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933 刀自待火
刀自待火は怪火の一種です。
刀自は妻のことで、沖縄県那覇市に次のような話が伝わっています。
その昔。
仲の良い若夫婦がおり、妻はいつも仕事に出て遅くに帰っていました。
あるとき夫は、妻が不貞を働いているのではと疑い、妻の帰り道、変装して襲いかかりました。
妻はそんなこととは知らず必死に抵抗し、かんざしで夫の喉を突き刺し、やっと家に帰ったのですが、夫の姿がありません。
もしやと思い引き返すと夫は死んでおり、これを悲しんだ妻は自害しました。
命がけで貞操を守った妻と、その妻を疑った夫の無念が二つの遺念火となって、夜な夜な現れるといいます。
この刀自待火の怪火。
悲しい結果でトジまちゃーびー。
・トジまちゃーびー=刀自待火=閉じまちゃーびー




