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【完結】俳優、女子中学生になる~殺された天才役者が名家の令嬢に憑依して芸能界に返り咲く!~  作者: 朱音ゆうひ@11/5受賞作が発売されます!
3章、人狼ゲームとシナリオバトル

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180、ニューヨークに行きたいか


 学校が終わってひだまり荘に帰ると、ちょうどショートドラマ撮影の参加メンバーを募っているところだった。

 寄り道しないで帰ってよかった。参加しよう。

 

「……あれっ。SACHI先生?」


 トレーニングルームに行くと、見慣れた女性がいた。

 スラッとした印象の金髪美女――本日はスーツスカートファッションのSACHI先生だ。

 本名は化賀美(かがみ)サチコで、私が所属するアイドルグループLOVEジュエル7(セブン)の振付師。

 歌姫系Vtuberの海晴(みはる)スピラの中の人としても話題になっている。

 さらに言うなら、火臣恭彦の托卵母だ。

 

「学校おつかれ、葉室。配信はもう始まってるけど制服で参加してOK? 着替えてくるなら早めにね」

「あっ、トレーニングウェアに着替えてきます」

「走れ一年! 急げ葉室!」

「二年生でーす」

   

 ショートドラマ撮影で講師をするのは、SACHI先生なのか。


 2階に続く階段を上って女子棟に行くと、ジョディがいた。

 片手には日本語の教本がある。お勉強してるんだなあ。

 

「オカリーン……オ、オカ、オカエーリ」

「ジョディちゃん、ただいまー」

 

 「おかえり」を言いたかったらしい。可愛いな。しかも、私の後ろを付いて来るよ。


「ワタシ、日本語、ワカル」

「お勉強してるんだね、えらいね」


 日本人とお友だちになりたいのかな? 国際交流したい系女子?

 

「アリガト、アリガト」

「ジョディちゃん、ショートドラマ、する?」

「ワタシ、ショートドラマ、スル」

 

 ちゃんと会話できてる。すごい。

 

「私、着替えるよ」

 

 アリサちゃんとの相部屋のドアを開けると、するっと中に入ってくる。うん、まあ、いいか。同性だしな。

 でも、スマホカメラを本棚に向けたりしてるのが気になるな。撮ってる?


「ジョディちゃん。カメラこっちに向けないでね……着替え映すのは、ダメだよ」

「ワタシ、着替えトラナイ。しゃべって」

「今お部屋にジョディちゃんを招待してまーす」 

「コレ、リアルタイム、ツイキャス」


 ツイキャスというのは、配信の一種だ。

 え、配信してるの?

 生配信だと放送事故が怖いな。急いで着替えを終わらせよう。

 

 慌ててトレーニングウェアに着替えると、「きゃー!」という悲鳴が聞こえた。

 

 えっ、何事?

 

 ジョディちゃんと二人で見に行くと、階段の下に人が集まっている。

 そして、同じぐらいの年齢の外国人の女子が足を押さえて痛がっている。

 白い肌に金髪の女子は、海外の若手女優らしい。

 

「階段から落ちたの……? 大丈夫ですか……?」

 

 女子は、階段の上にいる私たちをキッと見上げた。

 そして、すぐ近くに駆けよってきた通訳さんに、何かを言った。

 

「階段から突き落とされました! ……ジョディがあたしの背中を押したんです!」


 通訳さんが日本語で伝えると現場は騒然となったけど、それは三秒で解ける誤解だよ。

 解きましょう。


「あの、私たち生配信してます。ジョディちゃんと私はずっとほっぺちゃんトークしてたから、無関係です。今も配信続いてるよね、ジョディちゃん?」


 ジョディちゃんを見ると、ツイキャスの画面を見せてくれた。

 英語のコメントでいっぱいのツイキャスは、明らかな冤罪を吹っ掛けられた配信主を同情したり面白がったりしていた。

 こういうとき、配信って身の潔白が一発で証明できるからいいね。


   ◆◆◇◇◆◆◇◇◆◆

 

――『ツイキャスのコメント』


"Lowkey feel like this could be ‘cause she’s Black. Racism in 202● smh."

