ地図も見れるようになってください」
レイムは、魔法を落とした後ろめたさで、声を大にして言えない。心の中で呟いた。
*(脳筋……**私だって地図ぐらい見れる……*のに……)
*回想、終了。*
レイムは、三年前の自分を否定するように、突然、大声を出した。
「私だって地図見れるし、大丈夫だから!!」
「は?」
リムは、突然のレイムのヒステリックな叫びに驚いた。
「急に大きな声出してどうした?」
「なに?なに?急に!」ニールも戸惑っている。
レイムは、自分が過去の記憶に引きずられたことを隠すように、首を振った。
「……な、なんでもない。なんでもないから……行こう、湖畔の町へ!」
レイムは、自分の「脳筋」ではないことを証明するかのように、大股で東へと歩き始めた。




