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233、悪魔メフィストを演じる

「このあたりの大自然の雰囲気は、『メフィストさんはテントウムシ』を思い出しますね。皆さんご存じです? 八町監督の初代テントウムシです」


 森林と自然洞窟のシーンが終わり、ロケバスに乗って40分ほど移動する間、銅親(どうおや)絵紀(えのり)助監督は役者たちの脳を初代テントウムシ語りで染めた。

 

 もちろん私は知っている。

 学生用のコンテスト用に八町が書いた作品だ。審査員には辛辣な評価をされていた。


「僕は一文一句そらんじることができますよ。我こそは尽きせぬ欲望を満たす者、光を遠ざける銀の舌……」

「銅親君、それは僕への精神攻撃なのかい。やめよう、それ。ラジオでも聞こうよ」 


 八町は自分の若かりし頃に書いたセリフを朗読されるのを嫌がってラジオを流した。

 メフィストさんは私も好きだったけどな。

 仕方のないことかもしれないが、八町の中では人生の汚点や黒歴史みたいになっているらしい。

 

 移動中のラジオには星牙がゲスト出演していた。

 番組ではノコさんの歌やLOVEジュエル7の歌が流れたり、投稿メッセージが読まれたりしている。

 

『ラジオネーム、エレガント軍師様からのお便りです。私には離れて暮らしている娘がいます。恥ずかしながら、私はこれまで我が子に関心がなく、妹に丸投げして育てさせてきました。しかし、最近離れて見守っているうちに娘が可愛いと思えてきました……』

 

 途中、寄り道をして蛍を撮り、また移動して大辺路の浜辺近くの崖の上で本日のシーンは終わりだ。


『僕の親戚も似たことを言ってましたよ。僕のまあ親戚の場合は血のつながりがなかったんですけどね、なんでも親友と奥さんが浮気してできた子っていうドロドロの……あ、これあかん? はーい、じゃあ次」


 移動先に着くと、素早く撮影に入る。スタッフはみんな手際がいい。

 

「♪きりきら光る お空の星よ」

「その歌、知ってる」


「火星人は地球の歌を忘れていないんだ。私が知っている歌を知ってるひとがいるって、不思議」

 

 星空を見上げてアリサちゃんと歌うと、「カット」の声がその日の撮影の終わりを告げた。


 海が崖下に見える、絶景スポット。

 それほど日没から時間が経ってないのに夜の暗さに浸された自然風景は、雰囲気たっぷりだ。

 夜空に君臨する星々は自己主張が強くて、凛とした美しさを放っている。


「八町監督、危ないっすよー」

「風でゆっくり雲が流れていくのが好きなんだ」

 

 カメラマンの声に視線を向けると、八町が崖ぎりぎりに立って星空を仰ぎ見ていた。

 危なっかしいな。


「八町先生。あまり端によると本当に危ないです、こっちにいらしてください。落ちないでくださいよ」


 呼びかけに小さく頷いて、八町はお気に入りの指揮杖の先端を空に向けた。

 

「どうせ滅びるのに今が存在する意味ってなんだろう? 千歳?」

 

 哲学の授業が始まったじゃないか。

 千歳と呼ばれたし、ここは役になりきって答えてほしいんだろうな。

 答えよう。

 

 千歳は少女の外見だけど、長い時間を独りで生きている。

 彼女は地球人の遺産を独り占めにしてきた。

 ただひとりで滅亡した人類の歴史と文化を持て余して。想像すると、発狂レベルの孤独の中にあっただろう。

 でも『私』は、俯かない。悲しみの沼から這い出て、望みを自覚して希望に手を伸ばしてきた。

 なぜ?

 

 ――答えを作るのは、演じ手である私だ。


 敬虔なシスターのように両手を組み、目を閉じて祈るように答えよう。

 

「星の光が綺麗だと思うから。空にたくさん輝く星は、ずっと遠くにある光。数年、数十年、場合によっては数千年、過去のもの」

 

 どう、この解答。

 過去の水居の光をずっと心の支えにしている千歳にぴったりじゃない?