「これって黒人だからじゃない? 202●年にもなって人種差別とか、ほんと呆れる」


"OMG ppl can be so dumb. Like, it’s literally a LIVE STREAM."

「まじでバカだな。生配信中なのに」


"Justice for Jody!   Don’t mess with our girl."

「ジョディのための正義を! 私たちの推しに手を出すな」


"LOL the livestream saved her. Technology wins again!"

「笑、生配信が彼女を救った。テクノロジーの勝利だな!」


   ◆◆◇◇◆◆◇◇◆◆


「というかね、実は階段にもカメラはあるのよ、防犯でね。チェックプリーズ!」


 SACHI先生がきびきびと指示を出して、映像を確認している。

 カメラあったんだ? 気付かなかったや。

 セキュリティがしっかりしてるのはいいことだね。


 生配信と防犯カメラの映像とをチェックして、SACHI先生は結論を唱えた。

 

「うんっ。自分で足を踏み外しただけ! 誤解だった! 謝ろう! よくあることだ! 双方、水に流して恨みっこなし! そんで、医務室にGO! 解決!」


 足を踏み外した女子はちゃんと謝罪して、医務室へと移動した。

 スピーディに問題が解決してなによりだ。怪我、大したことがないといいね。お大事に。


 医務室に運ばれる女子を見送っていると、ジョディが困り顔でツイキャスのコメントを見せてくる。

 なんか、懐かれてるな。頼ってもらうのは好きだけど。


 ツイキャスのコメント欄は、医務室に運ばれた女子へのヘイトを高めていた。


"LMAO this girl accusing Jody just ruined her own career. Internet don’t forget."

「笑った。ジョディを責めたこの子、自分のキャリア終わらせただけじゃん。インターネットは君のこと忘れないよ」


"Plot twist: The girl fell on her own but wants clout."

「どんでん返し:あの子自分で転んだくせに注目集めたいだけなんじゃない?」 


 なるほど。

 このままだと怪我した上に炎上もしちゃって、本当に『自分のキャリア終わらせただけじゃん』になっちゃいそう。


 ジョディと目が合うと、ちょっと困り眉だ。

 スマホに何か入力して、翻訳文を見せてくる。ほう、どれどれ?


『昨日喧嘩した。階段から落としてやるわよって言った。だから、誤解されたかもしれない』

 

 なるほど。


「ジョディちゃん。あの子、トモダチ?」

「トモダチ」

「助けたいんだ?」

「タスケタイ」

 

 そうか、そうか。

 そのまま全部伝えようよ。

 ジョディちゃん側がそれを言うだけで印象が違ってくると思うよ。

 このスマホの翻訳文見せるだけでいいと思うよ。


「あのー、ジョディちゃんが言うには……」


 ジョディちゃんがスマホに入力した翻訳文を見せて事情を説明してみると、本人も「そうです」と英語と日本語で頑張って説明を始めた。

 おお、偉いぞ。

 もうちょっと、付け足してあげよう。


「実は、私……初日の夜に怪奇現象に遭遇したんです……」

「葉室?」


 嘘は言ってない。

 初日の夜、私とアリサちゃんが眠る部屋の窓がずっとノックされてたもん。

 

「もしかしたら、このシェアハウス、お化けが出るのかも! 本当にあの子、背中をお化けに押されたのかも!」


 こわーい、こわーい。

 迫真の顔で真実味たっぷりに言うと、女子たちが「やだーっ!」「きゃー!」と怖がってくれた。


 SACHI先生はそんな女子たちに「落ち着けー」とサバサバした声をかけた。頼れる大人って感じだ。

 

