第49話 ロイヤル双子メイドへプレゼント
ステラシオン剣術大会が終わり、俺──リオン・ヘイヴンは魔法学園に帰って来た。
剣の修理にやたらと時間がかかった気がするな……。
まぁ、約束通りにエスコルさんが学園長先生の剣(元は父上の双剣の片方)の修理してくれることになったからヨシとするか。
加えて、優勝おめでとさん、ってことで、借りていたロングソードを譲ってくれたし。更に更に小物を作ってくれるってことで、それを頂いた。
ただ、修理には時間がかかるみたい。後日取りに来て欲しいって言われちゃった。
魔法吸収なんてバフがかかった剣の修理だし、仕方ないよね。
「もう、しょうがない。この最高の妹、レーヴェ・ヘイヴンが剣の修理が終わり次第、リオン兄様のところに届けてあげるよ」
「お前、本当に最高の妹だな」
自慢の妹のお言葉に甘え、俺はアルバート魔法学園に戻って来た。
アルバート魔法学園は筆記試験を終えたところだろう。ヴィエルジュとフーラは無事に筆記試験ができたかな?
少しばかり足取りを速くして寮の自分の部屋を目指した。
♢
「「おかえりなさいませ。ご主人様♪♪」」
寮に戻ると、ロイヤル双子メイドがお出迎えしてくれる。
なぜ、俺が今日帰って来るのがわかっていたのか。なんて疑問は置いておこう。
「ただいま、ヴィエルジュ。フーラ」
二人を見比べ、二人のメイド服を見る。
ヴィエルジュの方は見慣れたいつものメイド服。清楚で気品のある完璧な着こなし。
フーラの方も身体にピッタリなメイド服。胸元が全然スカスカじゃない。新調したんだね。
「んー? リオンくん、なにかな?」
フーラがこちらの視線に気が付き、含みのある声で聞いてくる。
「いえ、なにもありませんよ」
そこにツッコミを入れると、また鉄拳制裁が飛んで来るから、口が裂けても言えん。
フーラのメイド服には触れず、部屋に上がった。
「うぉ……」
やたら部屋が綺麗な気がして声が漏れちゃった。
全体的に明るい。床はピカピカ。窓ガラスも曇り一つなし。寮なのにモデルルームみたいに綺麗だ。掃除をすると部屋が明るく見えるって言うけど、それを実感できるな。
「ご主人様がいつ戻って来て良いように毎日掃除をしておりました」
ヴィエルジュが当たり前のように言ってのけるので、ついつい心配な声が出ちまう。
「凄くありがたいんだけど、筆記試験は大丈夫だったのか?」
「ご心配には及びません。おそらく満点でしょう」
まぁ、ヴィエルジュだもんな。このチートメイド様なら朝飯前だったのだろう。
さて、姉の方はどうだったんだろうか。
チラッとフーラの方へ視線を向けると、慌てた様子を見してくる。なんか、目が泳いでいるんですが。
「わ、わた、私だって大丈夫よ!!」
「や、なにも言ってないけど」
「ふんっ。どうせ私はヴィエルジュみたいに勉強できないもん」
あらら。なんか勝手に拗ねちゃった。どうやらフーラの筆記試験の出来はそこまで良くなかったみたいだな。このアルバートのお姫様は、魔法の国なのにゴリゴリの体育会系ってわけですかい。
「拗ねないでください、後輩姫様」
宥めるような口調で、とんでもないことをぬかすね、ヴィエルジュ。
「おいごら。誰が留年確定じゃい」
「おっと、失敬」
「むぅぅぅ……良いもん!! もしもの王族の権利を使ってでも進級するもん!!」
さっすがはヴィエルジュの双子の姉。常識人ぶってても、めちゃくちゃなことをぬかしておられる。まぁ、もちろん冗談だろうけども。フーラがそんなことをするはずがない。
「まぁまぁフーラ。落ち着けって」
彼女を宥めながら、俺は革製の杖ホルダーを二つ取り出した。エスコルさんが作ってくれた小物だ。
「大したもんじゃないけど、これで機嫌直してくれよ」
一つをフーラへ。
「ヴィエルジュも受け取ってくれ」
一つをヴィエルジュへ渡す。
「ええっと……なんだ、その……二人共、杖はあんまし使わないだろうけど、授業で使うだろうから、良いかなぁと……」
自分の渡したプレゼントが二人に喜んでもらえるかどうか不安になり、なんだか変な言い訳臭くなる。心臓がドキドキしてきた。
だめだめ。こんな言い方してちゃだめだ。ちゃんと相手に自分の気持ちを伝えないと。
軽く深呼吸をしてから再度口を開いた。
「二人にはいつもお世話になっているから、感謝の気持ちを込めて。二人共、いつもありがとう」
あっつぅ!!
素直に感謝の言葉を言うのって、照れ臭くって、身体が熱くなって、顔が熱い。絶対、顔真っ赤になってるやつ。耳まで熱い。
でも、このこそばゆい感じは好きだなぁと思う自分がいる。
「「ご主人様」」
右腕にヴィエルジュ。左腕にフーラがそれぞれ抱き着いてくる。
ヴィエルジュは花がほころぶように静かに微笑み、フーラは無邪気な笑顔が、ぱあぁっと弾けた。
「「一生大事にします♡♡」」
こっちまで嬉しくなる二人の笑みと温もり。二人にプレゼントを渡して良かったな、と心底思えた。