 

 目を開けると、親友がいる。

 暗闇の中、まるで崖に追い詰められたみたいに立っている。


 やだな、その場所。地震でも起きたら落ちちゃいそう。


 お前、死にたいのか。

 これ見よがしにみんなの前でそんなことして。


 ……そういえば、こんなシーンが『メフィストさんはテントウムシ』にあったな。


 メフィストは、八町の「僕はこんな風でありたい」という願望や理想をキャラにしたような面白くて優しい悪魔だった。

 ちょっと常識はずれで、びっくりするようなこともする困った奴だ。

 人間を虫けらみたいに思ってたけど、一緒に暮らす坊ちゃんがだんだん可愛く思えて、坊ちゃんの友だちや家族も親近感が湧いてきて、人間を好きになっていく……。


 私はメフィストになった気分で呟いた。

 

「坊ちゃん、あなたはどうせ長く生きようとしても短命な生き物なのですよ。その短い人生を、さらに自分で短くカットして終わらせたいですって。こうしている間にも時間は消耗されているというのに、もったいないですねえ。実に愚か……」


 蔑むようで、愛がある。冷笑するようで、内心は失うことを恐れている。

 この「愚かで短命な生き物」は、メフィストにとって大切なんだ。

 

 ちょっと何かあると簡単に死んでしまいそうで、いつも怖いんだ。

 

 八町は坊ちゃんのセリフを返してきた。

 

「メフィスト。虫が一匹死んだところで、世界にはなんの影響もないだろう。なんの問題もないし、死んだあとは僕という意識が消えてなくなるんだから、あれこれ言われても、……もう、どうでもいいや」


 八町のセリフは、一字一句に感情が籠っていた。

 

「坊ちゃん。どんなに重要だと言われても、私の心に気にかかるところがなければ、私には世界も神もゴミクズ以下です。しかし、どんなに馬鹿らしくて、気味が悪くて、不格好でも、私の心に引っ掛かったなら、虫一匹の生き死にがなによりも重大なんですよ」


 メフィストは情深く言って、胸に手を当てて空を見上げる。

 視線を坊ちゃんから逸らしたのは、少し照れているからだ。


「虫は、私にもやもやをもたらして、むかつかせて、苛々させて、許せないと拳を握らせて、世界よりもよほど大問題に思わせて、腹立たしいことこの上ありません。文句を言いたくなるんです。無視できない」

「虫だけに?」

「そういうところです。こちらは真面目ですのに、くだらないギャグをおっしゃって私の気分を台無しにするんですから。私の心に引っ掛かるな、と申し上げたいものです。地面をご覧なさい、アリの見分けがつきますか。私はつきますが」

 

 メフィストさんは坊ちゃんに空を示した。

 (うつむ)くのではなく、上を向いてほしかったからだ。


「上をご覧なさい。星に手が届きますか。私は届きます」

 

 『俺』は最後に、自分の言葉を付け足した。

 

「八町坊ちゃんは偉そうで、『君は僕の下にいるよ、僕は上にいるよ』とマウントを取って、格好つけて天才ぶって強がって。そんなお前のおかげで、今の俺があるんだ」


 他の役者やスタッフは、空気を読んで黙ってくれている。

 ありがたい。あと、ちょっと照れる。

 

「八町坊ちゃんの理想や憧れが詰まった言葉は、ひとつひとつが俺の心を照らして肯定してくれた。引っ張ってくれた。本当に神様みたいだったよ――でも、神様でいなくてもいいんだ、別に」

 

 手を伸ばして、口角を上げる。


「俺は心が汚くて意地悪だから、神様みたいなお前が賞レースに負けて人間らしく落ち込んでいるのは面白くて仕方なかったや。いつもお前が落ちるのを楽しみにしてた。我ながら性格が悪いよな」


