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有名侯爵騎士一族に転生したので実力を隠して親のスネかじって生きていこうとしたら魔法学園へ追放されちゃった  作者: すずと
三章

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第72話 かっこよく決めたと思ったら大体決まらない

「エスコルさん」


 ステラシオンにやって来ると、エスコルさんの店へ直行。店に入ると、まぁたヘイヴン家の引きこもりが来たなんて言われちゃった。連れている女の子が妹と専属メイド以外でびっくりしたところで、フーラとウルティムを紹介。もちろん、ウルティムの事情は隠してある。


 ウルティムが興味深々に剣を見るもんだから、フーラが付き合う形で二人には時間潰しをしてもらっている。


「この剣なんだけど、みてくれません?」


 挨拶もそこそこに、ウルティムに刺さっていた剣をエスコルさんへ手渡した。


「ほぅ……」


 渡した剣をまじまじと眺めながら声を漏らしている。


「珍しい?」


 ──ありゃま。俺の質問を無視して、ジッと剣を見つめちゃってるよ。


 まるでなにかお宝を見つけたかのような。そんな真剣な表情。


 その態度から淡い期待を抱いてしまう。


「もしかして、激レアで、相当な売値になる、とか?」


 ゴクリと生唾を飲んで次のエスコルさんの言葉を待つ。


「ただのロングソードだな」


「エスコルさぁん。だったらお宝を見つけたような空気を出さないでくださいよぉ」


 まぁ剣を売りに来たわけじゃないんだけどさ。


「わりぃわりぃ。鍔のところに消えかかっているけど文字があんだろ? 随分と古い文字だ。相当古い剣だな、こりゃ」


 言われて気が付いた。確かになにか書いてある。


「古い文字が書いてあるのなら、ビンテージもんで価値が付かないの?」


「俺は質屋じゃねぇからな。もしかしたら価値が付くかもしれんが、剣としての価値はそこらのロングソードと同じだ」


「あー、そういうね。ちなみになんて書いてあるの?」


「さぁなぁ。俺は古代文字なんて読めねぇよ」


「そりゃそうか」


「パッと見でわかるのはそんくらいか。詳しく調べてやっても良いが──まぁ、こんなもんだな」


 言いながら、見積書を出されちゃった。


「そうなりますよね」


「そりゃ、こっちも商売だからな。安心しろ。レオンの息子だから割引してやってるよ」


「ワーウレシイナァ」


 割引されても、俺の手持ちじゃ払えません。


 くっ。仕方ない。あんまりこういうのを頼るのは嫌だが……。


「フーラ──って……」


「どうどう? リオンくん。アルバート王女、剣バージョン」


 剣を構えるフーラの姿は、なんというか、うん。様になっている。


「良いじゃん。似合うな」


 魔法使いには珍しく運動神経抜群なお転婆姫様だ。そりゃ剣も似合うってな。


「褒められたー♪ 嬉しいー♪♪」


 褒めてやると、「えいっ。やっ」なんて、ちょっぴりふざけた感じを出して剣を振っていた。


「ぼくが見繕った」


「ウルティムが?」


 世界最悪の剣のコーディネートってわけか。そう聞くと、それが良いことなのか、悪いことなのかわからんな。


「馬子にも衣装」


「おいごら。誰が馬子だ」


「お。アルバートの姫さん。その剣を選ぶたぁ良いセンスしてんな」


 この状況を見ていたエスコルさんから声が上がると、「えへへー、ありがとうございます」なんて更にフーラの機嫌が良くなる。


「ぼくが選んだ」


 エスコルさんへ、ドヤっと返すウルティム。そこは譲れないみたいだね。


「へぇ。嬢ちゃんが選んだってか。良い目をしてやがる」


「ふふん」


 エスコルさんに褒められて、ウルティムも機嫌が良くなる。


「どうだい姫さん。ステラシオンに来た土産で買ってくか?」


「えー、どうしようかなぁ」


「魔法学園ったって杖ばっかしじゃ飽きるだろ。こう、剣で魔法を、バババって出したらクラスの奴から人気でんぞ」


「わかってる。おやじ」


 テンションの上がったウルティムが、ツインテールを跳ねさせてエスコルさんのところに向かう。


「「剣から魔法、ロマン砲」」


 グッジョブ。きらん☆


 なんかあの二人、気が合いそうだね。


 しかしなんだ。そんな子供騙しに一国のお姫様が踊らされるかってんだ。


 なぁ、フーラ。


「……ぃぃかも」


 この子ったら騙されそうになってんな。


「待て待て待て。もう既にクラスの人気者なんだ。剣なんてなくても大丈夫だろ」


「も、もちろん。冗談だよー」


 あははー。なんて苦笑いを浮かべているが、ほんとかいな。


「ごめんフーラ。ウルティムの剣の調査なんだけどさ。持ち合わせが足りないんだよ。すぐに返すから金を貸してくれないか」


 わかってる。自分でもカッコ悪いヒモ発言なのは承知だ。だけど、金がないのも事実。


「このアルバート第一王女、フーラ・アルバートに経済的相談かね、リオン・ヘイヴンくん」


「そうでゲス」


「ふふふ。大船に乗ったつもりで任せたまえ。我は王族ぞっ」


「おお。マジもんの職権濫用キタコレ」


 ドスドスと大型戦艦がエスコルさんのもとへ。


 そして懐からなにかを取り出す──


「あり?」


 なんともまぁ間抜けな声を出して、自分自身の身体を弄ってやがる。


 そんな彼女へ、ウルティムから一言。


「フーラ。お金ならダイナミック乗車に使った」


「そうだったああああああ!!」


 フーラがダイナミックに膝から崩れ落ちてる。


 あ、うん。俺が言うのもなんだけど、だっせぇなぁ、姫様。


「あん? 金がねぇならこの剣を見ることはできねぇぞ」


 エスコルさんの言う通りだ。ボランティアじゃないんだし、金がないなら商売にならない。今日は諦めて、後日出直すか。


「エスコル殿。これで足りるか?」


 聞き覚えのある声が聞こえて来たかと思うと、店のカウンターに金が置かれた。


 見ると、ボブカットのブロンドヘアな鎧ドレス美女が立っていた。


「ルベリア王女……」


 ステラシオンの王女、ルベリア・ステラシオンが、いきなり現れて圧倒的経済力を発揮してくるんだけども。


「ああ、釣りが出るくらいだ」


「だったら、そこの王女様に土産の一本をやってくれないか? それでも釣りが出るなら構わん。いつも世話になってる礼だ」


 かっこいい。なに、この、仕事ができるクール系女子。


「ルベリア王女。それだと金が足りねぇよ」


 うわー……すんげぇ空気流れてくるぅ。


「こ、こりぇ、を、ちゅ、追加でゅぇ、受けとれいぃ」


 噛みっ噛みで金を追加している姿を見ると、共感性羞恥で俺も悶えてしまった。


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― 新着の感想 ―
まじにヴィエルジェ以外が勢揃い。こりゃやべー。 帰ったら、凍るw エスコルさん金には厳しい。
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