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有名侯爵騎士一族に転生したので実力を隠して親のスネかじって生きていこうとしたら魔法学園へ追放されちゃった  作者: すずと
三章

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第77話 数の暴力で攻めようとしている指示役は大体ザコ

 真っ二つになっちまったヴァンパイアは、恨めしそうな顔のまま動かなくなってしまった。


「……」


 いつの間にかウルティムが、動かなくなったヴァンパイアの前に立っているのが伺えた。


「うっ……」


 漏れるような声が違う方向から聞こえてくる。


 ルベリア王女だ。


 ルベリア王女が、糸の切れた人形みたいに倒れているのを目撃してしまう。


 まだ化け物達がそこら辺にいる。安全地帯がない。


 フーラをお姫様抱っこして、ルベリア王女の元へ向かう。


「ルベリア王女!! ──あつっ……」


 彼女の身体もまた熱かった。


 これは……魅了が解けたのか……?


 なんて疑問に思っていると、大量に出て来た化け物達がその場で蒸発するように消えていく。


「……そうか」


 俺は冴えているみたいだ。その様子を見て瞬時に答えが出ちまった。


 ヴァンパイアが死んだからだ。


 奴が死んだから、ルベリア王女にかけられた魅了も解け、血で操られていた化け物も消えていった。


 俺の魔力でも解決できる問題ではあったが、本体を叩くのが最短の解決策。それがわかっていたからウルティムは真っ先に本体へ向かって行った、と。


 答えがわかれば足取りは軽い。


 フーラとルベリア王女には端の方で横になってもらい、黙って突っ立っているウルティムの方へ足を向けた。


「終わったんだな」


 ヴァンパイアの死体を、ジーッと眺めているウルティムへ声をかけたんだけど……浮かない顔だな。


 そりゃハッピーエンドだなんて言えたもんじゃない。沢山の犠牲者が出た後味の悪い結末。


 だけどさ、ウルティム。この一旦の区切りに緊張を解いても良いんじゃないか? やたらめったら怖い雰囲気を醸し出しているぞ。


「三文芝居はよせ。お前は不死身だ」


 ウルティムが剣を構えたところで、「くっくっくっ」と高笑いがヴァンパイアの死体から上がった。


 死体が笑っているホラー要素抜群の光景から、死体がくっつくという、スプラッターシーンが逆再生されたかのような光景を見せられて吐きそうになる。


「勇者セレスよ。不死身とは少し違うぞ。私は今し方死んだ。だが、生き返ることができるのだ」


「ぼくには不死身となにが違うのかわからない」


「一度死んでいるんだ。私にかかった魔法は全て解ける。見ろ。私が丹精込めて作った兵士達が全て地に帰ったではないか。私の努力が水の泡だ。いや、この場合、私の努力が血の泡と言った方が正しいのかな」


 あー、やれやれ。なんてふざけた様子で言ってのけるヴァンパイアへ、ウルティムが煽る口調で言ってやった。


「死ねば死ぬほどに弱くなるみたいだな」


「……なにっ?」


「今のお前は昔よりも遥かに弱くなってしまった。ぼくの相手にならない。何度死んだ? 一〇〇回か? 一〇〇〇〇回か? 弱過ぎて剣を使わなくとも拳で勝ててしまうぞ」


「ふっ……私も甘く見られたものだ。確かに、勇者セレスよ。お前は強い」


 だが──


「何度でも甦るこの私は魔王もを超える存在──ぶべぶっ!!」


 セリフと共にウルティムへ襲いかかろうとしたが、ウルティムの左ストレートが決まり、ヴァンパイアは雷に打たれたかのように爆破して粉々になった。


「以前のお前なら魔王よりも強かったかもな。だが今は見る影もない」


 粉々になったヴァンパイアが再度復活を果たす。


「──まだまだぁ!!」


「ふんっ!!」


「ばべっぶっ!!」


 美青年から到底放たれないであろう汚い声が響き渡る。


「もういっちょ!!」


「しゃらくさい」


 終焉の一撃(ウルティム)


「がああああああ──!! あがああああああ──!! がが、ぁが──!!」


 地獄から雷を呼び起こしたかのように、地面から天に向かって雷が昇がる。


 その雷に飲み込まれたヴァンパイアは断末魔の叫びを上げていた。懺悔の余地も与えない雷は、その罪に比例するように強く、美しく輝く。


 バンベルガさんの時よりも、うんと綺麗であった。


 雷の断罪が済むと、なにも残らなかった。


 しかし、それも一瞬。


「ふ、ふふふ。無駄だ。オーバーキルをしたところで、我は何度でも甦る」


「お前の弱点など知っている。太陽だ。陽の光を浴びればお前は浄化する」


 はずなんだがな。


 なんてウルティムが小さく付け加えていた。


「弱点を知っているところでどうした。陽が昇る前にお前らを殺せば済む話だ」


「強がるな。時間の問題だ」


「それはこちらのセリフ。果たして、陽が昇るまでに魔力は尽きるかな?」


 ギロリとヴァンパイアがこちらを睨み付けてくる。


「転生の魔力を持つリオン・ヘイヴン。お前から血祭りに上げてやる」


「お、俺!?」


 いきなり標的を俺に変えて来やがるもんで、素っ頓狂な声が出てしまった。


 宣言通りに俺に襲いかかるヴァンパイア。


 だが、遅い。遅過ぎる。


 ウルティムの言っている通り弱いぞ。


 ガシッとヴァンパイアにアイアンクロ―をかましてやると、「うっ、は、離せっ」なんて小物みたいなセリフを吐きやがる。


「なんで弱点が太陽なのに、太陽みたいな魔力を持っている俺のところへ来るんだ、よっ」


「太陽みたいな魔力? なにを言っているんだ。転生の魔力はそんなものでは──ガァァァァァ!! あ、つい……灼ける……灼けるぅぅぅぅぅぅ!!」


 強がりのセリフも一瞬、ヴァンパイアから他の化け物同様に煙が上がる。


「──そうか……私は……我は……俺は……ぁぁ!?」


 最後、言葉にならない声を上げてヴァンパイアは浄化した。


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