「ホラー番組が始まるじゃねえか。次の企画会議で肝試しとお祓い提案しとくわ。じゃ、時間押してるからショートドラマ撮影会始めるよ。全員、気持ち切り替えて!」

「……はい、先生!」

 

 皆が先生の声に気持ちを切り替えてトレーニングルームに入っていく。

 冤罪吹っ掛け事件からホラーへ、ホラーからトレーニングへと意識が切り替えられたな。よし、よし。


 トレーニングルームに行ってみると、参加するメンバーは思っていたより少なかった。

 

 GASが集めたシェアハウスメンバーは「この子は伸びる」と世間にもGASにも認められている子たちで、ほとんどがデビュー済だ。スケジュールが詰まってる子が多いので、欠席率は高くなるよね。

 

 講師のSACHI先生が北側に立ち、南側に生徒メンバーが固まって座っている。

 アリサちゃんが高槻(たかつき)大吾(だいご)と一緒に最前列で座って手を振ってくれた。最前列はいっぱいなので、空いてる席に座って手を振り返しておいた。

 高槻兄妹はいつもべったりだな。うちの兄はどうした――と探してみると、隅っこでパーカーフードを被ってコソコソしていた。

 さては母親が嫌なのか。でも参加はするんだな。

 

 SACHI先生が語る声は、ハキハキしていて耳に残る印象的な声だ。

 

「俳優の登竜門といえば、NHK連続テレビ小説、仮面ライダー、戦隊モノ、学園モノですが、最近はこれにショートドラマが加わりました」


 この先生がこんなに熱意ある声で話すのだから、聞く側も真剣に聞かないといけない。

 そう思わせるカリスマ性がある。


「幅広い役をたくさんこなせるので経験値が積める。動画のコメント欄に視聴者の生の感想がもらえるので自分の反省点や強みがわかる。ネットでバズりやすく、多くの人の目に触れて認知度が上がる。特に若年層のファンが増える……そんなメリットがあります」


 真面目に説明してから、先生はニヤッとした。


「みんな、ショートドラマに出たいかー! 出たいと言えー!」


 ワンピースのルフィみたいなノリで煽るフリに、アリサちゃんが「出たいー!」と声をあげる。

 無邪気だ。元気だ。私も続こう。

 これは眠くなる知識詰込み系の授業ではない。楽しいチャレンジレッスンなんだ。


「出たーい!」

 

 俺も、私も、と声が続く。

 いい雰囲気! 熱血俳優塾が始まってるよ!

 

 SACHI先生は私と趣味が合うのかもしれない。

 青春スポ根とか少年漫画のノリが好きなのではないか。

 そんな期待をくれた先生は、叫んだ。


「ニューヨークに行きたいかーっ!?」


 それはアメリカ横断ウルトラクイズだよ。今の子にはわからないかもしれないよ、SACHI先生!

 ちらっと兄の様子を窺うと、恭彦はフードを目深にかぶって猫背で縮こまっていた。


 先生~! 

 息子さんが「親が恥ずかしい」ってなってますよー!

 

 私の心配を他所に、先生は息子に視線を向けて名指しで母親としてのオーダーを放った。


「顔をあげなさい、恭彦! ママを恥ずかしがるなっ! LINEもたまには返事して! パパとキモい芝居しないで!」

  

 この先生、托卵騒動とかでも思ったけど神経がごく(ふと)なんじゃないか?

「我が道を行く、文句言う奴は蹴散らす」みたいな人だったりしない? 

