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プロローグ

 俺は神である。 名はまだある……が、旅する神である俺には意味のないもの。 人間には姿なんて見えないし、身体にも触れられないからな。

 彷徨い続けて数百年……仕事はしてないし、金銭も持っていない。 勿論、結婚もしていない。 

 ただ旅をする中で様々な物を見て学び、様々な者を見て考え、最後には考えることを放棄し、鳴子を両手に踊り明かした。

 まあ、何を考えていたのかは悲観的だったり、のすなるじっく?だから、答えないが何故考えることを放棄したのかは答えよう。



「今日が古い神社の取り壊し……ね。 我ながらよく信仰が続いたもんだ」



 生まれた地に戻り、文字通り俺の命とも言える神社の前で立ち止まる。

 そこには立ち入り禁止のテープと共に『取り壊しのお知らせ』という看板が立てられており、周辺には重機や稼働音や社の壊される音が響き、その中には蝉の鳴き声も混じっていた。



「えーと、取り壊しの理由は……施設の風化と土地の開発。 まあ、この時代と場所なら仕方ないな。 めっちゃ田舎だし」



 形あるものはいつか壊れるとはよく言ったもので、神に寿命は存在しないが、死の概念は存在する。 神を現世に結び付けるものには劣化という寿命があり、神を成り立たせるための信仰が必要となる。

 今回は依り代の寿命が考えることを放棄した理由だ。

 神を現世に結び付けるものは誰かに看取られたり、新たな触媒として依り代になることもあるが、形のない神である俺は誰にも看取られることなく、この世とおさらば~。 なら、考えるだけ無駄というものだ。

 でも己の最後を受け入れ、未練は無いと思っても目を閉じると考えることはある。



「一回でもいいから人間みたいに形があって、命のある神として生きてみたいもんだな~」



 そうして、名を語ることのなかった神……俺はこの世から消えた。

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