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有名侯爵騎士一族に転生したので実力を隠して親のスネかじって生きていこうとしたら魔法学園へ追放されちゃった  作者: すずと
三章

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第74話 もう少しで思い出せそうな時ほど思い出せない

 勢いそのままに俺達は、アルバート魔法学園のダンジョン試験を行ったダンジョンにやって来た。


 あまり良い思い出なんてないこのダンジョンだが、夕焼けに染まるダンジョンを見ると、綺麗と素直に思ってしまう。


 とかなんとか、魔物には関係ない。人を見つけたら襲いかかって来やがる。


「はあ!! やあ!!」


 フーラが持っていた剣を試すように振るう。


 まだ拙い振り方だが、剣が良いのか、魔物が弱いのか、簡単に真っ二つに斬っちまった。


「見て見て!! 私、剣のセンスあるかもっ!!」


 Vっとかわいくピースサインをかましていらっしゃいます。


「見事だ、フーラ王女。初めてなのに筋がある」


 はしゃぐフーラを、ルベリア王女が素直に褒めてあげている。


「このまま剣を磨けば世界を救った勇者みたく、魔法剣士になんておとぎ話みたいな存在になれるんじゃないか?」


「私が勇者様みたいに……えへへー」


 なんかやたらめったら嬉しそうにしているところを、ジーッとウルティムが見ていた。


「どう? ウルティム。勇者フーラの誕生だよ」


「フーラが勇者とかアルバート末代の恥」


「んだと、ごらあああ!!」


 あいつら仲良いなぁ。一緒に暮らしているからだろうか。


「──ッ!? 危ないっ!!」


 話しの最中、真っ二つにしたはずの魔物が復活を遂げ、フーラとウルティムに襲いかかる。


 それをルベリア王女が素早い剣撃で原型なく斬り刻んでみせた。


「この魔物、復活したぞ」


 こちらのリアクションなどお構いなしに、ルべリア王女が斬り刻んだはずの魔物がまた復活しちまった。


「ッ!!」


 今度は俺が持っていたウルティムの剣で魔物を斬る。


 じゅわっと灼ける音がして、魔物は煙と化して消えていった。


「リオン。ここの魔物は普通じゃないのか?」


 確かに、フーラ、ルべリア王女、俺という三回でようやく倒せた。


「いえ……前に来た時はこんなんじゃなかった」


 以前はヴィエルジュとフーラの魔法で倒せたし、俺が単独で来た時も一太刀で倒せたはずだ。魔物の見た目も以前と同じ……。


「フーラ。剣の練習はまた後日付き合うから、今日は前みたいに魔物を近寄らせないでくれ」


「剣デートの言質取ったからね」


 イタズラっぽく言うとフーラは剣を納刀し、彼女を中心に炎が巻き起こる。


 辺りの魔物が消えて灰になっていく。


「さっ。行こう♪」


「流石は本職の魔法使い。物凄い魔法だ」


 ルベリア王女。これは魔法なんてレベルじゃないんよ。こりゃただのチートだ。


 ♢


 チート姫様を先頭に、戦闘にならない勝負が自動で決着していく。


 これ、経験値とかがあるゲームなら自動で経験値が増えて、勝手にレベルが上がっていくやつだな。


 近付く魔物は勝手に焼却され、簡単に古代文字が書かれている壁を見つけた。


「ルベリア王女。読めます?」


「ええっと、だな──『く……ろ……?』ここら辺は掠れて読めんな……えー、これは……『まり……』ええっと、『まじゅつ……おしえ、て……』かな」


 おおー!! パチパチパチパチ。


 古代文字を読んでくれたルベリア王女へ、自然と拍手をしてしまう。


「ふっ。こ、こりぇくらい、よゆーだぞ」


 あまり褒め慣れていないのか、ルベリア王女ったら照れ臭そうに噛んじゃった。


「でも、あんまり意味はなさそうだね」


「字も拙い。当時の幼子の落書きかもしれん」


「ってことは、このダンジョンには昔、誰かが住んでいたってことですかね」


「可能性はあるだろうが、これだけじゃなんとも言えん。他にこのダンジョンに古代文字はないのか?」


 確かにこれだけじゃなんにもわからんね。


 とは言ったものの、あったかなぁ……。


 ここら辺でロマン感じるわぁとか思ってただけだし、あんまり意識してダンジョンを見てなかったからなぁ。


「そういえば……学術の杖があったところに、古代文字があったような……なかったような……」


 フーラが絞り出すかのように言っているけどさ。


「あったっけ?」


「私も曖昧なんだよね……」


 うーん、うーんなんてフーラと二人で唸るが答えは出ない。


「わっかんないから、とりあえず行ってみよー」


 性格がガンガンいこうぜのフーラはとりあえず行動って感じ。嫌いじゃないぞ、その性格。


「フーラ王女の魔力は持つのか? これほどの魔法なら、魔力消費も激しいと思うのだが……」


「私ならぜんっぜん余裕です♪」


 Vっとルべリア王女へしてみせるその顔には、言葉通りの余裕しか見えなかった。


「フーラ王女が良いのなら、私も奥に進むのは賛成だ。他の古代文字も気になるからな」


「だったら行きまっしょー」


 元気いっぱいに炎を撒き散らしてフーラが先陣を切っていく。言葉通り、まだまだ余裕っぽいね。その後を苦笑いを浮かべながらルべリア王女が続いて行った。


「……」


「ウルティム? どしたん?」


 二人が先に進んだってのにウルティム奴は、ジーッと古代文字を見つめてやがる。


「マスター。この文字、ルべリアは『まじゅつ』って言ってたよね?」


「んぁ? ああ、そう読んでたな」


「魔法じゃなくて魔術……なにが違うの?」


「おいおい。騎士の家系の俺にそんなことを聞くのはお門違いってやつだぜ」


「マスター。魔法学園の生徒……」


「お前もだぞ」


 自分のことを棚に上げているウルティムは、無表情を少しばかり曇らせた。


「なんか……昔、マスターとこんな会話をした気がする」


「まてまて、俺等は出会って間もない……って、そりゃもしかして、前のマスターとかそんなノリ?」


「前のマスター……? いや、ぼくに前のマスターなんていない」


「それは断言できるんだな」


 なんか自信たっぷりに否定しているが本当かね、この子。


「だったら……ウルティムが俺に似た誰かとそういう会話をしたとかじゃないか」


「それ」


「手をパチンと叩く割に無表情だから、きみのテンションが上がったのかどうか判断がつかない」


 でも、この感じはなにか思い出そうとしているのではなかろうか。


「この字も、なんか……見覚えあるような……うぬぬ……なんか思い出せそうで思い出せない……」


「めっちゃ大進歩じゃねぇかよ。つうかここってウルティムが眠っていた場所だもんな。奥に行けばなんか思い出せるかも。行こうぜ」


「うん」

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― 新着の感想 ―
書いたのも、ウルティム自身だったとか? このまま謎に迫れますかね。ヴィエルジェ抜きでw
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