 八町は苦虫をかみつぶしたような顔をした。

 おう、坊ちゃん。


「八町坊ちゃんは形から入るタイプだから、天才っぽく振る舞ったら天才になれると思って変なことやライン越えをわざとするんだよな。でもさ、天才じゃなくてもいいじゃん。俺に馬鹿にさせてくれよ」


 八町の腕を掴んで引っ張ると、悔しそうな顔をされた。

 いい顔だ。


 昔はこんな風に八町に手を引っ張られて見知らぬ外国を観光したりしたものだ。

 言葉が通じない異郷は、ワクワクしたし新鮮だったけど、不安もあった。

 隣にいる年上の親友は、頼もしかった。


「江良君が僕のこと嫌いだってわかってたよ。僕が失敗すると手を叩いて大喜びするんだ、君は」

「お前だって俺が受験に落ちたのを楽しんでたくせに。自分を棚に上げるな八町大気」

「僕はいいんだよ。僕は偉いんだよ。言っておくけどメフィストさんの坊ちゃんって君だからね」

「誰が愚かで世話のかかる坊ちゃんだって?」


 八町の手を握って、彼の心臓の位置に手を当てさせる。

 自分で体温と鼓動を感じられるように。


「メフィストのセリフ覚えてる? 坊ちゃん、あなたは人間ですよ。総理大臣もオリンピック選手もノーベル賞受賞者もピカソも、ここに心臓があって動いてるんです。止まったら死ぬけど、動いてるから生きてるんです。みんなみんな、それだけですよ」

 

 ――ドン。

 

 まるでタイミングを計ったように崖下の浜辺から花火が打ちあがって、夜空に赤い光を咲かせた。

 八町が呟く声は、しんみりとしていた。


「僕は……終わってる」


 次の花火が上がる音がして、ドン、ドン、と音と光が続いていく。


「とっくに終わってるって自分も他人もわかってるのに、自分の中の坊ちゃんだけが認めたくなくてじたばたしてる感じがする。みんなが僕の悪あがきを笑っているみたいに思えるときがあるんだな」

「俺もそう思ったことがあるよ、八町。俺、エゴサしたことがあってさ。いろいろ言われてて気にしたよ。頑張ろうって思ってた気持ちが、どんどん冷やされていってさ」


 自分の名前で、心で、能力で、何かを表現して発信する。

 そうすると、受け取った人の中に何かが生まれる。発信するということは、人を不快にさせることもある。

 

 ひとりひとり、受信者にも人生がある。

 価値観がある。心の中の物差しがある。

 万人に好かれる人はいない。必ず誰かに嫌われてしまう。

 

 不快に思った人、嫌いだと思った人が、表現者を攻撃して自分の不愉快な気持ちをスッキリさせる。

 好意的な意見よりも、悪意の方が目立つ社会だ。

 誰かが悪口を言っていると、一緒になってサンドバッグを殴ってストレスを解消したくなる世の中だ。

 

 そんな時代に心をくだき、険しいもの作りの山を登り続けようと志すなら、エゴサなんてするもんじゃない。

 でも、表現者は誘惑に駆られるものだ。誰かに伝わってほしいものだ。

 まるで楽園の悪魔が用意したリンゴのよう。

 

「八町。がんばってるとさ、腹も減るよな。だって俺たち、生きてるんだもん」

 

 私は軽く握った拳でとんとんと親友の胸を叩き、笑いかけた。

 

「バーベキューしよう八町。ピーマンを焼いて串に刺して」


 こんな花火を見ていると、この体になったばかりのころを思い出す。

 アリサちゃんとお祭りに行ったんだ。


 そういえば、セバスチャンって……。

 

 そういえば、テントウムシ……。

 

 そういえば、そういえば……――。


「ぼ、僕がオワコンと言うから監督が追い詰められて……っ」


 や、八町。お前のファンが泣いてるよ……。


   ◆◆◇◇◆◆◇◇◆◆


 ――【八町大気視点】

 

 浜辺に降りてバーベキュー大会をするうちに、花火は打ち上げ尽くされたようだった。

 

