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魔法をどこかに落としてきました…(´・ω・`) 魔法を忘れた魔法使いの物語  作者: 南蛇井


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Scene 4: 三年間の欺瞞

近くの町・酒場

魔王城からウイングリーフで緊急脱出し、勇者一行は最寄りの町へと飛んでいた。


彼らが選んだのは、人気のない酒場の片隅のテーブル。重苦しい空気が、店内の喧騒をかき消す勢いで四人の間に漂っていた。


テーブルの上には、誰も手を付けていないエールが置かれている。


勇者アレスは、怒りを通り越して疲弊しきった顔で、目の前の魔法使いレイムを睨みつけた。


「どー言う事だよ。三年だぞ?なんで、なんで言ってくれなかったんだ?」


アレスの言葉には、詰問と同時に、深い裏切りの感情が滲んでいた。


レイムは、フードの奥でさらに顔を隠し、コップを弄びながら、どもりながら言い訳を口にした。


「……いや……あの……何度か……言おうとはしたんだよ……」


「でも……出発したばかりで……みんなすごく盛り上がってて……『さあ、勇者として頑張るぞ!』って雰囲気で……」


彼女は、蚊の鳴くような声で続ける。


「今、水を差すのは……言いづらいな……って思ってるうちに、だいぶ来ちゃって……言い出すタイミングが……」


「あったよ! 絶対あるだろ!」


壁に叩きつけられたダメージがまだ残っている戦士ガリウムが、テーブルを叩いて立ち上がった。


「何年一緒にいたと思ってんだよ!何度も何度もピンチの時があっただろ!あの時言えばいいだろ!」


ガリウムは勢いそのままに、根本的な疑問をぶつけた。


「っていうか!そもそも魔法って落とせるのかよ!? 剣とか杖とか、物理的なアイテムとは違うんだぞ!」


僧侶ラザロも、困惑した表情で頷いた。聖典にも、そんな記述はない。


レイムは、もじもじと指を組み合わせて、ますます目を合わせようとしない。


「三……年?いや……なんか……こう……タイミングが……」


そして、ガリウムの疑問に対して、彼女は震えながら答えた。


「……落とせるみたいだね……私も……びっくりしてる」


その言葉は、もはやレイム自身が、自分の異常な状況を理解できていないことを示していた。


ガリウムは頭を抱えた。アレスは額を押さえて深いため息をつく。三年間、彼らのパーティーの土台は、レイムの「魔法を使うフリ」という、薄っぺらな芝居の上にあったのだ。


「で、だ」アレスは感情を押し殺し、冷徹に尋ねた。「その**『落とした魔法』**とやらは……どこにあるんだ?」


その問いに、レイムは顔を上げ――そして、絶望的な顔で、またしてもアレスたちを絶望させる一言を放った。


「えっと……心当たり、ないんだ」

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