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934 山精
山精という妖怪がおります。
江戸時代の百科事典『和漢三才図』に中国の文献を引用した解説が載っています。
身長は一尺から三尺、足は一本、踵の向きが前後逆になっており、山で働く人々から塩を盗んでいたといいます。
またカエルとカニを好んで食べていたとされ、江戸時代中期、鳥山石燕の妖怪画集『今昔画図続百鬼』に、カニを手に山小屋をのぞく一本足の男の姿が描かれています。
その解説文。
「もろこし安国県に山鬼あり」と、『和漢三才図会』の解説文を引用し、「塩を盗む」「カエルとカニを食べる」などの特徴が記されています。
この山精。
夕方の山中、山道を下る人間を見つけると声をかけてきたといいます。
「カエルカニ?」
・カエルカニ=カエルとカニ=帰るかい
・一尺=約30センチ
・『和漢三才図会』=寺島良安著の絵入り百科事典)
・鳥山石燕(とりやませきえん・1712~1788・画家)
・『今昔画図続百鬼』(こんじゃくがずぞくひゃっき)




