START-15
「ネロさん、ネロさん」
立ったまま眠るネロを揺り起こす煌。
「あ、起きてる。起きてるよ」と言いつつも寝ていたネロ。
二人は今、橋井首相の警護で世界博覧会の会場にいた。
お付きのSPの仕事は任せてはもらえず、立ち番の任務を命ぜられたのだ。
「起きてなかったでしょ?」
「起きてました」とネロは言いながら、涎を拭く。
「絶対、嘘。にしても、敵は仕掛けてきませんね」
「仕掛けて来ないのが一番だよ」
そんな会話をしていると無線で“首相、外に出るぞ”と入る。
二人は警戒し、周囲を見回す。
そして、橋井首相が出てきた。その時、銃声がパァ~ンっと響いた。
首相の横に銃弾が掠め通った。
「伏せて!!!」SPは橋井首相に覆い被さる。
「ネロさんっ!!」煌はネロに視線を向けるともうそこに姿はなかった。
「全く、どこに行ったのよ!!」
煌は首相の元へと駆け寄る。が、煌に向かって銃弾が飛んでいく。
そんな事を知らない煌を庇うかのようにミズタマンが姿を現し、銃弾をはじいて防ぐ。
「ミズタマン!!」
「全く、危ないでしょうがっ!!」ミズタマンはそう言って、注意する。
「不審者、発見!!」SPの一人がそう言うと、挙ってミズタマンを確保しようと動き出す。
「この人は、敵じゃありませんっ!!」煌は両手を広げて、ミズタマンを庇う。
「足止めは、宜しく!」
ミズタマンは煌にこの場を任せて、銃弾が飛んできた方へと向かう。
全速力でミズタマンは、敵の居場所へ向かう。
高層ビルを見上げるミズタマン。敵がまだ屋上に居るのかは賭けではあるが、上がる為に屈伸運動をしてからひとッ飛びでジャンプする。
コンクリートを砕き、飛び上がり屋上へと上がる。
屋上に着くと、男が逃げようとする所であった。
「待てぇ!」
ミズタマンはクルっと宙を舞い、男の前に立ちはだかる。
「な、なんだ! お前は!?」
「ミズタマン、ドS」自己紹介をしたミズタマンは男を殴り飛ばす。
が、間一髪で男はそれを回避する。
「お前さん、地球人じゃないな」
「そうだよっ!!」
「こんなことして、何なるの?」
「我々の未来のためだっ!!」
「未来? あんた、何を吹き込まれた。あの人は、寧ろ宇宙人を歓迎しようとしている人だぞ」
「そんなバカな!」
「本当だよ。だからさ、大人しく自主してくれ」
男は、手に持っていた銃を降ろす。
そして、ミズタマンに両手を差し出そうとした時、男の胸が撃ちぬかれる。
「おいっ!!」ミズタマンは男を抱きかかえる。
「ぐほっ!」男は口から緑の血を吐きながら、息を引き取った。
物陰から、男を狙撃した人物が出てきた。
「あんたは確か、唐木田とか言ったな・・・・・・・」
首相警護のSP主任の唐木田が、姿を現した。
「ったく、宇宙人ってのは信用できんな」そう言いながら、唐木田はミズタマンに拳銃を向ける。
「おいおい。その銃って」
「そうだよ。公安部外事課で使用されているものさ。入手するのは簡単だったよ・・・・・・・」
「そうかい。御託は良いから打ってこいよ」
「ふざけやがってぇ!!」唐木田は銃をぶっ放す。
しかし、ミズタマンには効かない。ミズタマンは怒り心頭でそんあダメージもなんのそのといった感じで唐木田に詰め寄る。
「な、なんだ! こいつ・・・・・・・」
全然、ダメージを受けたような素振りを見せないミズタマンに動揺して後ずさる唐木田。
「気が済んだか?」
ミズタマンはそれだけ言うと、渾身のアッパーパンチをお見舞いする。
華麗に吹っ飛ぶ唐木田は地面に倒れた。
「ってぇ~ あ~痛ぇ~」
ミズタマンスーツを来ているとは言え、ダメージは入る。ミズタマンは必死で痛みに耐えるのだった。