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魔法をどこかに落としてきました…(´・ω・`) 魔法を忘れた魔法使いの物語  作者: 南蛇井


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Scene 5: 火炎矢(ファイアアロー)の真価

森の中央。黒いマントを纏ったヴァンパイアが出現し、一気に緊張が高まった。

「レイム、大丈夫だ!リム、援護してくれ!」

ニールは、まだ恐怖を押し殺しつつ、勇気を振り絞って剣を構えた。

「剣に炎の力を!【炎剣】」

リムは、ニールの剣にレイムから取り戻したばかりの魔法、**火炎矢ファイアアロー**を応用したエンチャントを施す。ニールの剣は炎を纏い、ニールは勢いよくヴァンパイアに斬りかかった。

しかし――ヴァンパイアは、片手でその剣を受け止めた。

「なっ……!」

ニールは渾身の力を込めたが、剣はピクリとも動かない。ニールの戦士としての矜持は、一瞬にして打ち砕かれた。

その隙に、リムが援護魔法を放つ。

「【火炎矢】(ファイアアロー)! レベル3だ!」

数本の炎の矢が、ヴァンパイアを襲う。ヴァンパイアに命中するが、ヴァンパイアは微動だにしない。

「なんだ、これは……?」

ヴァンパイアは、矢が当たった場所を手で擦りながら、不快そうに言った。

「かゆいな……」

レイムは、その光景を見て、三年前の絶望的な記憶が蘇る。

*回想**

コウモリが集まりヴァンパイアとなった直後。

「こいつ……俺たちの攻撃が効いてないぞ」アレスは焦っていた。

「魔法の加護をつけてこれかよ!初戦から難敵だな!」ガリウスは冷や汗をかいていた。

「ここは一旦引くべきかと」ラザロが提案する。

「……そっ、そうね……」レイムは、魔法が使えなかったため、すごく気まずかった。

「ガリウス!どうする?男としてどうする?」アレスがガリウスに問う。

「男としてだ?」ガリウスは一瞬迷い、「男としてなら……逃げるだろ! この状況!」

そして、レイムたちは逃げ出した。

*回想終了。*

ヴァンパイアは、右手を軽く振るった。それだけで、ニールとリムは、あっけなく吹き飛ばされた。

「私に任せて!」

レイムは、一歩前に出た。

「待て!お前、【火炎矢】(ファイアアロー)しか使えないだろ! あいつには全然効かないぞ!」

リムは、レイムの唯一の魔法が効果がないことを知っていた。

「……問題……ないです」

レイムは、静かに答えた。

(以前アレス達と来た時は、全く刃が立たなくて逃げ出した強敵……今なら……)

ヴァンパイアは、鼻で笑った。

「なんだ、お前は。お前のような貧素な娘に何が出来る……」

ヴァンパイアは、レイムに向けて、容赦なく鋭い爪を振るった。

ガキンッ!

レイムは、ヴァンパイアの攻撃を、まるで虫を払うように軽く跳ね除けた。彼女の力(STR)530の前では、ヴァンパイアの猛攻は、ただのじゃれつきに過ぎない。

「なっ!」ヴァンパイアは驚愕した。

レイムは、魔導書を開き、たった一つ戻ってきた魔法を唱えた。

「【火炎矢】(ファイアアロー)!」

レイムから放たれた炎の矢……それは、リムが使った貧弱な矢とは、あまりにも次元が違っていた。

それは、巨大な炎の奔流。文字通り、ヴァンパイアと、その周囲の森を全て飲み込んでいく、超高熱の炎の塊だった。

炎が収束したとき、ヴァンパイアは影も形もなく、消し炭となっていた。

「……な、なんだ……?」リムは、信じられない光景に呆然とする。「……同じ……魔法なのか……」

「レイム……ばっ、化け物……」ニールは、恐怖に震えながら呟いた。

「ちっ、違うよ!」

レイムは、自分の規格外の強さを否定しながらも、静かに魔導書を閉じた。彼女の最初の落とし物である【火炎矢】は、その真価を取り戻していた。

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