START-3
「全く、飛んだ相手だったぜ」
ミズタマンはそう言いながら、その場から去ろうとする。
「待ちなさい!」
ミズタマンの足元に向けて、威嚇射撃をする煌。
「あぶねぇな。何するんだよ」
「一緒に来てもらいます!」
「嫌だよ」と答えるミズタマンは両手を挙げている。
「嫌でも来てもらいますから」
「なぁ、こんなことして良いの?」
「え?」
「宇宙人・・・・・・」
煌が視線を倒された宇宙人に視線を向けると、どこからともなくビームが飛んできて宇宙人は蒼い炎を出しながら灰となった。
「噓でしょ」
立ち尽くす煌に向かってビームが飛んできて、ミズタマンは咄嗟に煌を庇い、背中にビームが当たった。
「ぐっ!」鈍い痛みが背中に走る。だが、レーザー弾が止む様子はないので、煌を抱きかかえながら物陰を目指して逃げる。
「ちょ、ちょっと!!」
煌は一生懸命、振りほどこうとするがミズタマンの力は強く簡単に振りほどく事は出来なかった。
物陰にようやく逃げた所で、煌は解放されたと同時に「大丈夫?」と声を掛けるミズタマン。
「私は、大丈夫。あんたは?」
「あんたって。一応、君より年上だよ。俺?」
「その成りして何を言ってんのよ」と一蹴されるミズタマン。
「ビームが止むまで、ここに居ろよ」
「あんたは?」
「俺は発生元を叩く」そう言うと、ミズタマンは背中のマントを取り外してパッと引き延ばすと盾に変わった。
「すごぉ~い」
「君はそればっかだな」
ミズタマンは盾を携えて物陰から姿を現すと、弾丸の雨は病んだ。
「逃げられたな・・・・・・」
盾をマントに戻したミズタマンはため息をつき、光学迷彩を使用してその場からすぅ~と姿を消した。
「また、逃げられた。もうっ!!」煌は地団駄を踏むのだった。
翌朝、目の下にクマを作った煌が出社すると、「おはよう」と二人分のコーヒーを持ったネロが声を掛けてきた。
「おはようございます。ネロさん」
「はい。これ」
コーヒーの入った紙コップを煌の机に置いた。
「ありがとうございます。頂きます」
口を付けると、コーヒー独特の良い香りが鼻まで突き抜け程よい苦さが目を覚ましてくれる。
「美味しいです」
「良かった。これ、俺の特製コーヒーなんだ」
「そうなんですね」そう答えながら煌は自身のノートパソコンを立ち上げて勤怠表アプリにチェックを入れる。
「あのさ、昨日のことなんだけど・・・・・・」
「はい」
昨晩、残業と語って霞が関をうろついていたことでの口止めなんだろうなと思う煌。
「課長には内緒にしといて」
「分かりました。内緒にしておきます」
「何が内緒なんだ?」課長が話に入ってきた。
「あ、ビンス課長。おはようございます!」
ネロは元気よく挨拶する。
「そんなんいいから。須田さんの指導頼んだよ」
「はい! 課長!!」
「ネロ君がこういう元気な時は、何か隠し事しているときだから覚えておいて」
そう言うのは、煌の対面の席に座る同僚になる佐保里 理世である。
「分かりました。覚えておきます」煌はメモを取る。
「じゃ、今日は、社内見学と行こうか」
「あの、それは昨日・・・・・・」
「昨日が全てじゃないから。さ、行くよ」
煌を立たせて、ネロは会社見学へと繰り出した。