 結果に意味はない。

 江良君が演じる千歳(ちとせ)は、僕にそう言った。


 物事には終わりがある。

 

 僕たちの地球は、80億人が平均73.2歳の人生を生きている。

 偶然にも同じ国、同じ時代に生まれた僕と君が、奇跡的に知り合って、今こうして話している。

 

 頭上に輝くのは、何万光年を旅した星々の光だ。

 

 15年前、僕が31歳のとき、目の前の『葉室王司』はまだ生まれていない。

 51年後、僕が97歳でたぶん死んでいるころ、目の前の『葉室王司』は65歳で、たぶんまだ生きている。

 120年も経てば、二人とも死んでいるだろう。

 もしかしたら映像作品を将来の人間たちが鑑賞して「この頃、こんな映画監督と女優がいたんだ」と語ってくれたりするかもしれない。

 自分の子はいないかもしれないが、知り合いの子孫が生きている。

 では475年後は? 1000年後は? 5000年後は?

 もしかしたら、人類は本当に絶滅して、文化も歴史も誰も認識する者がいなくなっているかもしれない。


「八町、ピーマンにカレーのルーを垂らそうよ」

「江良君は本当に辛党だね」


 焼きごろのピーマンに串を刺すと、カレーが容赦なくかけられた。

 これ、僕が食べるんだけどな。


「江良君。僕は、今ちょっと楽しいよ。君のおかげでピーマンが辛い。僕がもし明日死んだら、みんなは『おいたわしい』と憐れむだろうけど、君は『八町は楽しかったってさ』って言っておくれ」

「うん、うん。八町の人生は恵まれていて、勝ち組オブ勝ち組で、甘やかされて好き放題して本当に幸せで贅沢で楽しい人生だよ」

「江良君。君、もしかして僕の人生にちょっと嫉妬してる?」


 手のひらの内で光るスマホ画面には、ネットニュースの通知が届いている。


 『太陽と鳥リメイク企画始動。加地監督は「友人たちのおかげ」と感謝を告げ、若手俳優の火臣恭彦に猛烈アタック! 「俺のエースは恭彦君だ!」――妹の葉室王司にもオファーが……』


「江良君がやりたかった役、僕がやらせてあげたかったな」


 でも、負けてしまった。


 しょんぼりしていると、江良君は低身長なのにつま先立ちをして手を伸ばしてくる。なんだね?


 身をかがめてやると、江良君の指は僕の頬をぷにっとつついた。


「俺は八町にずっと嫉妬して生きてきたから、八町が負けると嬉しいんだ。もっと悔しがれ、ざまあみろ」


 今夜の江良君は演技が下手だ。

 子どもっぽさで大人の気遣いをくるんで隠そうとして、失敗してる。


 ああ、僕たち、本当に年を取ったね。

 江良君は若返ったけど。


「江良君はやっぱり、江良君なんだな」


 懐かしい。

 この不器用で優しくて愛情不足の魂が、僕は愛しかったんだ。


「ねえ江良君。僕ね、実は水居を君で当て書きしたんだ」

「……あれが……?」


 ふふっ、ちょっと嫌そうにしてる。

 可愛いな。けれど、僕が君に「可愛いな」と言うことは一生ないかもしれない。

 

「君はずっと僕の親友だよ。これからも変わることがないんだ」

「八町、酔ってる? あ、いえ。八町先生は、酔っていらっしゃるんでしょうか」


 人が近づいてきて、『葉室王司』がよそよそしくなる。

 ああ――――楽しいね。


「江良く……王司さん。銅親(どうおや)君がね、僕の作風が変わったと言ったんだ。ファンタジーがなくなったんだって。『地に足をつけるばかりで、観客の心を空へと大胆に自由に伸び伸びと飛ばせてくれた感覚がなくなった。しかも地に足がついているのに千鳥足』ってさ。それね、僕も自覚しているんだ」


 もう少しだけ話したい。

 そう思って、地酒で喉を潤した。美味い。

 親友は聞いてくれている。いい子だ。


「王司さん。リンゴは木に実って落ちる。それって当たり前な現象だよね。でもリンゴはさ、自分が世界の主役で特別だと思って育つわけ。で、周りのリンゴが落ちていって『自分も落ちるんだ』って気づく。ショックだよね。泣いても笑っても、ポトっと落ちて終わるんだ、呆気なく」


 話している間に、親友はしゃがみこみ、両手を上にあげた。

 それ、リンゴの演技かな?

