START-12
「どうして、ネロさんを襲おうとしたのっ!」
煌は机をバンッと叩いて、問い詰める。
「それは・・・・・・ 答えられない」
「どうして、答えられないの?」横で話を聞いていたミズタマンが質問する。
「言えないものは言えない」
「そう。なら仕方ない」
煌はそう言って、机の横に置いてある引き出しから拷問用道具を取り出す。
「ちょ、拷問する気かよっ!」男よりも驚いてみせるミズタマン。
「何で、あんたが驚くわけ?」
「地球人って、野蛮で危ないなぁ~ と思って」
「でも、こうするしか手段がないのでね。言っておくけど、私たちはまともな公務員じゃないからね。多少、非合法な事でもやるわよ」
ニッパーをパッチン、パッチン鳴らす煌に男の顔から血の気が引いていく。
「ああ、早く答えないと爪、剥がされるぞぉ~」
ミズタマンは身震いしながら男に言うと「た、助けてくれ!!」と助けを請う。
「じゃあ、言いなよ」
「そ、それは・・・・・・」
「じゃあ、助けられないな」
「わ、分かった。言う。あんたにだけ教えるから」男はそうして、ミズタマンに耳打ちする。
「成程。成程、キバ堂の役員である城之内に頼まれて襲ったって」
「お、おい!!」
「城之内っていう役員ね。OK. ミズタマン行くわよ」
男の取り調べを他の者に任せて、煌は裏取調室を後にする。
「あの悪いんだがトイレに行きたいんだ」
「トイレぇ〜」
「そうトイレ。じゃっ」
ミズタマンはダッシュでトイレに向かう。
「遅いなぁ〜」
煌は先に建物を出てミズタマンが姿を現すの待つ。
「よっ!! 待った?」ネロが姿を現した。
「待ってません。というか、今までどこに行ってたんですか!!」
「マジで言ってるの?」
「大マジです」と答えながら憤慨する煌にネロは首を傾げる。
「ネロさん、これからキバ堂本社に行きますよ」
「分かってるから。城之内に会えるかな?」
「なんでそれを知っているんですか!?」
「ホントに鈍ちんな子なんだなぁ〜」
ネロは首を傾げながら、一人先に歩き出す。
「待ってくださいよぉ〜」煌は大慌てで後を追いかける。
二人は、三度、キバ堂本社へと訪れた。
「編成局長の門脇さんをお願いします」
また門脇だ。そう思う煌だったが、あえて突っ込まなかった。
暫くすると、門脇が姿を現し二人を案内する。
エレベーターに乗り込んですぐにネロが話しかける。
「どうです? ここ最近は?」
「さっぱりです。それより城之内さんなんですが、お休みを頂いてますよ」
「え? じゃあ、今日は!?」驚く煌に「そう怖がらないで。今日は、城之内のデスクへ案内しますから」と門脇はにっこり笑顔でそう告げた。
エレベーターは目的の階に到着し、三人は城之内のデスクへと向かった。
城之内は個室を与えられており、気兼ねなく捜査ができるとのことで三人は心軽く部屋へと立ち入る。