第4話:戦士との再会? Scene 1: 次なる目的地と、足りないもの
レイムは、魔導書の中に戻ってきたたった一つの魔法、**火炎矢**を抱きしめ、喜びを噛みしめていた。
「よかった、戻ったわ……!」
レイムは、心底ご機嫌な笑顔を浮かべている。三年間、ずっと背負ってきた重荷が、少しだけ軽くなったのだ。
「まだ1つ目だぞ……」
リムは、レイムの楽観的な態度とは対照的に、世界中に散らばる無数の赤い点を思い浮かべ、ため息をついた。先の見えない魔法探しに、彼の顔は早くも疲れている。
レイムは、そんなリムを気にせず、新しい魔導書の地図を開き、次の魔法を探し始めた。
「ここから一番近いのは……」
リムも、地図をのぞき込み、冷静に分析する。
「あー、一番近いのはあれだな……迷い森だ」
地図上の森のエリアに、複数の赤い点が表示されている。
「ここに何個か反応があるな。迷いの森に行くなら、その手前のマヨイ村に寄ってから行くか」
「迷いの森……手前の村……」
その名前を聞いた瞬間、レイムの脳裏に、勇者パーティーの三番目の仲間、戦士ガリウスの姿が浮かんだ。彼と出会った、最初の拠点だった。
レイムは、ガリウスとの出会いを回想する。
*回想**
冒険者ギルドでの登録を終えたばかりの、活気ある時期。
アレスは、剣を携え、熱気に満ちていた。
「冒険者登録も無事に終わったし、ガンガンいこうぜ!」
「……なにか足りない気が……」レイムは、ふと違和感を覚えた。
「何言ってんだよ!」アレスは腕を組んだ。「装備もバッチリ!道具も揃えた!足りないもんなんかないだろ」
「アレス、足りてないですよ」
ラザロが、穏やかな表情ながらも、厳しい事実を突きつけた。
「だって、前衛、アレスだけじゃ不安じゃないですか」
「何言ってんだよ!俺はバリバリ戦うぜ!」
「私もレイムも、魔物と殴り合ったり出来ないんですよ。あなたは二人同時に守れるんですか?」
アレスは、ラザロの言うことに耳を貸そうとしない。
「ラザロは男なんだし、いけるだろ!」
「無理です。暴力反対ですから」
*「えーっ、じゃあどうすんだよ」*アレスは困惑した。
「だから、ちゃんとさっきギルドで情報仕入れたんですよ」ラザロは、冷静に計画を立てていた。「この先にある村に、暇を持て余した戦士がいるようなので、会っていきましょう」
「まー、しょーがねーなー」
アレスは気乗りしないものの、戦士に会ってみることにしたのだった。
*回想、終了。*
レイムの魔法の文字は、あの戦士ガリウスの出会いの場所に落ちている。偶然か、それとも運命か。次の目的地は、マヨイ村、そして迷い森に決定した。