 枝に実っているんだね。


「残酷なんだ、現実って。世の中って、人生って現象なんだよ。でも、君はきっとリンゴがリンゴと呼べなくなる瞬間まで一生懸命リンゴライフを満喫するんだろうね」


 僕のイメージを肯定するように、親友はポジティブなリンゴを表現した。

 なんだか嬉しそうで、楽しそうで、一度死んだという事実があるだけに僕の胸を突く眩さがある。


 そうそう、江良君は一度死んだんだ。

 なんで葉室王司になったんだっけ。それは……それは……?


「王司さん。僕ねえ、本と映像作品とネットに囲まれて情報の海に溺れるようにしてあやされた幼少期だったよ。君が言う通り、不自由がなかった。成長していって……小学生くらいのときかな。自分がこのまま大きくなっていつか死ぬんだって強く意識して、怖くなったな」


 君には言わないけど、僕は「何かをしないといけない」とずっと強迫観念にとらわれていた。

 

 だって、僕の頭脳には物心つく前から英才教育が施されて、知識がこれでもかと詰め込まれて、センスがあっちからもこっちからもゴシゴシガリガリ磨かれて、「お前は特別なんだ。そう育ててやるんだ」って作られていったんだ。

 この脳みそは、死んだらそれきり全部消えるんだ。

 

「恭彦君と僕は、ちょっと似てるなと思ったこともある。僕は天才ぶっていて、メッキが剥がれることを恐れていた」


 僕が江良君という弟を見つけたように、彼も王司という妹を手に入れた。

 僕が君を王司さんと呼びたくないように、彼も。

 

 彼、僕の代わりみたい。ライバルみたいだ。

 なんだか、君の隣にいる役の世代交代みたいだ。

 僕はそう思えて仕方なくて、実はひそかに一方的に対抗心を燃やしてるかもしれない。

 

「……どんな素晴らしい企画書も没になったらゴミ箱のゴミ。実現してもヒットしなければ金の無駄。数字残せなきゃ監督は無職のおっさん。王司さん。僕ね、君は人間でいいと言ったけど、神様でいたいんだ」


 我ながら痛い。しかし、僕は神様の気持ちで『王司さん』を見下ろした。

 

「以前の自分にはあった、江良君を助ける万能感が足りない。僕は江良君にとってスーパーマンとかヒーローみたいに頼りになる大人だったのに。自分神話が自分の中で消えちゃった。ファンタジーってなんだっけ。君、前も言ってたね」


 江良君はそのとき、なにかに思い至った顔になった。

 その瞬間の不思議な目を、僕は一生忘れないだろう。

 

「セバスチャン」


 なんだい、その目。

 なんだか、慣れ親しんだ自宅で怪物とか神様に出会ったようじゃないか。

 僕、ぞくぞくするよ。そんな目で見られるのが好きなんだ。


「お前のファンタジーがセバスチャンを作ったんだ。お前が空想を忘れたから、セバスチャンが消えたんだ。……そうじゃないかな?」

「……僕が何を忘れたというんだい」


 全く不可解であったが、江良君は言語化に四苦八苦しつつ、僕が忘れたファンタジーについての推理を教えてくれた。


 正直、聞いてもピンとこなかったのだけど。

 

作品を読んでくださり、ありがとうございます。

このエピソードから終盤進行で、毎日18時10分に投稿いたします。

240話で完結の予定です。

もしよろしければ、完結までお付き合いいただけると嬉しいです。


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