   

「おっと、思わず母親が出たわ」

 

 じと目で見ていると、SACHI先生は恭彦から視線を外した。

 

「仕切り直すわよ! 露出して知名度を上げよう。実践で経験を積もう。金を稼ごう。美味いもん食おう。モテモテになろう。幸せになろ~うっ!」


 欲を煽られて、皆の目がギラギラしていく。

 配信のコメントをこっそり見てみると「怪しいセミナーみたい」と言われていた。

 

「これから皆さんはペアでショートドラマ撮影をしてもらいます。セリフのみの短い台本を配るので、ペアで相談して自分たちで動画を撮って提出してください。スマホでいいよ! 小難しい編集とかしなくていい! 適当にその辺にスマホ置いて撮って撮れたら提出しろ! 敬礼!」


 SACHI先生、言葉使いがちょっとずつ乱暴になっていらっしゃいます。

 鬼軍曹みたいになっていってます。

 

 配信コメントは可愛いずんだもんボイスで流れてくる。


:サチってこんな人だっけ

:イメージ違うかも

:いいじゃん。ぶりっ子より俺は好き

:もういい歳だしね

:ママー 

:ワイの聖女アイドルちゃんは永遠なんや

:でも見た目すげー若いよね

:托卵BBAだぞ

:クズなんだよね 

:でもそんな女が俺は好き 


 やばいコメントが流れてるけど、大丈夫? 

 音声読み上げ切った方がよくない?

 

 ひやひやしていると、SACHI先生は爽やかな声を響かせてキャラチェンした。

  

「コメントのみんなぁ~っ! ババアって言われると先生悲しいです。みんな歳を取るんだ、托卵はともかくBBAを理由に叩くなクソガキ。次に書いたら運営会社に働きかけてアカウントをBANしまーす♡」


 ハイトーンのキラキラアイドルボイスからドスの利いた低音怒りボイスに一転させて、すぐに戻す緩急がすごい。

 ちらっと恭彦を見ると、カタカタと小刻みに身体が揺れていた。ふ、震えてる。

 

 先生~! 

 息子さんが怯えてますよー!

 

「作ったものは公式サイトにアップして、生配信で順番に観て講評します。先生は皆さんの演技を参考にして新しい台本を当て書きし、全員が出演するオリジナルショートドラマを作ります! じゃあ、台本を配るよー!」

 

 先生はキラキラアイドルボイスで締めくくり、台本を配った。


 企画内容は魅力的だ。

 参加するだけお得って感じ。ところでSACHI先生、台本とか書けるの?


=======

 

課題:ペア撮影『タイトルは各ペアが考えること』

意識すること:BeReal! セリフをただ読むのではなく、自分ごととして演じましょう! 

動画提出期限:本日の21時まで 


「やったじゃない!」

「君のおかげだよ」

「ずっと好きだった」

「俺もだよ」

「キスをして」 

 

======= 


 セリフが5個。人物や背景設定なし。

 自由度が高くて、面白そう。アリサちゃんとのびのび楽しく撮ろうかな?

 

「ペアは指名制です。先生が指名した子が、早い者勝ちで自分の組みたい相手を指名する方式となっています」 


 あっ、指名制なんだ……。

 

 私は藤白(ふじしろ)レンとペアになった。ご指名ありがとう。

 それにしても、なんか彼、ちょっと元気がないな。

 夜遊び火遊びを咎められても平然として「ちっ、すんませーん」程度で済ませてきた藤白レンが、まさかグレイ・ジャーマン監督に配信で注意されて落ち込むなんてないと思うけど……大丈夫だろうか。

 

 ……やるからには良い動画を作るぞ、『藤白先輩』~?


「藤白先輩! よろしくお願いします!」


 江良の先輩心を仕舞いこみ、後輩としての演技で挨拶をすると、藤白レンは笑顔を浮かべた。

 江良には向けたことのない、女を落とすとき用のTHE・肉食系イケメンスマイルだ。

 

 そういえば、この後輩は女遊びも酷いんだった。

 ……気を付けて接するようにしよう。


   ◆◆◇◇◆◆◇◇◆◆


 ――【藤白レン視点】

 

 感謝するぜサチ先生……いや、サチ(せん)

 俺を火臣より先に指名してくれたおかげで、葉室王司とペアになれた!

 火臣はシスコンで有名だからな。先に指名されたらきっと妹と組んだはず。

 「恋愛リアリティショーで兄妹で組まれても発展しなくてつまらん」ってサチ先もわかってんだよな!


