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有名侯爵騎士一族に転生したので実力を隠して親のスネかじって生きていこうとしたら魔法学園へ追放されちゃった  作者: すずと
二章

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第41話 単位の景品の末路

 二章。はじめました。

 学園内に朝の予鈴のチャイムが鳴り響く。


 そんな中、俺──リオン・ヘイヴンは一組の教室へと入り、へなへなぁといつもの席に座った。


 別に席は決まっていないが、クラスメイト達もなんとなくいつも座っている席へと腰掛けている。


「おはようございます。ご主人様」


 右隣に座っていたヴィエルジュが朝の挨拶をしてくれる。


「おはよう、リオンくん。朝からお疲れだねー」


 左隣にやって来たフーラが苦笑いで労いの言葉をかけてくれる。


「いや、ほんと、まじできちぃ……」


 嘆きの声を上げ、俺は机に突っ伏した。


 まだ一日が始まったばかりだってのに、こんなにも疲労困憊なのには大きな理由がある。


 それはこの前、掲示板に貼られた内容が原因だ。


『英雄リオンと決闘(リオン対何人でも可)をして勝った者には褒美(単位)を。負けても罰はなし。この機会に是非とも彼をボコボコにしてくれ。絶対にだ』


 ほんと、なんのいじめなの?


 まぁ魔法使い相手だから俺の脳筋一族ダッシュで一目散に逃げるけどね。魔法使いのガリ勉なんて遅い遅い。


 でもね、流石に毎日毎日追い回されて疲労困憊ってわけだ。今朝も校門に入るやいなや、緑色と青色のロングコートを着た先輩達に追い回されていた。後輩いじめて楽しいのかよちくしょうが。


『あいつ朝から姫様に挨拶されやがって』


『連れているメイドも可愛いし』


『この後、全員で──』


 教室に入ればクラスメイトからの殺意を受ける。


 俺の平穏な学園生活はいつ来るんだ。


「ヴィエルジュー。助けてくれー」


 専属メイドのヴィエルジュを頼ると、綺麗なプラチナの髪を耳にかけながらクールに言ってのける。


「かしこまりました。今後、ご主人様へ決闘を申し込む輩は全員始末します」


「ヴィエルジュさん。目がマジなんですけど」


「ご主人様を脅かす存在には裁きの鉄槌を」


 その話を隣で聞いていたフーラが、苦笑いを浮かべながらもこちらに言ってくる。


「でもね、学園長の剣を壊して逃げちゃったリオンくんも悪いと思うよ?」


「それは……そうなんだろうけどさぁ……」


 ぐぅの音も出ない正論でグーで姫様に殴られてしまった。そんな俺を見て、フーラは優しく言ってくる。


「理由はなんであれ一度謝るべきだと思うな」


 同い年なのに、なんだか年上の雰囲気を醸し出し、包容力のある笑みで俺の頭に手を置いた。


「私も一緒に謝ってあげるから、学園長室行こ。ね?」


「う、うん」


 流石はヴィエルジュの双子の姉。


 普段はお転婆な感じなのに、こういうところは凄くお姉さんっぽい。


「では、私も行きます。ご主人様の罪は私の罪。ご主人様が謝り行くのであれば、専属メイドの私も行くのが道理というものです」


「じゃあ、三人で行こっか。大丈夫。みんなで謝れば学園長先生も許してくれるよ」


 フーラは明るく言ってくれるが、あの学園長先生が簡単に許してくれるのだろうか。


 ♢


 というわけで授業終わり、俺、ヴィエルジュ、フーラの三人は学園長室へと足を運んだ。


 学園長先生は珍しく部屋にいるみたいで、すんなりと学園長とご対面できた。


「すみませんでした」


 開口一番で剣を壊したことを謝る。


「ダメよ」


 ほらぁ。やっぱりぃ。


 この癖つよ学園長先生が謝ったくらいで許してくれるはずもなし。


 え、待って……もしかしたら俺ってば在学中、ずっと魔法使い共と強制鬼ごっこな学園生活突入しちゃう感じ? うそだろ、おい。


 絶望の中、ヴィエルジュが俺を庇うように前に立ってくれる。


「学園長先生。このお方はレオン様の息子。よぉく目を凝らして見てください」


 なんだか催眠術でもかけるのではないかと思われる声を出しております、ウチのメイド様。


「ほーら、段々と若い頃のレオンに見えてくる。見えてくるぅ」


 そんなので引っかかるわけないだろうに。


「……きゃん♡ 若い頃のレオンだぁ♡」


 こんなバカが由緒正しきアルバート魔法学園の学園長先生で良いのだろうか。


「レオンが許してと言っているのです。ほら、レオン。もう一度言ってごらんください」


 ヴィエルジュが今の内に謝れって促してくるので、もう一度謝罪の言葉を放ってみる。


「すまない。シュティア(限界の低い声)」


 ぷっと後ろでフーラが吹き出した。どうやら俺の低い声は笑われるらしい。ダンディとは縁もゆかりもないから許してくれ。


「ああん♡ レオーン。好きー♡」


 おい、いきなり告白してくんな。


 だけど、学園長先生にはハマったみたいだ。このまま父上ボイス(無理がある)を連呼して学園長先生を追い込もう。


「でも、だめよ。私、ずっとレオンのこといじめたかったの♡ 好きな人にはちょっかい出すタイプなのよー♡ だ・か・ら♡ レオンの頼みでも聞いてあげません♡♡」


 あ、はい。この変態にはなにをしても通じないみたい。


「わかりみが深いです学園長先生」


「ヴィエルジュもわかるかしら」


「はい。ですが、私はいじめられるのも好きです」


「わかるわー。すんごいわかる。その日の気分で変えたいのよね。ヴィエルジュとは良い酒が飲めそうだわ」


 この二人、実は相性が良いのか?


「あの、学園長先生」


 二人のやり取りにフーラが割って入る。


「今回の件はリオンくんだけの問題ではございません。剣が壊れたのは私の責任でもあります」


 フーラは頭を深々と下げる。


「申し訳ございませんでした」


 フーラはなにも悪くないのに宣言通りに一緒に謝ってくれる。


 王族の謝罪に学園長先生もふざけた態度はやめ、真剣に取り合ってくれる。


「フーラ様に頭を下げられては仕方ありませんね」


 ため息を吐くと、学園長先生はこちらへと視線を向けてくる。


「リオン・ヘイヴン。決闘の件は撤回してやる」


「まじっすか!?」


 良かったぁ。ガチで良かったぁ。もう鬼ごっこなんてしたくないから心底嬉しい。


「だが」


 学園長先生が柄だけになった剣を俺へと渡してくる。


「修理はしてもらうぞ」


「わっかりました」


 俺が使って壊したのだから修理くらいは俺がしないとね。

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― 新着の感想 ―
2章、これから読ませていただきます。 うん、柄しかなかったら、もうそれは修理とも言えないのでは… 父に新しい剣をねだってしまったほうがw
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