Scene 4: 迷いの森の再来
レイム、リム、ニールの三人は、迷いの森に辿り着いた。木々が鬱蒼と生い茂り、昼間だというのに薄暗い。
「なんか……結構不気味だね」
ニールは、少し声を潜めて言った。
「不気味だから、お前帰ったほうが良いんじゃないか?」リムがすかさず突き放す。
「なっ……何を言う!僕の前衛がいないと危険だなって改めて思っただけだ!」
「ふーん……」リムは信じていない。
「む、無理しなくて……大丈夫……だよ」レイムも心配そうに声をかける。
「む、無理なんかしていない!」
ニールは強がって、ずんずんと先を進んだ。
その時、ガサッという音とともに、頭上から小さな黒い影が舞い降りた。
「ひぃっ!」
驚いたニールは、情けない声を上げてしりもちをつく。
黒い影の正体は、無数のコウモリの大群だった。
「コウモリ程度に驚いてんじゃねぇよ」リムは呆れて言った。
レイムは、このコウモリの大群を見て、三年前、アレスたちと迷いの森へ来た時のことを思い出した。
*回想**
森の中。警戒していたアレスが、低い声で言った。
「なにかいる……」
「お前ら下がってろ。俺が先に行く」
ガリウスは、仲間を守るために、慎重に前に進んだ。
黒い影の正体は、今回と同じコウモリの大群。
「お前ら気をつけろ!」
ガリウスは、剣でコウモリを振り払うが、数は減らない。
「ちっ、数が多いな!」
*「レイム、ラザロ、援護を頼む!」*アレスが叫び、コウモリに斬りかかる。
ラザロは、即座に防御魔法でアレスとガリウスの防御力を上げた。
レイムも魔導書を開く。当時、彼女が覚えている最も強力な魔法を繰り出そうとした。
「剣に炎の力を!【炎剣】(ファイアーソード)……あれ……な……い」
レイムは、その時初めて知ったのだ。魔導書に……魔法が……な……い。どういうことだ、と。
*「レイム、助かる!」*アレスは、レイムが何もしていないにも関わらず、援護が来たと思い込んでいる。
*「よーし、これでコウモリ如き一掃だな!」*ガリウスもそう信じた。
アレスとガリウスは、コウモリを次々と撃退していった。しかし、コウモリは消滅せず、森の中央に集まっていく。
コウモリは、やがてドロドロとした黒い塊になっていった。
*回想、終了。*
レイムの記憶が、鮮明に蘇った。
コウモリが、集まる。これは、魔物の仕業ではない。魔法の仕業だ!
「危ないわ! 二人とも下がって!!」
レイムは、かつて自分が魔法を失った場所で、三年間の空白を埋めるように、強く叫んだ。
ニールとリムは、その異様な剣幕に驚いてレイムを見る。
コウモリは、レイムの記憶の通り、中央で集まり、黒い塊になっていく。塊は、まるで粘土細工のように形を変え、人の形となった。それは、黒いマントを纏った、人の形をした何かだ。
レイムは、顔を青ざめさせながら、その正体を告げた。
「ヴァンパイア……強敵よ!」