 細い肩。ちんまりとした背丈。成長途上の胸に、きゅっと締まった腰。いたいけな脚。

 ぱっちりした黒い瞳に、長いまつげ。さらさらの黒髪。

 透明感のある瑞々しい肌。淡く色づいた小さな口元。

 葉室王司は、なんとも可愛らしい美少女だ。しかも生い立ちは可哀想で、病弱でもあるらしい。

 初恋もまだ、という情報がある。

 

 ――そんな美味しすぎるアイドル女優ちゃん、手を出さない方が失礼だろ。俺が初恋の男になってやる。

 

 藤白レンは近づいてきた『国民の妹』をキメ顔で迎えた。ファンの間で『レン様の上から誘惑スマイル』と呼ばれる必殺スマイルだ。


 レンの所属芸能事務所ホーリーキネマズの所長は、所属タレントに言っていた。


『ホーリーキネマズのタレントは単なるメンバーではない。若手メンバーの中でも上位エリートだ!

 ハリーポッターで言うなら監督生!

 シェアハウスメンバーは優秀な子が多いが、率先してリーダーシップを取り、ポジティブなブランドイメージを強化せよ!』


 レンはハリーポッターが好きだ。そんなレンを焚きつけるために言ったのだろうが、その意図通り、「ハリーポッターで言うなら監督生!」は心に響いた。

 昨夜は男子集団のリーダーとして親交を深めたが、異質な二世俳優を目の当たりにして軽く敗北感を感じてしまった――挽回したい。兄にへこまされた分、妹ちゃんに癒してもらおう。


 妹ちゃんは、ビジネス主義の大人たちの商材として振り回されている女の子だ。

 

 レンは下手な演技を見ると共感性羞恥で辛くなる。

 なので初心者の演技は普段観ないようにしているのだか、どうも葉室王司は天才と持ち上げられているらしい。

 

 レンは、それが気に入らない。

 

 天才というのは、亡き江良(えら)九足(くそく)先輩のような人を表現する言葉だ。

 葉室王司は、火臣恭彦と違って俳優の父親と生活していない。父親から演技指導も受けていないはずだ。

 そんなポッと出で芝居の何もわからないようなアイドルお嬢ちゃんに、安易に江良先輩と同格の言葉を使うな。

 

 天才として売り出した事務所や、大げさに持ち上げる記者、江良と女子中学生の区別も付かなくなった八町大気。演技の良し悪しもわからず、作られた名声を鵜呑みにする大衆――ああっ、世の中は腐ってる!

 

 葉室ちゃんも、汚れた大人たちのビジネスの駒にされて、さぞストレスを感じているだろうな。

 夢いっぱいに芸能界入りしたのに思ってたのと違っていて嫌になっちゃう新人は多いんだ。

 夢見る少女じゃいられない世界なんだ。


 なんか何も悩みがなさそうな可愛い顔してるけど、きっと君は気丈に振る舞っていて、お布団の中では毎晩声を押し殺して泣いてたりするんだろう。

 可哀想に。


 しかも、兄貴には才能があって、兄貴は俳優の父から幼い頃から特殊な演技指導を受けている。

 辛いよな。

 俺が昨夜感じた「火臣と自分は違う」を日々、感じているに違いない。

 可哀想になあ!

 俺たち、気が合うよ。仲良くしようなあ!

 

 あと、今回の台本はどうもキスシーンがあるんだな。

 葉室ちゃんは、初めてのキスシーンは不安だろう。

 「大丈夫。フリだけでいいんだよ。こうやるとそれっぽく見えるんだ」ってリードしてやろう。

 

 俺が優しく紳士的にリードして、「レンセンパイ格好いい!」と思わせるんだ。

 

 そして、連絡先を交換して――昔、俺が江良先輩に相談させてもらったみたいに、今度は俺が頼れる憧れの先輩になるんだ。うぇっへっへ。

 


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